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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
干渉制御
25/177

柘榴神戦①

 少し前のこと、珠夜(たまよ)とれみは噴水広場で談笑していた。

「マヨタンは、泳げないから水の上を走れるようになりたい!」

 珠夜はれみに謎の宣言をしていた。

「水の上を走るのはすごいことですが、珠夜様ならばできそうですね、とれみは、れみなりに考えます」

 z……ざ……くr……ざ……ろ…………z……a。

 そんなれみの頭の中には、ノイズが響いていた。

 ざ、くろ。

 そのノイズがだんだんと鮮明になっていく。

 何かが堪えきれなくなり、れみは頭を抱えてうずくまった。

「れみ!?」

 珠夜が心配そうにれみに駆け寄り、背中をさすっている。




「柘榴」

 れみはそう呼ばれていました。

「柘榴」

 れみはれみはそう呼ばれていました。

「柘榴」

 もう辞めてください。れみは必死に訴えます。れみはれみは『れみ』でいたいんです。れみはれみがれみで。

「柘榴」

 れみはれみはれ……み……は…………れみはァ

「柘榴」

 昔のことを思い出してしまいました。

「レミニッセンス」

 記憶というのは、時間が経ったほうがより強く思い出す、ということもあります。

 それを利用した封印。

 要は、未来に繰り越していたわけです。記憶を。そして、力を。

 故に、その封印が剥がれれば暴走する。

 今、その封印が解ける時。

 今、柘榴神の力が解き放たれる時。

 今、松浦れみという存在が消える時。

 今、全ての霊界の人々が絶望する時。

 今、今、今、……

 世界が変わる時。

 今、始まる。

 松浦れみではなく、柘榴神による世界の変革が。


 最後に、れみは、れみらしく、れみなりに、思いました。柘榴神について。

「愚かしい」




「れみぃぃぃ!!」

 マヨタン、舞羽珠夜(まいはね たまよ)は叫ぶ。れみが何かなっている。その何かが説明できない。マヨタンは呆然と立ち尽くした。

「れみさーん!!珠夜さーん!!」

 翡翠(ひすい)ちゃんがそう叫びながらマヨタンの隣へ走ってきた。

「翡翠ちゃん。あれ、ゾメッチと一緒じゃ」

 今日、ゾメッチは翡翠ちゃんに会いにいくって言ってた。

「あの……みゆさんが……ちょっと長くなるので後で話しますね。それよりれみさんは!いや……別に望初(のぞめ)さんのことが心配じゃない訳ではありません」

 事情はよくわからないが、とりあえずゾメッチは今いない。

 マヨタンが、マヨタンがれみを助けなきゃいけない。

 マヨタンは迷わず、れみに向かって駆け出す。

「固有魔法、風属性、俊足!!」

 すぐに距離が縮まる。もうすぐれみに届く。そう思った時だった。

 横から何かに殴られた。

「っ……」

 マヨタンの速度についてくるなんて……このぉう!

 反撃してやろうと思った。空中だが体勢を立て直す。

「上級魔法、風属性、疾風刃!!」

 超級魔法だと飛びすぎるからこんなもんだろ。

 しかし、それは失敗に終わった。

 今度は上と左右から。3方向から同時に何かが襲いかかってきた。

 左右の物はさっきの疾風刃を操作して、切り刻み、粉々にする。

 上の一つが避けられなかった。

 マヨタンは直撃を覚悟して、せめてものの防御として顔の前で両手を十字に交差し、詠唱を極限まで削って火属性の初級魔法を発動させる。

「火球!!」

 だが、その何かはマヨたんを素通りした。

 ほっと息をつこうとしたのも束の間、マヨタンに巻き付いてきた。

 謎の何かの正体は、植物の枝だったのだ。器用にしなって巻き付いてくる。なんの植物か。

 よく分からない。れみの背中から、何かが出てきている。

 身動きができなくなる。

 その隙に、さらに何本もの枝が巻き付いてきた。

「珠夜さん!!大丈夫ですか!?きゃぁ!!!」

 翡翠ちゃんの声が聞こえてくる。

 そっちを見ると、翡翠ちゃんも枝に巻きつかれていた。

 れみ、柘榴神に翡翠ちゃんの干渉制御は効かない。

 翡翠ちゃんは逃すべき。

 でも、身動きの取れる人は誰もいない。

 はずだった。

「重力制御!」

 翡翠ちゃんの声。

 何をしたのか分からないが、マヨタンを縛っていた枝が緩んだ。

 その隙に、思いっきり上にジャンプした。

 数本の枝が追いかけてきたが、翡翠ちゃんが何かしてくれたのか、下に落ちていった。

「ありがとう!」

 マヨタンはそう叫びながら翡翠ちゃんの横に着地した。




 私、星月夜翡翠(ほしづくよ ひすい)は、噴水広場へたどり着いた。そこで目にしたのは驚きの光景。

 うずくまった苦しそうなれみさんに、珠夜さんが寄り添っていたところ、れみさんがなんだか変なことになった。

「れみさーん!!珠夜さーん!!」

 私はそういいながら、珠夜さんのほうへ向かって走る。

「翡翠ちゃん。あれ、ゾメッチと一緒じゃ」

 珠夜さんは戸惑いの表情を浮かべた。そういえば、望初さん置いてきちゃった。

「あの……みゆさんが……ちょっと長くなるので後で話しますね。それよりれみさんは!いや……別に望初さんのことが心配じゃない訳ではありません」

 今思い返すと、なかなか複雑な状況だったな。

「固有魔法、風属性、俊足!!」

 珠夜さんの固有魔法が発動する。珠夜さんはとても速い。

「っ……」

 何か、植物のツタ、いや枝かな?のようなものが珠夜さんを追いかける。あれ、珠夜さんより速い気がする。珠夜さんは苦しそうだ。

「上級魔法、風属性、疾風刃!!」

「火球!!」

 珠夜さんがいろいろな魔法を駆使して、れみさんに近づこうとしていた。しかし、植物の枝が珠夜さんに巻き付く。

 それは、れみさんの背中から出てきていた。

「珠夜さん!!大丈夫ですか!?きゃぁ!!!」

 まずい、そう思って珠夜さんに近づこうとしたら、私も枝に巻きつかれてしまった。

 何かできることはないか。とりあえず、魔法を打ってみた。

「重力制御!」

 れみさんの重力をちょっと強くしてみた。

 すると、私たちを縛っていた枝の力が緩み、縛られていたのが解けた。れみさんが、本体なんだ。なんだか複雑な気持ちだ。

 私はそのまま地面に着地した。重力が効いているのか、追撃はこない。

 この魔法、ちゃんと使えるじゃん。

「ありがとう!」

 珠夜さんがそういいながら、私の横へ着地した。


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