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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
干渉制御
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虹蝶繭羽戦

 相手は魔法屋店主。

 私、星月夜翡翠(ほしづくよ ひすい)の魔法、干渉制御は効かないと思っていい。

 事実、さっきがんじがらめにされた。

 いつの間にか解いてくれてたんだ。気がつかなかった。

 それくらいの強さの相手だ。

「固有魔法、翡翠神、干渉制御」

 気休めにすらならないだろうが、一応繭羽(まゆう)先生への干渉は外しておく。

 繭羽先生は一歩も動かない。

 こっちからこいということなのだろう。

 どうしたら良いのだろうか。

 空気や地面を使ったもの程度では交わされてしまうだろう。

 私は撃つ手がない。

「私にはね、妹がいるの〜。一緒に霊界にきた実の妹だよ〜」

 私に撃つ手がないことぐらい分かっているのだろう。

 繭羽先生は話を始める。

「もしも、あなたが、神で、魔法屋店主を超える強さを持つのなら……私の妹を止めてほしいの〜」

 繭羽先生、基本的に軽いのに、たまに神聖な雰囲気だすから、びっくりなんだよな……

 とりあえず、この間に作戦を考えた。

 私は正面に向かって走りだす。

「固有魔法!翡翠神!干渉制……」

 詠唱するふりをする。

 これはふりであって、実際に魔法は出さない。

 狙うは繭羽先生の鳩尾。

 直接殴りに行く。

 繭羽先生は、私の予想通り、魔法を防御しようと、一歩後ろに下がっていた。

 私はその一歩分の距離を大きく踏み込み、繭羽先生の鳩尾を狙う。

 繭羽先生は、魔法がフェイントだとわかったのか、私の拳を両手で受け止めようとする。

 普通なら、これが本命なら、受け止められて終わっていただろう。

 ただ、忘れてないだろうか。

 1番最初に繭羽先生への干渉を外したことを。

 繭羽先生をすり抜ける。

 繭羽先生の後ろにすり抜けることで回り込む。

 ちょっと引っかかる感じもあったが、問題はなかった。

 水中を通ったような感じだ。

「……」

 繭羽先生もちょっと驚いている様子だ。

 狙うのは、繭羽先生が振り向いた瞬間。

 突撃する。

 これは本当に本命。

 効かなかったらもう終わりだ。

 繭羽先生にもう一度めり込む。

「固有魔法、翡翠神、干渉制御!!」

 繭羽先生に干渉する。

 明里先輩にやったのと同じだ。

 頼む、効いてくれ!!!!

「ハァァァァッ!!!!」

 意味もなく雄叫びを上げる。

 繭羽先生は……

 内側から破裂した。

 破片一つ残っていない。

「や……やっ……やった?」

 辺りは静寂に包まれている。

 どこからか繭羽先生が出てくる様子はない。

「やった!やった、やった、やったぁ!!」

 すごい達成感がある。

 張り詰めていた空気が緩んだため、その場で座り込んでしまったが、勝利の喜びを噛み締めて声を上げる。

 信じられないけどやった。

 魔法屋店主を超えた。

 私はやりきっ……

「固有魔法、草属性、繭糸万本だよ〜」

 てはいなかったのだ。

 縛られて、体が宙に浮いたかと思うと、目の前に繭羽先生がいた。

「種明かしをしようと思うの〜。そもそも、あなたが爆発させたやつは、ただの糸だったんだよ〜!それで、私は隠れてたの〜。どこか知りたいよね〜?それはね、ここの真上だよ〜。糸をはって、ハンモックみたいにして普通に座ってたんだよね〜。目の前しか見ていないから、簡単なところにいたのに気が付かなかったんだよ〜。それに、この程度で私に勝てると思うのは飛んだ傲慢なんだよ〜。まあ、ここで私が負けたら魔法屋店主の面子が丸潰れだから手加減なしだった訳だけど〜それにしても聞き捨てならないと思うの〜」

 つまりはこういうことだ。

 最初から私が見ていたのは偽物だったんだと。

 この程度で魔法屋店主に勝てると思うのは、とんだ傲慢なのだと。

 最初から同じ土俵に立ってすらいなかったのだ。

「あなたはちょっと強いとはいえ、あくまでも新入生なんだよ〜。ほらほら、氷川 愛洲の言ってたことも案外的を得ているの〜。無理をしないで、力に溺れないことが大事なの〜」

 ははっ、結局全て手のひらの上だったって訳だ。

「さてさて〜自分の弱いところが見つかったってことは、伸びるチャンスってことなの〜。えっとぉ〜確か無詠唱発動がやりたいんだったよね〜?さぁさぁ、訓練を早速始めるよ〜」

 繭羽先生の言うとおりだ。

 それに、これから精進していけばいい。

 今回のことを教訓にして、これから頑張ろう。

「先生!!!よろしくお願いします!!!」

 思いっきりお辞儀しようとしたが、縛られていたのでできなかった。

 だからせめてと全身全霊をこめた声でお願いした。

「やる気があるのはいいことなの〜」

 繭羽先生も認めてくれたようだ。

「それに〜あなたには私より強くなってもらって、私の妹を止めてもらわなきゃいけないしね〜」

 そんなことを期待されているのか。

 繭羽先生には妹がいる。

 他人にそれを任せようとするくらいだから、自分で妹を止めようとして失敗しているのだろう。

 でも、妹を止めることを新入生の私なんかにすらお願いするのだから、妹は繭羽先生にとってものすごく大切な人なのではないだろうか。誰彼構わず相談するほどに。

 だったら、これは断らなくてはいけない。

「ごめんなさい!もちろん、繭羽先生は超えてみせます!!でも、繭羽先生の妹を止めることは私にはできません。繭羽先生の妹を止めるのは、繭羽先生です!!」

 繭羽先生は呆気にとられたような表情をしていた。

 左目が思いっきり見開かれているが、右目は動いていない。

「そ、そ、そう言われるとは思わなかったの〜。私を絶対に超えようとする気概は誉めるに値するよ〜。まあごもっともの意見だね〜。私達の問題は私たちで解決しないとって言いたいところだけど、もぉ私達の問題って感じじゃ収まらないのよ〜。だから、積極的に妹を止めろとは言わないけど〜もし出会った時があったら〜その時は頼んだよ〜」

 なんかいつも通りの口調にしているが、取り繕っている感が拭えていない。

 左目があらぬ方向に忙しなく動いている。

 右目は動いていない。

 こう見ると、繭羽先生もそれほど歳が離れていないように見えてくる。

「あっ〜さっきから気になってるっぽいから言っとくけど〜右目は義眼ね〜」

 強引に話題を逸された。

 あっその右目、義眼だったのか。

 多少の違和感はあれど、そこまで変じゃない。

 霊界の技術力はそれなりに凄いのかもしれないと実感した瞬間だった。


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