潜む敵
セーラさんが片足で天花様を追い続ける。天花様は攻撃を避けれてはいるが、反撃は出来そうにない様子だ。
「初級魔法、風属性、追風」
あんまりやったことないけど、実は私、星月夜翡翠は属性奥義のおかげで全部の属性魔法を使えるんです。っていう自慢気味なことはどうでもいいとして……
使えるものは全て使おうって思ったから。私は今、風の魔法でセーラさんのところに空から降ってくる羽を集めた。
この羽の効果はちゃんとは知らないけど、なんか強そうだし。
羽をセーラさんの身体に押し付けるように風吹かせれば、長時間触れたままの状態が作れるはず。まずはしっかり足を狙おう。
「!?」
セーラさんの片足が消えた。
流石のセーラさんもその場に倒れこむ。そんなセーラさんの上に羽が降り積もっていく。
「意味が分からないんですけどぉ!」
セーラさんは消えていく自分の身体を見つめながらそう叫んでいた。
倒せた?
呪莉さんが復活してきたから、セーラさんも復活する可能性はあるけど……味方にだけ奇跡が起こるほど甘くないよな……
まあ、しばらくは戻ってこないだろう。この間に謀さんを……いろいろありすぎて忘れかけてたけど、謀さんの魔法って洗脳じゃなかったっけ?だとすると、この場に単独でいる方が違和感。
それに、投げつけている算盤には偽物が混じっていた。幻影使いが近くにいる可能性がある。
例えば、銉ちゃんを殺したあいつとか。
杞憂だったら嬉しいけど……
「霊魂制御」
周囲の気配を探る。
いたわ。
あと待って、その近くにすごく薄い気配がもう一つある。暗殺者的なことしようとしてる!?
どうしよう、よく今まで私たちは無事だったな。セーラさんが追い詰められても反応がなかったってことは、謀さんの洗脳兵?でも謀さんはセーラさんを守っていたよな……この人たち何のためにいるんだ?もしくは、羽の効果を知っていて放置した?
とりあえず何とかしないといけない。こっちから相手を刺激してしまえば逆に相手を暴れさせてしまい、謀さん側の戦いに支障が出る可能性がある。
私も暗殺者みたいにさっと近づいて、サクッとやっちゃおう。
「干渉制御」
霊界への干渉を薄くする。視界もあいまいになっちゃったし、音もぼんやりとしか聞こえない。でも、これならかなり存在が薄い状態になれているはず。
暗殺者っぽい人の目的は分からない。ただ、幻影使いの方は既に動いているし、そっちから行くか。
霊魂制御で周囲の気配を探りつつ、そっとそっちへ近づいていく。
天花様が不思議そうな目で私を見ていた気がしたけど、他人に説明した時点で相手を刺激しちゃうかもしれないから申し訳ないけど無視させていただく。
「干渉制御!結界奥義」
幻影使い、小狐丸鈴の後ろに回り込み、私はただ首を狙った。
「……」
視界をさっきまでぼやかしていたのが裏目に出た。暗殺者っぽい人の動きに気が付かなかった。よく見たらこの人、燈陰……どっちだ?この気配の薄さは燈陰桃花?どっちでもいいけど、燈陰桃花が小狐丸鈴の身体を引っ張って結界奥義を回避させてしまったため、奇襲は失敗した。
自分でいうのもなんだけど……それにしてもよく私の動きに気づいたよね。
暗殺者、燈陰桃花がいるのは小狐丸鈴の護衛だったのかも。だとすると、謀さんには幻術がないとまずいってことになる。
一人で戦って勝てるかな……いや、勝てなくていい。小狐丸鈴に一撃でも与えて謀さんの方に隙が出来れば、みんなが謀さんをボコボコにした上でこっちに来てくれるはず。
別に2対1ではないからね。小狐丸鈴を守る燈陰桃花を倒すだけ。1対1だ。
落ち着いていこう。




