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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
霊魂制御
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ターゲット

「やっと見つけた、君が天花(てんか)ちゃん……絶対に狩るんだゾ☆」

 突然現れた炒菜椿(いりなつばき)は何もかもを無視して天花様に襲い掛かった。

「な、何なのよ!?私、あなたを知らないんだけどっ」

 天花様が慌てて攻撃を避ける。援護しないと、攻撃はすぐにでも当たってしまいそうだ。

「結界奥義」

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は、炒菜椿の周りに結界を張る。動きが制限されれば、天花様は自力で避けられるはずだから。

 相変わらず(はかり)さんとセーラさんが争い続けてくれているからいいけれど、2人がもしこっちへ注意を向けたらすぐにやられてしまう。

「固有魔法、雷属性、巫女舞雷竜なのです」

 幽依(ゆい)先輩も援護してくれているし、なんとか天花様を守り切った上で炒菜椿を追い返したい。

 そう、戦いに集中するんだ。そうすれば、余計なことは考えなくて済む。

「ふふ、今日の椿様は機嫌がいいのカナ☆」

 炒菜椿はそう言いながら結界を軽く吹き飛ばし、雷の龍を鎌で真っ二つにした。

 どうしてそんなに天花様に執着するのだろうか?

「何で、天花様ばっかり……」

 避け疲れた天花様が私と同じ疑問を口にした。

「可愛いからなんだゾ☆」

 炒菜椿の言葉に、耳を疑った。確かに天花様は超美人だけど、何の関係があるのか分からない。

「どういうことなの?」

 回復魔法を構えつつ、明里(あかり)先輩がそう尋ねる。

「気になってるのカ☆」

 炒菜椿は不思議そうに首を傾げている。

「聞きたいわよ!意味も分からず狙われるなんてごめんだわ!」

 天花様がそう言うと、炒菜椿は攻撃の手を止めて私たちから距離を取った。

 相変わらず、死神って話し合いに持ち込むの簡単だよな……

「椿様はね、美しくなりたかったんだゾ☆」

 炒菜椿は大げさに語りだす。既にかなり美人だと思うけれど……

「だから、椿様を美しく出来る顔を探していたんだよネ☆」

 それが天花様ってことなのかな?

「でも、椿様より美しい顔なんて見つからなかったんだゾ☆」

 でしょうね。

「そんな時、天花ちゃんを見つけたってことなのカナ☆」

 理解はできないけれど大体わかった。炒菜椿は天花様の顔が目当てなんだね。

「何なのよ……」

 天花様が完全に引いている。

「うぐぅ……」

 幽依先輩は気分が悪そうだ。今の話、若干ぐろかったよな。それを炒菜椿は笑顔で語っちゃうし。

「だから、貰っていくんだゾ☆」

 炒菜椿が再び襲い掛かってきた。もう少しうまいこと話して撤退させたかったけれど、そういうわけにはいかないらしい。天花様を差し出せば帰ってくれそうだけど、それはちょっとな……

「もらいっ☆」

 ただ、気が付いたときには何もかもが遅かった。

 わけでもなかった。

 天花様の顔に鎌が突き刺さった様に見えたけど、よく見ると直前で止まっている。

 天花様の顔は見えないが、炒菜椿のあり得ないようなものを見るような目がはっきりと見えた。

「うるさいんだゾ☆」

 炒菜椿は茫然とした様子でそう呟いた。

「知らないほうが幸せなこともあるのカナ☆」

 二人の間に何があったのかは分からないけれど、隙が出来ていることに変わりはない。

 ただ、忘れちゃいけないのが空から降ってきている羽の存在。

 二人がこの場にとどまればまとめて消えてしまう。

 炒菜椿がそれでやられてくれたらラッキーだが、天花様は何とかしないと。

 これ以上、羽の犠牲者を出しちゃいけないもんね。

 ……これ以上?

 ……誰か、既に?

 あ……

 待って……

 考えないようにしていたのに、ほんのちょっとのきっかけで感情はあふれだす。

 呪莉(じゅり)さんっ!

「あぁ ……」

 私は頭を抱えて立ち尽くした。もう羽を避ける気力もないし、ましてや戦闘なんて……

「超級魔法、雷属性、雷電轟撃」

 幽依先輩が頭の上の羽を散らしてくれていたので助かっているが、もし炒菜椿が動き出したり、謀さんとセーラさんが争いを止めてこちらに攻撃を仕掛けてきたりでもしたら私はもう助からない。

 生きなきゃいけないのに……

 やらなきゃいけないのに……

「全く、問題児たちで私は手一杯なんだから、そんなに面倒見てやれないんだけどねぇ」

 その時、私の頭に誰かの手が置かれた。

 この声……呪莉さん?

「この羽の力は消滅じゃなくて人間界への転送らしいんだぁよ。夢叶(ゆめか)っていう名前の存在に助けてもらってねぇ」

 呪莉さん、生きてる?

「本来なら無理やり人間界に転送される過程で魂が保持できなくて死ぬところだったけど、助けてもらったんだぁよ」

 思考を読まれているのか、適当な返しをくれる。

「さて、全てちゃんと終わらせるんだぁよ」

 その言葉に、私は顔を上げた。

「もちろんです」

 そして、力強くそう言った。


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