言葉
世界への反逆者との戦闘が始まった。
セーラさんは満身創痍なはずなのに、最初より動きが速くなっている気がするし、謀さんには無数の算盤に阻まれて近づけない。
呪莉さんでも、無理なのかな?
そう思って私、星月夜翡翠は呪莉さんを見た。
呪莉さんの目は鋭かった。隙を伺っているのかも。
「援護するわよ」
そんな私の視線に気が付いてか、天花様がそう声をかけてくれた。
やることは分かった。
結界に氷属性の魔法を付与して展開する。これで氷属性の魔法が強化される。算盤に本物と偽物があることを伝えるべきかどうか悩んだけど、謀さんは天花様の知り合いだからそもそも知っている可能性があるのと、天花様は範囲攻撃だからそんなことは気にせず全部吹き飛ばせばいいと思ったので止めておいた。
それにしても、怖いのはセーラさんが。まさか、攻撃を受ければ受けるほど速くなってたり……は流石にしないでほしいけど。
「白魔結晶!」
天花様が魔法を発動した。それは景色を凍てつかせた……ってのは嘘だけど、風とか算盤とか、何もかもが止まった。
強化しすぎちゃったかな?問題ないからいいか。
呪莉さんがその隙を逃さず一気に謀さんに突撃していく。
「ーーー」
その時、謀さんが何かを言った。遠かったし、天花様の魔法もあってそれは聞こえなかった。
でも、その一言で呪莉さんは膝から崩れ落ちた。カラン、と音を立てて、呪莉さんの手から笛が落ち、消えた。
何か言葉に魔法が込められていた?いや、そんなことはいい。謀さんの目の前で隙を晒せばまずいのは明白。
「結界奥義」
気休めにしかならないかもしれないけど、一旦呪莉さんと謀さんの間に結界を張った。
「……なっ!?」
天花様は訝し気に呪莉さんを見ていたけれど、そんな天花様の横からセーラさんが突っ込んできた。その直後に明里先輩の魔法も飛んできたから天花様は無事だと思うけど……攻撃がお腹を貫通してたし、痛かっただろうな。
「申し訳ないのです」
}幽依先輩が慌てて雷の竜をセーラさんにぶつける。セーラさんにダメージは確実に入っている。それなのに、どうして?
「言う暇なかったから言ってなかったけど……セーラは傷つけば傷つくほど強くなる、でも一定以上傷つけばちゃんと死ぬらしいからめげないで!」
天花様がそう言って、セーラさんに反撃していた。少し予想ついていたけれど、セーラさんは一番厄介なタイプじゃないか……
それより呪莉さんは……
「あははっ!」
だめだ、セーラさんが来てる。呪莉さん、無事でいてください。
セーラさんの攻撃は避けられるし、当たったとしても明里先輩が何とかしてくれるから大丈夫だけど、この攻撃を捌きながら呪莉さんの援護に回れるかと言われれば……それはできそうにない。
一定量以上のダメージがあればセーラさんはちゃんと倒せるんだよね。だったら一撃必殺で決めるしかない。
最高火力を持ってるのは明らかに呪莉さんだけど……
私たちでやらなきゃ。
「みんなで一斉に魔法をぶつけましょう、セーラさんが倒れるまでずっと」
私はそう言った。早く呪莉さんを助けに行きたいけど、セーラさんがいる限りどうしようもないし。
「分かったのです」
「いいわよ」
幽依先輩と天花様が頷いてくれた。明里先輩は一歩下がって回復を準備してくれている。
「固有魔法、翡翠神、属性奥義」
「固有魔法、雷属性、巫女舞雷竜」
「固有魔法、氷属性、白魔結晶」
要らないけど、タイミングを合わせるために詠唱をした。幽依先輩と私は走りながらの魔法の発動だ。天花様と合わせて三方向からセーラさんを追い込めるように。
その後もひたすら属性奥義を連射する。
何も見えないから倒れたかは分からない。でも、霊魂制御なら……
まだ生きてるっぽい。しぶといな。
撃ち続けよう。




