ダブル襲撃
魔法屋の壁が壊された。
これに衝撃を受けたのは私、星月夜翡翠だけじゃなかった。
というか、むしろこの場所をよく知っている魔法屋店主の皆さんの方が驚いているだろう。自分たちが思いっきり死神と戦って、その流れ弾がいくら壁にぶつかったとしても壊れなかったのだから。
それらの情報から、敵がとんでもない力を持っていることは想像に難くなかった。だからみんな、敵意むき出しで周囲の様子を探っている。
私も霊魂制御で探ってみた。
この気配、知ってる……
間違いない、ユェンユェンだ。でも、どうして襲ってくるの?せっかく魔法屋への死神を止めてくれたのに。
「なるほど、長姉に合わせればいいのか」
「虹蝶みゆはそう言っていました」
これはツェンツェンとレンレンさんも!?
「魔力防護……一気に畳みかけるわよぉ」
強護さん……?
魔法学校からも襲撃が来ているってこと?死神とタイミングを合わせて?
でも、レンレンさんが虹蝶みゆって言ってた。みゆさん捕まってなかったっけとか、帆野歌さんとはもう連絡を断ってたはずだとか、いろいろ疑問はあるけれど、みゆさんなら死神のタイミングを図ってそれと同時に刺客を遅らせることくらい簡単なはずだ。
厄介なことには変わりない。
死神と魔法学校で潰しあいをしてくれればかなりいい状況に出来るけど、襲撃してきた死神がユェンユェンである以上、レンレンさんとツェンツェン側を襲うことはまずない。そこまできっと計算されているんだろうな。
凄まじい衝撃波が飛んできた。栄華さんが大部分を相殺してくれたけど、それでも強い。ユェンユェンも日生蓮と似たような戦い方をしてくるのかも……鎌をとにかく振り回して敵を吹っ飛ばす感じで。
「それっ」
ユェンユェンの攻撃を受け流していたところ、横から蹴りが飛んできた。ツェンツェンだ。
「ねえ、やめて!死神が来ててそれどころじゃないんだよ!」
私はツェンツェンにそう声をかけた。
「僕らは長姉の味方だからな」
そう返された。ダメそう、話し合いじゃ解決しないっぽい。
「結空、魔法学校からの敵を全員別の位置に移してもらいたいんだぁよ。一部の戦力もそっちへ頼むねぇ」
呪莉さんが虚空に向かってそう言うと、ツェンツェンもレンレンさんも強護さんも、他の生徒たちもどこかへ消えた。結空さん強すぎ……
魔法屋店主の数も減ったので、その人たちが別の場所でなんとかしてくれることだろう。
『どっちがいいですか?』
何もないところから声が聞こえた。結空さんだ。
私はどっちで戦いたいのかを尋ねられているようだ。
どっちがいいんだろう?
でも、ユェンユェンと話がしたい。だったら……
「こっちでお願いします」
『分かりました』
やると決めたらここでしっかり戦うんだ。
ユェンユェンの正確な位置は分からない。霊魂制御でなんとなくは分かるけど。
さっきから攻撃が飛んできている。鎌を振った衝撃波だけでこの威力だから、掠っただけでも即死しちゃうって感じ……やば……。
うん、大丈夫。
ユェンユェンは死神になったとしてもユェンユェンだもん。
話せばちゃんと解決するし、誰かを殺されることもないはずだ。
よし、いくよ!




