死神山
なんやかんやでいろいろあって……私、星月夜翡翠は凱阿さんと共に死神山へ向かっていた。
不思議だな。本当にれみさんが生き返ったみたいに見えるし、そもそも初めてあった人と一緒に死神山へ行くという謎すぎる状況だし。
「それで、何をしに行くの?」
凱阿さんがそう言った。さっきの天花様との喧嘩からは想像できないほどに優しい声だった。優しい人ほど怒ると怖いってこういうこと?
「魔法屋が大量の死神に襲われてしまっているんです。おそらく身体狩りが原因なので、その原因を潰しに行きたくて」
私がそう言うと、凱阿さんが目を見開いた。
「身体狩り!?思ったより大きな目標……一人でやるつもりだったの?」
まあ、確かに……無茶しようとしていたかも。
「……すみません」
反射的に謝る。そうだよね、一人で行って失敗してきたら何もないもんね。
「呪莉が言った通り、危なっかしい……」
凱阿さんがそう呟いた。既に呪莉さんに会ってるのか。
少なくとも、凱阿さんが目覚めたのはれみさんが消えた後だろうし……いつ頃なんだろう。
「いつ、気が付いたんですか?柘榴神に乗っ取られていたんですよね」
興味だけでそう尋ねてみた。
「すぐだよ、気が付いたら店主の間にいて……呪莉曰く存在は隠しておいた方がいいらしいから引き篭もってたけど。まあ、今はそんなこと言ってる場合でもなく戦力がほしいらしいけどね」
凱阿さんは呆れた様子だ。都合よく使われてしまっている気がしてならないのだろう。
「気にしないで、呪莉は友達みたいなものだからさ。あの子だって責任とかいろいろ大変なの分かってるし」
私の思考を察してかそう言った凱阿さんの表情は満足そうだった。
呪莉さんは3代目魔法屋店主。初代のみゆさんは頼れないだろうし、責任を負うことなく自然体で話せるのは2代目魔法屋店主である凱阿さんだけなのかもしれないね。
「さて、気を引き締めていこうね」
話をしていたらいつの間にか死神山へ辿り着いていた。凱阿さんは迷うことなく踏み込んでいく。
「わっ!」
思わず声を上げてしまった。
入ってそうそう、人が倒れていた。寝転がってるだけかもしれないけれど、うつ伏せになってるし……死体みたいでちょっと、いやかなりビビった。
「はぁぁ……面倒な……で、何の用?」
「ぎゃぁ!」
なんか変な声出ちゃった……
だって、死んだように倒れていた人がいきなり起き上がってきたんだもん。
「えっ……」
また声が出た。
仕方ないでしょ、だって起き上がってきた人に見覚えがあったんだもん。
「立ち去ってくれるなら何もしない……はぁぁ〜。こっちとしても怠いから」
ため息を吐きまくってるのは間違いなく死神二冠の1人、名前狩りの藤原玲菜だった。
まあ、死神も馬鹿なわけじゃないし、いきなり炒菜椿をここに配置はしてくれないよね……くらいには思ってたけど、これは聞いてないって!?
「はぁぁ……なんで凱阿……」
そう言って藤原玲菜は凱阿さんを鋭い目で見る。
「戦わなきゃいけないじゃん……寝たい……」
そう言った直後、藤原玲菜の姿は消えた。これは消えたように見えるだけ、気配はある。
そして発言的におそらく狙いは凱阿さん。
勝てるかな?いや、勝たなきゃな。




