まだ死ねない
「ゾメッチ!」
珠夜の声にふと我に返る。
あれ……私は……
そう、私は虹蝶望初、らしいわよ。
多分、希望学校に攻め込んできた世界への反逆者と戦っていて……で、何だったかしら?
「落ち着いて、ゾメッチなら勝てるから」
ああ、そうだったわ。
私は敵のど真ん中に突っ込んだ。心のどこかで死を期待しながら。
珠夜の目に、私はどう映っていたのかしら?無鉄砲な愚か者か、それとも気合が入りすぎた戦闘狂か。まあ、良い印象は与えていないでしょうね。
一旦落ち着くとしましょうか。少し死を期待してしまうのは私情として置いておいて、希望学校は守らなくてはいけないものね。
「ごめんなさい、しっかり戦うわ」
私はそう言って珠夜と背中合わせになって立つ。
「うん、絶対勝つよ!」
珠夜がそう言って敵の中へ突っ込んでいった。あなたも私と行動がほぼ同じじゃない……
そんなことを思い、珠夜が敵を爆破していくのを眺めつつ、珠夜が打ち漏らした敵に魔法を打ち込んでおいたわ。
「ひゃっ!」
珠夜が反撃をくらいそうだったので、それを魔法で相殺しておいたわ。相殺時に起こる多少の風は我慢してもらうことになるけれど。
「はぁぁ……」
思わずため息が出てしまった。まだ、死ぬわけにはいかなそうだったのだもの。まだ、生きてやるべきことがありそうね。
「それっ!」
私、星月夜翡翠は子栗鼠ちゃんに思いっきり魔法を打ち込んだ。
絶対にここで仕留める。もう逃がさないんだから!
「ふぐぅ」
あんまりあたってない。こんなに狭い空間に閉じ込めてるっていうのによく避けるな。でも、ちゃんとダメージは入ってる。
私は結界をさらに狭くした。そのまま潰して殺しちゃうくらいの勢いで。思いっきり。
「っ……!」
それを見たミレイユが慌てた様子で私に向かって鎌を投げつけてくる。
「天花様を見くびらないでほしいわけ。絶対零度!」
でも、その隙に天花様がミレイユを完全に凍らせた。
できれば鎌を打ち落としてほしかったんですがね。私は鎌を避ける、一瞬の隙を作ってしまう。
そのタイミングで結界を割られてしまった。
流石は死神三傑……強いよ……一筋縄じゃ行かないね。
「……」
さらに、メロディー先輩が追い付いてきた。メロディー先輩は戦場から遠ざけておかないといけないのに。
「任せな」
誰かがメロディー先輩を捕まえた。メロディー先輩が狂っちゃうのを止めようとしてくれている味方かもしれないし、ただただこちらの戦力を削ぎにきた敵かもしれないのでなんとも言えないが。
でも、今、子栗鼠ちゃんを仕留めないと……
「干渉制御」
私は子栗鼠ちゃんへの干渉を外して突っ込んだ。いろんな魔法が使えるようになったけど結局これが一番強いよね。
私は子栗鼠ちゃんにめり込んだ状態のまま子栗鼠ちゃんに干渉した。
内側から爆破した。
「絶対れ……」
「固有魔法、魔法屋店主、強制送還」
天花様が詠唱するより速く、ミレイユがなぜか使える魔法屋店主の固有魔法で逃げ出してしまった。
ミレイユの姿が消えた。
……逃げ、られた……?
「無効化するね」
でも、メロディー先輩を抑え込んだ人がそう言うと、ミレイユがなんか戻ってきた。
天花様がさっき打とうとしていた魔法がそのままミレイユにぶつかる。
ミレイユも子栗鼠ちゃんも消えた。倒せたよね?逃げていないといいけど。
「ありがとうございます……え?」
私はメロディー先輩を抑えた上でミレイユをここへ戻してくれた人へお礼を言った。
私は目を見張った。
だってその人は……
「れみさん、ですか?」
思わずそう言っていた
あまりにもそっくりだったから。




