作戦
「止まってください!」
私、星月夜翡翠はとりあえず、メロディー先輩と死神の間に滑り込み、メロディー先輩の杖を結界奥義で受け止めた。
「何してるのよ?」
天花様が訝し気な目でこちらを見ている。はたから見たら、私は謎に死神をかばっている人だ。そう言う目を向けられるのも仕方がない。
「……?」
メロディー先輩がさらに激しく杖を振り回した。私のことなんてお構いなしだ。
「落ち着いてください、あの……」
何とかしてメロディー先輩を止めたいけれど、そもそもメロディー先輩がこうなった原因が私にもある以上、強くは言えなかった……言わなきゃいけないのに。
「いい加減にしなさいよ」
そうこうしているうちに、天花様によって私は引っ張り出された。メロディー先輩が再び死神を殴り始める。
「天花様はこのままでいいんですか!?」
私がそう尋ねると、天花様は俯いてしまった。
「死神を倒せるなら……使えるものは何でも使うくらいの考えじゃないと、勝てるものも勝てないわよ」
天花様はそう言った。とても、辛そうに。
死神を見逃してしまったとしても、メロディー先輩を止めるべきだと私は思ったが、天花様はそうじゃないらしい。
「彩都が天花様たちの分も魔法屋で戦ってるのよ。それなりの責任がある、私情で死神を逃がすなんて……」
責任……
何にも考えてなかったな。目の前のことだけ考えちゃって、戦ってるのは私たちだけじゃないのに。
「あはは、あははははっ!」
狂っていくメロディー先輩をただ見ていることしかできないなんて。
仕方がないといえばそれまでだけど……
私はメロディー先輩を止めるという役割がある。こうなってしまったのは私のせいでもあるから。
でも、魔法屋、希望学校で戦ってくれているみんなのために、死神を確実に倒すという役割もある。みんなのおかげで今、ここにこうして立てているのだから。
こんな時、今までどうしてきた?
選ばずに、選べずに、無理矢理どっちも取ってきた気がする。
今回もそうしたい。
でも、メロディー先輩を止めた上で、ミレイユと子栗鼠ちゃんを倒せる?
メロディー先輩はおそらく、邪魔になるものには全て襲いかかってくる。私も例外じゃない。
つまり、間に入り込んだとすれば3人同時に相手をしなくてはいけなくなる。
天花様はメロディー先輩に攻撃することに躊躇しちゃうかもだし……
「何考えてるのか分からないけど、天花様を舐めすぎよ」
天花様がそう言って、私の前に立った。
「要はロディーちゃん?に死神を狩らせなければいいんでしょ。天花様が一撃で死神を吹き飛ばすから、一体はあなたが追撃しなさい」
天花様の案はメロディー先輩より早くに死神を倒してしまうというもの。
確かに、それなら……
「頭を使いなさい、無茶が通り切る世界じゃないんだから」
そう言ったかと思えば、天花様はすでに飛び出していた。
「それっ!」
天花様はメロディー先輩の杖に魔法をかけた。
狂ったように死神を叩き続けていた杖が、突然死神を吹き飛ばした。
「白魔結晶!」
天花様がミレイユに追い打ちをかける。
「結界奥義」
私は子栗鼠ちゃんを閉じ込めた。メロディー先輩の杖でかなり弱っているし、ここから攻撃すればいいはず。
今度こそ!




