突入
虹蝶呪莉、虹蝶栄華、虹蝶望初の三人は世界への反逆者の拠点へ向かうこととなった。また、案内係として舞羽珠夜も連れていくことにした。
「ここが、なるほどねぇ」
舞羽珠夜の案内で、世界への反逆者にたどり着いた虹蝶呪莉はあくどい笑みを浮かべていた。
「ほな、好きなだけ暴れさせてもらおうな」
虹蝶栄華は目を爛々と輝かせている。
「えっと……」
そんなやる気満々すぎる二人のテンションについていけず、虹蝶望初は戸惑いを浮かべる。
「ゾメッチ、気にしないことにしよう。私たちは落ち着いて情報を探そうね」
虹蝶望初の横で、舞羽珠夜は不安げに呟く。世界への反逆者が少し怖いようだ。
「もちろん、そのつもりよ。目的を見失うのが一番ダメだもの」
虹蝶望初は深く頷いた。
その間に、虹蝶呪莉と虹蝶栄華は既に拠点へと踏み込んでいた。
響き渡る轟音は、2人の暴れっぷりを表していた。その陰に隠れるように、虹蝶望初と舞羽珠夜は静かに侵入していく。
当然、いきなり侵略された世界への反逆者は大混乱に陥っていた様に見えた。
「待ってください」
怖気ずくこともなく、魔法で対抗することもなく、ただ立ちはだかった一人の少女を除いて。
「何が目的でしょうか?こちらもある程度譲歩します。ですから手を引いていただきたいです」
少女は丁寧に頭を下げる。
「君の名前を聞かせてほしいんだぁよ」
虹蝶呪莉は少女を訝し気に見つめ、そう尋ねた。
「千葉です」
その名前に虹蝶呪莉は聞き覚えがあった。魔法屋に来た刺客である千花が言っていたものだ。
「千花という人を知っていますか?」
虹蝶望初も既に話は聞いていた。すかさず千葉にそう尋ねた。
「千花?知ってますが……」
千葉はただ首を傾げた。
「どのような関係だか教えてほしいんだぁよ?」
虹蝶呪莉が問い詰める。
「命の恩人みたいなものです。昔、千花には救われました」
千葉は淡々とそう答えた。
「呪莉?お預けになってしもうか?」
虹蝶栄華はそわそわとした様子である。もっと暴れたかったようだ。
「もう十分だと思うけどねぇ」
そう言った虹蝶呪莉の視線の先にあったのは、瓦礫の山だった。その中にちらりと見えた気がした赤い液体は無視するらしい。
「えっと、とりあえずもう少し詳しく……ね?」
その隙にその場を立ち去ろうとした千葉の腕を舞羽珠夜はしっかりと掴んだ。
「……話の対価はありますか」
腕を掴まれた千葉は舞羽珠夜の目を真っ直ぐに見つめてそう言った。先ほどまでの様子からは想像できないほどに重く暗い声音だった。
「手を引く、栄華さんを引きずってでもちゃんと帰る」
狼狽える舞羽珠代の横から虹蝶望初が口を挟んだ。
「ゾメッチ……」
舞羽珠夜は気合を入れ直し、千葉をしっかりと拘束する。
「対価に見合う話はありますか?」
その凍てつくような言葉と冷め切った瞳に、千葉は鳥肌が立つのを感じた。
虹蝶望初はそれほどまでに怖かった。
「全部話す、全部!」
千葉は勢いのままにそう言った。両目に涙を浮かべながら。




