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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
属性奥義
124/177

復帰

「っ……お姉さま!」

 闇空帆野歌(やみそらほのか)の目が覚めた。すかさず闇空帆傘(ほがさ)が近づいた。

「……ん、帆傘……魔法は?」

 おぼろげな意識の中、闇空帆野歌は疑問を浮かべる。寝ている間にも頭の中で星月夜翡翠(ほしづくよひすい)と会話していたため、疲労は大きい。

「……壊れちゃったのよぉ」

 闇空帆傘が悲痛な声で呟く。

「そう、ありがとね」

 そう言うと、闇空帆野歌は立ち上がった。直前まで眠っていたことが嘘のような機敏な動きだった。

「えっとぉ……」

 そんな姉に闇空帆傘は戸惑いを浮かべた。

「行ってくるわ……何とかしないといけないから。ここを、頼んでもいい?」

 闇空帆野歌は目線を合わせ、優し気に囁く。

「もう今までのように自分の悪評を振り向かないと約束してねぇ?」

 闇空帆傘はそう言って、闇空帆野歌の背中を押した。

 闇空帆野歌はそのまま駆け出した。

 希望学校へ。





 私、星月夜翡翠は珠夜(たまよ)さんと話した。世界への反逆者の拠点を教えてもらった。ということで早速出発しようとしたら、遡楽(さくら)さんに止められた。

「忘れてるっぽいけどさ、いま世界の危機なんだよ」

 そう言えばそうだった。私の霊魂制御と遡楽さんの時間遡行で何とかしているだけで、大飢饉が起こりかけてるんだった。

 騒動が収まるまではどこにも行けそうにないな。

 でも、無意識でこの大規模な魔法を維持できてたってことは私も少しは強くなったってことかな?

「遡楽も翡翠も、無理はすべきでないんだぁよ」

 呪莉(じゅり)さんの言葉。

 一気に疲労を感じた。そっか、私、強くなったんじゃなくて、疲労を無視してたんだ。

「固有魔法、無属性、時間遡行」

 遡楽さんが回復してくれたけど、そんなに元気になった感じはないな。

「私が、行きましょうか?」

 そんな私に声をかけてくれたのは望初(のぞめ)さんだった。

「私もその世界への反逆者の拠点に行ったことがあるらしいの。記憶は取り戻したいから、行ったことある場所はいろいろ行きたいと思っていたから」

 それはとてもありがたい提案だった。でも、傷が治せる霊界において、記憶喪失って満身創痍に当たるような……?うまく言えないけど、今の状態の望初さんに頼みごとをするのは申し訳ないと感じた。

「それなら私と栄華(えいが)でついていくんだぁよ。望初を連れて記憶探しの旅だぁね」

 呪莉さんが私の思考を見透かしたのか、さらに魅力的なことを言ってくれた。栄華さんまでいたら十分な戦力だし、世界への反逆者がやっていることも突き止めてくれるはずだ。

「うちか!?」

 栄華さんが驚いたように、でも嬉しそうにやってくる。

「そうだねぇ。ただ拠点が移動している可能性は高いから、何も見つからなかったら申し訳ないんだぁよ」

 呪莉さんはそう言って、栄華さんと望初さんと話し合いを始めた。私の返事を聞くことはなかった。お願いしたいが申し訳ない、それを分かり切っていると言わんばかりの態度だ。

 呪莉さんって優しい……そして強い。無敵じゃん。

「魔法学校の生徒会長の復活までどれくらいか分かったりしない?」

 遡楽さんに尋ねられた。

 帆野歌さんとまだ話せるかな?

 意識を集中させる。

『すみません』

 通じてるといいけど。

『どうかしましたか?』

 返事がきた。話が出来そうだ。

『帆野歌さんっていつ頃動けそうでしょうか?』

 すごい漠然とした質問になっちゃった……

『もう、大丈夫です。希望学校へ向かっているので少し待ってください』

 回復が早い。強い人なんだろうな。

 とりあえず遡楽さんに今の会話を伝えた。

「そっか、じゃあもうすぐ来る感じだね」

 そう言った遡楽さんの表情は安心しきったように緩んでいた。遡楽さん、きっとかなり疲れている。

 世界への反逆者の方の調査は呪莉さんが何とかしてくれる。

 帆野歌さんも復活して、飢饉もちゃんと収められる。

 るるの兄のことも何か分かるかもしれない。

 いろいろと進展している。すごくいい状況?

 でも、こういう時こそ忘れたくない。

 (りつ)ちゃんに氷川愛洲(ひかわあいす)炎帝(えんてい)さん……他にも見えないところとかでたくさんの人が死んでしまっているかもしれない。

 気を引き締めていかないと。


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