手がかり
私、星月夜翡翠は牢屋の前にいた。
みゆさんの隣、そこの牢に千花さんが入れられた。しばらくたって、千花さんは目覚めたそうだ。みゆさんはただ虚空を見つめていた。
呪莉さんに呼ばれたから、私はひたすら質問される千花さんを見ることになった。なんで呼ばれたのかは分からないけどね。
「それで、何があったのか教えてほしいんだぁよ」
呪莉さんがそんな風に何度も質問しているけれど、千花さんは何も答えない。
「千葉に会ってくるか?」
千葉さんを知っているということでついてきていた日生蓮がそんな提案をした。
「その……千葉さんって誰なんですか?」
私は聞いてみた。日生蓮に話しかけるのは結構怖いけどさ。
「世界への反逆者の一員だが?」
だそうだ。
え?世界への反逆者ってまだメンバーいたの!?今まであった人だけでも強すぎるのにさ。まだ一人増えるの?
うぅ、どれだけ強いんだよ、世界への反逆者……!
「戻って大丈夫なのかねぇ?ユェンユェンに自らのことをおしえてほしいと頼んだ時点で裏切り好意だと思うんだぁよ」
呪莉さんが日生蓮を不思議そうな目で見つめている。
「問題ない。行き先を告げずに出てきたからな」
日生蓮って世界への反逆者のはずだけど、なんか立場がよく分からなくなってきたな。結局味方になったの?それとも敵のまま?
「……だめ、ひなせ」
日生蓮にさっきからずっとくっついているユェンユェンがそう言って止めようとした。
「分かった……」
なんか日生蓮が素直すぎて不思議。ユェンユェンの言葉には従うようだ。
「再びの洗脳を恐れてる感じだねぇ」
ユェンユェンがなんで止めたのかあんまり分からなかったけれど、呪莉さんが教えてくれた。
「世界への反逆者はおかしい。あの子は……千葉が騙されてるの……」
そこで千花さんはようやく口を開いた。千葉さんは騙されて世界への反逆者として働かされちゃってる的な感じか?
「そんな様子はなかったが……我と同じく洗脳か?」
日生蓮がその言葉に不思議そうに首を傾げている。千葉さんの様子を知ってるんだろうな。
「世界への反逆者はおかしい、人間界で人殺しなんて!」
え、ちょっと待て。人間界での殺人?るるのお兄さんと関係が……決めつけるのは早すぎるけど、ようやく手がかりが見つかった感じだ。
長かったよ。これのために魔法学校の奪還を手伝ったりいろいろしたんだから。
「何をやってるんですか?世界への反逆者って」
私は聞いてみた。日生蓮と千花さんに向かって。具体的なこと、何も知らなかったって気が付いたから。
「うん、我もよく分からないが……とにかく戦っていたな」
教えてくれるのはありがたいけど、日生蓮、情報がないよ。
「人殺しばっかり。人間界でも霊界でも」
千花さんはそう言った。
確かに、2人の発言は一致しているといえるな。でも、最終目標とかそういうのは全く分からないね。
「調べるしかないみたいだぁね」
呪莉さんは呆れたようにそう言った。2人とも実質何も知らなかったようなもんだし。
拠点、行ったことあるはずだけど場所が分からないや。望初さんに珠夜さんなら知っているかもしれない。望初さんは記憶がないから知らないかも?
だとすると珠夜さんか。
るる、思わぬところでようやく進展したよ。いや、まだ進展したかは分からないけど……
「……翡翠、危ないよ」
ユェンユェンがそう言ってくれた。でも、ようやく、ようやく、るるのお兄さんのことがわかるかもしれないのに、引き下がるわけには行かないから。
「ありがとう、ユェンユェン」
私はそう言って珠夜さんのもとへ向かった。日生蓮に聞くっていう手もあるし、そっちの方が確実だけど、なんとなくやめた。
日生蓮が完全に世界への反逆者を裏切った感じになっちゃうし。それならそれでいいはずだけど、なんとなく避けたかった。
ギリ裏切ってない今の状態は何かに使えると思ったからだよ。




