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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
属性奥義
121/177

応急処置

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)呪莉(じゅり)さんから聞いた話は想像を絶するものだった。

 まず、みゆさんが魔法学校のトップである校長先生でもあったということ。ヤバくてすごい人であるとは思っていたけれど、本当にとんでもない人だった。

 そして、さらに驚いたのは次の話だ。

 魔法学校の生徒会長の闇空帆野歌(やみそらほのか)とみゆさんのたった2人の魔法で、霊界での食事を不要にしていたということだ。霊界の人は本体が魂だから、元々食事を取らなくても生活できるらしい。だが、空腹感は感じてしまうようだ。つまり、空腹感さえ誤魔化すことができれば、完全に食事が不要になるということだ。

 昔、霊界で一回だけ食堂でご飯食べたな。(すみ)ちゃんと……(りつ)ちゃんと。その時お腹はすいていなかったけれどなんとなく食べた感じ。

 うぅ、お腹すいた……

 まあ、ここからが本題なんだけどさ。みゆさんが唐突にその魔法の維持を放棄したらしい。だから、霊界の人たちが一斉に空腹を感じるようになったというわけだ。

 当然、今まではこんなことなかったから食料の供給など追いつくはずもない。

 呪莉さんがみゆさんに話を聞いたところ、霊魂制御が必要だから的なことを言われたらしい。ということで、私がその魔法を代わりに展開できないかということで呼ばれたのだ。

 今は呪莉さんと共にみゆさんの牢屋の前にいる。

「闇空帆野歌と連絡、取れない?」

 みゆさんがそう言った。

 そう言えば、頭の中に響いてきた『校長先生?』という呼びかけ。今思えば、闇空帆野歌が私のことをみゆさんだと思い込んで話しかけてきていたのかもしれない。

 霊魂制御で探ってみる。なんとなく頭の中に残っている反応を。

『すみません、聞こえますか?』

 テレパシーみたいな感じなのかな?魔法で言葉を投げ込んでみた。

『……はい』

 頭に声が響く。返事が返ってきたのだ。

『闇空帆野歌さんでしょうか?』

 私は再び頭の中で語りかける。

『はい。魔法学校の生徒会長、闇空帆野歌です』

 あってそう。

「連絡、取れそうです」

 一旦呪莉さんとみゆさんに報告する。

 みゆさんは納得した様子で頷いた。呪莉さんは驚いたような表情だ。

『あなたは校長先生ではありませんね?』

 頭の中に声が響いた。やっぱり気がついてるよな。

『はい。私は星月夜翡翠です。み……校長先生に魔法を譲り受けました』

 危ない。みゆさんって言っても通じない可能性あるもんな。

『すみません、私はもう限界です。かといって、飢饉による混乱をこのままにするわけにもいかないですけど……』

 みゆさんに魔法を貰ってから空腹になるまでタイムラグがあった。もしかしたらその間、帆野歌さんは一人で魔法を維持していたのかも。

 だとすると、すぐには再び魔法を展開できないだろうな。

「今、希望学校では遡楽(さくら)結空(ゆあ)で範囲ごとに時間を巻き戻して応急措置をしている……が全然間に合ってない感じだぁね」

 呪莉さんがどこから仕入れたかよく分からない情報を言っている。まあ、結空さんがこっそり空間を飛び越えて伝えたみたいな感じだろうけど。

『帆野歌さん?どうやって魔法を展開していたのか教えてもらってもいいですか?』

 私は尋ねてみた。遡楽さんたちの援護ができる可能性があるかもしれないし。

『私が印象操作で魔法の機能部分を制御して、校長先生が世界に展開してた』

 なるほど、これは使える。遡楽さんの魔法を展開できれば、一時的だけど全世界での飢饉が抑えられる。

『ありがとうございます』

 帆野歌さんにお礼を言って、牢屋にいるみゆさんを見る。

「魔法を全世界に展開するのってどうやるんですか?」

 なんとなく想像はついてるけど、今は実験してる暇なんてないから聞いてみる。

「霊魂制御で魔法の効果対象を指定できるからそれをひたすら拡張」

 やっぱりそんな感じか……やるしかないね。

「呪莉さん、遡楽さんってどこですか?」

 私がそう言うと、呪莉さんは虚空に声をかけた。

「結空、翡翠を頼む」

 次の瞬間、視界が切り替わる。

 目の前にいるのは遡楽さんと結空さん。

「固有魔法、無属性、時間遡行」

 ちょうど遡楽さんが自分自身に時間遡行をかけているところだった。そうすると体力切れしないから無限に魔法を使えるってことか。でも気力がすり減るから大変そう……

「失礼します。固有魔法、翡翠神、霊魂制御」

 私は遡楽さんの魔法をみゆさんの説明通りに拡張する。広く、広く。

 集中……

 どれくらいの時間が経ったのかは分からない。

「飢饉、収まってます」

 結空さんの言葉に、意識が引き戻される。でも、魔法の維持は止まらないように注意する。

 良かった、とりあえず応急処置は出来たようだ。

 遡楽さんが定期的に時間遡行で私の体の時間を戻して体力切れは防いでくれているし、しばらくは維持できそう。

 みゆさんはこんな魔法を維持しながらあんなに強かったんだ……

 ん、つまり普通に戦ったらさらに強いってこと?余計なことを考えるのはやめよう。

 とにかく、このまま魔法を維持しながら帆野歌さんの回復を待つ形になるかな。

 私の気力の限界が来なければいいけど。


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