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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
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珠夜の説明①

「行ってきます!」

 なんて言いながら、壁をすり抜けて行く翡翠(ひすい)ちゃんにマヨタン、舞羽珠夜(まいはね たまよ)は、

「行ってらっしゃぁい!」

 と言った。結構心配なのだが、本人が行くと決めたのなら背中を押してあげたい。

「あの子、大丈夫なのかしら。あれだけの爆発を起こしておいて……」

 ゾメッチ(虹蝶望初(にちょう のぞめ))がものすごく心配そうに言う。

 なぁんだ、ゾメッチ「自分でなんとかしなさい」とか言っていたから、翡翠ちゃんなんかどうでもいいと思っているんだと思っていた。よかった。

「珠夜、私もそろそろ魔法屋店主として仕事をしなくてはいけないわ。あなたは問題ないかしら」

 そっか。ここは魔法屋。遊ぶところではないもんね。

「マヨタンは全然いつでもOK!子栗鼠(こりす)ちゃんに聞いてあげて」

 でも、ゾメッチは子栗鼠ちゃんの気持ちはどうでもいいようだ。

「子栗鼠は自分でここに残ると決めたのよ。死神が来ることは受け入れてもらわないと……まあ、とりあえず解除するわね」

 虹色の波紋がゾメッチに向かって集まっていく。とっても綺麗。

 ずっとゾメッチの魔法で死神を止めていたから、死神が溜まっていたのだろう。

 一気に5体程入ってくる。

「ゾメッチ!部屋の真ん中よりマヨタン側はマヨタンに任せて!」

 ここにマヨタンがいるからには、ゾメッチの役に立ちたい。

「珠夜なら安心して任せられるわ。辛かったらすぐに行って頂戴!」

 マヨタンはゾメッチの役に立てるのだ。頑張ろう!こっちには2体の死神がいる。

「任せて!超級魔法、風属性、爆風神刀!」

 2体まとめて吹き飛ばし、消滅させる。

 新たに4体追加される。

 そのうちの一体が魔法を放つ。

「初級魔法、氷属性、粉雪」

 まぁ、マヨたんの敵じゃないね!

「超級魔法、火属性、灼熱絶火!」

 魔法ごと3体の死神を飲み込み、消滅させる。

 残り一体は、

「……中級魔法……草属性…………水吸収」

 子栗鼠ちゃんが撃墜。

 そんな感じで死神を倒し、時間は過ぎていく。

 しばらく経って、ゾメッチが言った。

「そろそろ休憩しましょう。固有魔法、魔法屋店主、侵入不可領域!」

 マヨタンは結構疲れていたので、ゾメッチが魔法を使い終わるのを確認すると、へたりと座り込んだ。

「ふぁ〜」

 子栗鼠ちゃんは座り込むのを通り越して倒れ伏しているが……

 ゾメッチがこっちを向いて言う。

「珠夜、子栗鼠、あなたたちのおかげでかなり助かったわ。ありがとう」

 そんな……面と向かって感謝されたらマヨタン照れちゃうよ!!

「えへへ、もっと褒めてもいいんだよ!」

 子栗鼠ちゃんはもうぐっすり寝ている。

「珠夜、すぐ調子に乗るのは良くないわね」

 マヨタン、良いことしたのにゾメッチに怒られてますぅ!!

 まあ、そんなことはさておき休憩なんだから思いっきり休もう。

 マヨタンは寝っ転がる。そうすると自ずと色々なことが思い出されるわけで、翡翠ちゃんが心配になってくる。

 現魔法屋店主以外は特殊な合言葉でここを出られるんだったよな?ちょっといってこようかな。

「ゾメッチ、マヨタン翡翠ちゃんが心配だからちょっと希望学校行ってくる!れみにも会えたらあってくる!伝えることとかある?」

 ゾメッチは、私が希望学校に行くことを特に止める様子はない。

「そうね、あの子は確かに心配だし……珠夜が行ってくれると助かるわ。れみには『元気にしていて、無茶しないで』ってお願いしたいわ」

 よし、じゃあ早速行ってみよう!確か合言葉は『アキステノホムユリワ』だな。アイウエオ表をv字になぞる感じだ。日常会話では絶対使わないのに忘れられないから、すごい便利だ。

「『元気にしていて、無茶しないで』だね!じゃあ行ってきます。アキステノホムユリワ!!」

 パッと視界が白に染まる。そして、気がついたら希望学校の中央の噴水の目の前に立っていた。すごく懐かしい。辺りを見渡す。

 そこはマヨタンの知っている希望学校そのもの……ではなかった。轟音が聞こえる。明らかに建物がない場所がある。空に雷の龍とか飛んでいる。絶対ユイッチ先輩!『きらきら星』とか聞こえる。絶対メロディー先輩。

 そう、戦場があった。マヨタンの知っている平和な希望学校にはないものが。戦場があった。

呆気に取られてそちらを見つめていると、大量の水星が降って行くのが見えた。しかし、それがぴたりと止まるのも見えた。そこに雷の龍が突っ込んでいくのも見えた。そして、彗星が向かっていた方向とは反対側に落ちて行くのも見えた。

 しばらく信じられない光景に呆然としていたが、はっと我を取り戻した。

「固有魔法、風属性、俊足」

 とてつもないことが起きていると言うのに、マヨタンはひどく冷静だった。とりあえず向かう。マヨタンはこの希望学校でも割と上位だから、できることは必ずあるはず。そして、マヨタンの固有魔法の俊足を使えば、10秒で1kmは走ることができる。だから、すぐに辿り着く。マヨタンは走り出した。

 20秒くらい走った。200m先に全力疾走しているメロディー先輩が見えた。『きらきら星』が戦場から鳴っていたことから、メロディー先輩は何か関わっているはずだ。何か話を聞いてみようかな。マヨタンは俊足を解除して急ブレーキで止まる。

「わっ!!本当に〜び、っ、く、り!!マヨタンちゃん、本当に心配していたのよ。ここ1ヶ月どこに行っていたの?でもごめんね、先輩は今忙しくてまた〜あ、と、で!」

 メロディー先輩はそれだけ言うとささっと走っていこうとする。マヨタンは慌てて引き留めた。

「マヨタンにできること!ありますか?」

 メロディー先輩は急ブレーキで止まる。そして、バッと音がしそうなほど勢いよく振り向く。

「マヨタンちゃん!俊足〜た、の、め、る?」

 そこでマヨタンはメロディー先輩に一つ頼まれた。校長先生とコミュニケーションが取れる唯一の存在、魔法学校の生徒会長に翡翠ちゃんの入学についての相談を、と言うことだった。

 マヨタンは驚きの連続だ。翡翠ちゃん留年生をみんな同時に相手しても戦えちゃうし、翡翠ちゃんがそんなことを頼むなんてめっちゃびっくり。

「メロディー先輩!任せて」

 それでも、マヨタンが力になれることがあると言うのはとても嬉しい。

「終わったら、R3の49室に〜き、て、ね!」

 待ち合わせ場所の教室、しっかり覚えておく。

「固有魔法、風属性、俊足」

 マヨタンは走り出す。目指すは魔法学校。


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