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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
属性奥義
113/177

戦闘開始

「見つけたわよ」

 聞こえてきたのはみゆさんの声。

 待ってました。

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は深呼吸して構える。全力で戦うだけ。

「全く、結局こうなるならば最初から逃げる必要などなかったのにねぇ」

 呪莉(じゅり)さんが正論を言いつつ加勢してくれる。

「……ふふっ」

 みゆさんが笑った。

 それだけで、寒気がした。

「……上」

 ユェンユェンに言われて上を見る。

「え……」

 思わず声が出てしまった。

 そこにあったのは目を見張るほど大きな魔法陣。これから何かとんでもないことが起きるのは簡単に想像がつく。

 

 ……お前は。

 ……翡翠じゃない。


 !?

 頭の中にノイズが走る。

「暴走しないように気をつけるんだぁよ」

 呪莉さんがそう言っている。

 暴走って……昔のれみさんみたいな?やばくない?

「うぅ……」

 珠夜(たまよ)さんの頭にもノイズが走ったのか、苦しそうだ。

 戦わなきゃ始まらない……!

 一旦、重力制御をみゆさんにかける。効果はほぼないだろうけど、一応。

「……魔法陣への対処が最優先」

 ユェンユェンがそう言って、飛び上がる。

 呪莉さんがその言葉に頷き、笛を吹き始める。

 ユェンユェンが魔法陣に触れたのと呪莉さんの笛の音色で、魔法陣が歪み始める。魔法陣の維持のため、みゆさんの意識がそっちへ向くのを感じた。

「中級魔法、無属性、超攻撃」

「超級魔法、水属性、蒼海嵐舞なんだよ!」

 その間に望初(のぞめ)さんと(すみ)ちゃんがみゆさんに攻撃を仕掛ける。

 なんだか頭のノイズも消えて、すっきりした。

 私も属性奥義で攻撃する。

「超級魔法、火属性、灼熱絶火」

 珠夜さんも魔法を放つ。元気になってそうで何よりだ。

 すべての魔法が直撃した。

 はい、知ってますよ。どうせ無傷なんでしょう?

「ふぅ……」

 やっぱり、みゆさんは軽く息を吐いただけだ。これだけの魔法をぶつけたのに。

「……ないす」

 でも、確かに効果があった。

 今の魔法がぶつかった一瞬の隙で魔法陣が完全に壊れたのだ。

 呪莉さんとユェンユェンのおかげだ。

「分かったわ、呪莉。あなたも凱阿(がいあ)みたいになりたかったのね?」

 みゆさんは静かに話す。でも、その声からは怒りを感じた。

「そうだねぇ、凱阿みたいに強くなりたいとずっと思っていたけど、傀儡になりたいわけではないんだぁよ」

 呪莉さんは淡々と応答する。

 凱阿ってさっき遡楽さんがなんか言ってた人だけど、結局誰なんだろう。

「ヒッちゃん、澄もよく分からないんだよ。でも、戦うだけなんだよ」

 澄ちゃんの目はいつも通り輝いている。その目には確かに希望が宿っていた。

 そうだよね。余計なことを考える必要はない。むしろそんな場合じゃない。

「……くるよ」

 ユェンユェンの声で身構える。

 みゆさんは詠唱もしない。魔法を構えることすらしない。息をするように魔法を放ってくる。

 だから、何をしているのか全く分からないのだ。

 何もしていないように見えるけれど、さっきから寒気を感じている。

 一体何をするつもりなのか全く読めなくて怖い。

「固有魔法、翡翠神、魂魄制御」

 そんなみゆさんが、詠唱をした。

 多分、詠唱なんていらなかったのだろう。でも、敢えて詠唱をしたのだろう。

 私に魔法を見せつけるため。

 私が強くなろうとして、翡翠神の魔法を手に入れようとすれば、必ず接触することになるから。

「……」

 ユェンユェンは目を閉じて、黙っていた。でも、辛そうな表情だ。

「くっ……」

 呪莉さんは何かから逃げるように動き回っていた。

 みゆさんが魔法を打ったのはこの二人のみのようだ。

 私と珠夜さんはともかく、望初さん、澄ちゃんも狙われてない。どうして?

「脅威だとみなされていないからでしょう、任せなさい」

 望初さんが私の思考を読んだかのようなことをいい、どこかへ走り去った。

 これは望初さんが後ろから回り込む的な作戦だな。

「澄は正面から行くんだよ」

 澄ちゃんが望初さんを隠すためにも派手に魔法を放つ。

 私も……

「固有魔法、翡翠神、結界奥義」

 結界を使ってみゆさんを両断しようとしている。

 敢えて私も詠唱した。挑発になるといいけど……

「がっ!?」

 気が付いたら目の前に移動していたみゆさんに殴られた。びっくりするくらい体が吹っ飛んでいく。

 挑発、効きすぎちゃった。痛い……

 でも、この隙に……

 望初さん、お願いします。


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