魔法の力
店主の間で休んで、その後、私、星月夜翡翠は望初さんと共に属性奥義の確認をしていた。
「固有魔法、翡翠神、属性奥義……やっぱり使えないわ、完璧にあなたに移動したと思っていいわね」
望初さんが詠唱しても、魔法は出ない。
私は属性奥義を放ってみる。無詠唱だけど。
すると出てくる、高威力のビーム。
「思うに、属性奥義が使えるならその他の属性魔法も使えるようになっていると思うのだけれど……」
望初さんがそう言いながら、各属性の初級魔法を次々と見せてくれた。
……望初さんが属性奥義を使えなくなったにもかかわらず、すべての属性の魔法を扱えるのならば、属性奥義とは因果関係がないと思うけど……
まあ、物は試し……珠夜さんみたいにカッコいいの、憧れてたし。
「超級魔法、火属性、灼熱絶火」
これさ、これで魔法が出なかったら私ただの厨二病じゃん。いきなり超級魔法から出そうとしている時点で愚かだけど。
でも、ちゃんと魔法は出た。
珠夜さんより強いかもしれないな、威力だけ見ると。
「結界と組み合わせれば強いんじゃないのかしら?」
確かに、魔法の威力だけじゃなくて使い方で勝負しないと。敵は強い人ばっかりなんだから。
意識を集中する。
結界に灼熱絶火を纏わせるイメージ。
「結界奥義!」
無詠唱でも出せるけど、思わず叫んじゃった。
どうだろう……出来たかな。
「初級魔法、火属性、火球……威力が上がってるわ」
なるほど、私もついにメロディー先輩みたいなバッファーに……
「敵の魔法も威力が上がってしまうと思うのだけれど」
望初さんの言葉に思考が止まった。
たしかに……
「でも、使えるわよ。自分が得意で敵が使えない属性の魔法を強化すればいいもの」
そっか、属性奥義が強いのは、全ての属性を扱えるという点にある。だから、相性とか考えて、強くするべき属性を的確に見抜ければ十分に使えるんだ。
「それにしても、神の魔法がここまで汎用性が悪いこともないと思うのよ。まだ見つかってない魔法に、結界に含める人の選択とかあるかもしれないわね」
そうだな、翡翠神の魔法は全部で6つあるらしい。今はまだ4つだ。やっぱり全部集めた時に完成みたいな感じなのかな?
「望初さん、流石ですね」
私一人じゃそこまで考えられない。望初さんって頭いいのかな。
「いいえ、虹蝶みゆがそれっぽいことをしているだけよ」
みゆさん?というと、望初さんの体をいきなり乗っ取って暴走してきたヤバいやつっていう印象しかないけど。
「みゆさんが何かあるんですか?」
望初さんの思考が分からないので聞いてみる。
「どうして虹蝶みゆが私を狙って体を乗っ取ることが出来たのか……最低でも遠隔で個人の判別がついてる。その上で狙った対象にのみ意識を移して乗っ取ってる」
よくよく考えると、遠隔の魔法ってすごいよな。
それにしても、みゆさんってそんな複雑なことしてたんだ。てっきり怒りに任せて暴れてるだけかと……
「みゆさんが翡翠神の魔法を持っていると思いますか?」
望初さんの言いたいことはなんとなく分かった。
「ええ、そもそも歴史的に持ってなきゃおかしいのよ」
歴史……あんま覚えてない。
でも確か、みゆさんと翡翠神と柘榴神が旅をして世界を作ったんだっけ。
それに、ユェンユェンもみゆさんは世界が出来る前からいたって言ってたから、裏はとれている?
昔からいることと魔法を持っていることは因果関係がない。呪莉さんは昔からいたっぽいけど……るるとか、生まれたのはすごく最近。
よく分からなくなってきた。
「一つはみゆさんが持っていると仮定して、もう一つは誰が持っていると思いますか?」
まあ、いいかってことで、別の質問をする。
「そうね……まだ分からないけれど。強い人を挙げていくと炒菜椿、日生蓮……」
名前の時点で圧力強いもんなその二人。
「炒菜椿、違和感多いですよね。あれだけ人形作れるんだったら、わざわざ私たちの前に出てくる必要ないのに」
ふと炒菜椿を思い出した。
なぜか会話に乗ってくる。それゆえに隙が生まれていたり……戦い方としては合理的じゃない。強いけど、戦術は何もないように見える。強すぎるからかもしれないけど。
「炒菜椿自体が人形の可能性が高いってずっと思っていたけれど、気づいていなかったの?」
望初さんに不思議な目で見られた。
あ、それならつじつまが合う。人形使って遊ばれてると考えれば……
それに、炒菜椿めっちゃ顔綺麗だし、人形って言われて納得する。顔が汚れて炒菜椿が消えた時も、他の人形と似たような感じだったもんな。
そう言えば、名前狩りは藤原玲菜って名乗ってた……玲菜と炒菜も似ているね。死神二冠って実は一人が全部操ってたり……は流石に決めつけすぎか。
ユェンユェンは死神に詳しいっぽいし、今度聞いてみるか。
「ゾメッチ、翡翠ちゃん!ヤバい!」
突然、珠夜さんが駆け込んできた。
「何があったの?」
望初さんが冷静に尋ねる。
「虹蝶みゆが……」
みゆさん?
「虹蝶みゆがどうしたの?」
言い淀む珠夜さんを急かすように望初さんが問いかける。
「虹蝶みゆが、来た」
えっ?
どういうこと!?




