再会
私、星月夜翡翠は魔法屋から出て、店主の間へ向かっていた。ひとまず行くならそこだろうとかいう意味不明な理由だ。
「こんにちは」
店主の間に入った瞬間、みんなの視線が一斉に向けられるのを感じた。今まではこんなんじゃなかった気がするんだけど……
それに、なんかみんな驚いた様子だね。
「……翡翠、きた。言ったじゃん」
ユェンユェンだけはなんかいつも通りに見える。
「えっと、ごめん。どういう状況?」
私はユェンユェンに話しかける。
「探してたんだぁよ、みんなでねぇ」
呪莉さんが説明してくれた。
結空さんが空間結合で霊界全体を見ていたこと、ユェンユェンが希望学校内の気配を探っていたこと、他の魔法屋店主のみんなもそれぞれ探し回っていたこと。
「まあ、みんな自分だけが捜索をしていると思い込んでたみたいだぁよ」
呪莉さんが笑っている。
私、探されてた?心配、されてたの?
「えっ、翡翠ちゃん!?」
後ろから声がした。
振り向くと、珠夜さんが驚いた顔で私を見ている。
「こんなところに……」
珠夜さんに背負われている望初さんも目を見開いていた。
「私たちの苦労何だったんですかぁ……」
誰だっけ、闇空帆傘さんだっけ……
多分、闇空帆傘さんであろう人が呆れたようにそう言った。
もしかして、珠夜さんたちも探してくれていた?
私自身も今までどこにいたのか今いちわかってないけどさ。
「あなた、多分世界への反逆者の拠点にいたはずなのだけれど、一体どうして……」
望初さんが不思議そうに尋ねてくる。
世界への反逆者の拠点?じゃあ、その時聞こえた繭羽先生みたいな声は紡琴羽かもな。
「怪我とかはない?」
珠夜さんにそう聞かれて、私は反射的にお腹を抑える。血は止まってるけど……
「固有魔法、無属性、時間遡行」
私が傷について説明するよりも前に、どこからともなく飛んできた遡楽さんの魔法で治癒された。
それにしても、遡楽さん近くにいないんだけど、一体どこから……結空さんと一緒にやったのかもな。
「世界への反逆者、か……」
呪莉さんが複雑な表情で遠くを見つめている。
「……気にしないで、ミチヨが逃げたことへの責任は呪莉にない……ミチヨは」
ユェンユェンがそんな呪莉さんに寄り添って言葉をかける。
「君はどこまで読んでいるのか不思議なんだぁよ」
呪莉さんは気まずそうにユェンユェンから距離を取る。
今、水面下ですごく深いやり取りが行われた気がするけど、何も理解できなかった。
「何があったのか、詳しく聞かせてほしいんだぁね」
呪莉さんに促されて、私は今までのことを話した。
メイさんに強くなれるよって言われて、のこのこと付いていってしまったこと。気が付いたら何も見えなくて、魔法も使えなくて。でも適当に走り回ったら人間界に行けたこと。そこで炒菜椿の人形、それから死神二冠の藤原玲菜と戦ったこと。お腹刺されたけどなぜか魔法は奪われていないし、死神にもなっていないこと。るる、操乗ちゃん、夢叶さんが助けてくれたこと。魔法屋に飛び込んで死神を爆発四散させて勇輝さんを驚かせたこと。
全部、話した。
正直メイさんに付いていったのとか言うの恥ずかしいけど、全部話した。
そして、次は望初さんが色々話していた。私のこと、探してくれていたようだ。
虹蝶みゆを呼び出して話を聞いたこと。魔法学校の生徒会に乗り込んだこと。なんか闇空帆傘が協力してくれたこと。メイさんが自殺したこと。世界への反逆者の拠点を探し回ったこと。拠点に着いたはいいが、罠で脱出が大変だったこと。
でも、興味深かったのは魔法の話。
望初さんがいきなり結界奥義を使ったと思えば属性奥義すら今は使えないみたいな。
そういえば私、属性奥義使えるようになってたな。そのことを望初さんに話した。
「私のこと、気にしなくていいから使いなさい」
そしたら、そんな返事が返ってきた。
そうだよな、望初さんは強いから、魔法が一つ消えたくらいで問題ないよな……
「状況は分かったんだぁよ。大変だったねぇ。とりあえず、休みをとるんだぁね」
改めて整理すると本当にいろいろあったな。
その言葉に甘えて、私は眠った。
なんだかんだ疲れた。




