拠点探し
私、虹蝶望初は舞羽珠夜と闇空帆傘の2人と一緒に世界への反逆者の拠点を探していた。
ユェンユェンも来てくれれば心強かったけれど、希望学校内をもう一度しっかり探してくれるらしいわ。それはそれでありがたい。
「世界への反逆者って結局何が目的なんだろうね。反逆って言ってもいろいろあるよね」
拠点が見つかる気配がないことに嫌気がさしたのか、雑談を始めた。
「普通に考えると、紡琴羽は重度の欠損部位のある人が虐げられていることから反逆しようって思ったのだから、制度自体の改革でしょうね」
それは、普通に生活していれば知らない世界。
人間界で死んでしまった時に体がバラバラになっていた場合や、間に身体狩りが介入してきて体の一部が奪われた場合。逆に他の生物の魂と統合して動物の特徴が体に現れていたりする場合もあるわね。
とにかく、いろいろあって日常生活とか魔法の特訓とかが困難な人もいる。
そういう人たちはそれ用の施設にまず送られる。
そこで義肢などを貰ってから魔法学校か希望学校に通うことになる。
でも、大半の人はその施設の存在すら知らない。私も身体狩りに髪を切られ、明里先輩でもお手上げになった時に、死神になると困るとかなんとかで一時的に送られるまで知らなかったわ。
私は一瞬で出れたから大したことはなかったけれど、いい環境の場所とは言えなかったわね。誰かに話すのも馬鹿馬鹿しいくらいには厳しい環境なんじゃないかしら。
実際、私は誰にもその施設に行ったことを話してない。珠夜とれみにすら。
そうは言っても、呪莉さんとかは知っているけどね……
「繭羽さんも確か義眼だったよね」
珠夜が遠い目をしている。これは、完全に世界への反逆者の拠点を探すことに飽きて、必死に話題を探しているわね。
繭羽さんの義眼ってパッと見じゃ分からないわよね。技術的には紡琴羽の手足に目を作ることは可能なはずだけれど……
「知らない人の話ばっかりしないでくださいよぉ……」
闇空帆傘は話に入れないことに不満げだ。ちゃんと説明しないと、戦いに支障が出るかもしれないわね。
「一旦、呪莉さんから共有してもらった情報も元に、世界への反逆者のメンバーを整理してみましょうか」
私はそう提案すると、闇空帆傘が目を輝かせていた。
「まず、今回牢屋から脱出したのが夜光ミチヨね。茶色の短髪らしいわ。でも目が特徴的だからすぐに分かると思うわ。すごく速いビームを撃ってくるらしいから気を付けて」
珠夜がすごく深く頷いている。なんだか、同意してくれる人がいると安心するわね。
「日生蓮っていう会ったら即逃げたほうがいい桁違いの戦闘力を誇る人がいるから要注意ね。燈陰桃乃っていうすごくよくしゃべる草属性の魔法を使うのがいるわ。燈陰桃花っていう無詠唱魔法を使う人もいたけど、何とか倒してるはずよ。あと小狐丸鈴っていう幻術使いもいるわね。それから……ティアラっていうダメージを入れ替えるヤバいのもいるわ。あと、えっと……もう一人知ってる人がいた気がしたんだけれど」
誰だったかしら、絶対に知っているはずなのだけれど。
「虹蝶理恵ですかぁ?」
闇空帆傘がふと呟いた。あ、そう。その人だわ。
「そうね、虹蝶理恵。確か変身してきたわよね」
でも、どうして虹蝶理恵だけ思い出せなかったのかしら。印象が薄い……?
「その人魔法学校に来たことあるんで、レンレン先輩に秒殺されてましたけどぉ」
なるほどね、変身能力があれば情報収集とかは得意だろうし、いろいろなところへ行っていても不思議じゃないわね。
「なんか全員ヤバそう……」
珠夜が不安げな目になる。
「舞羽珠夜は二つもの属性の超級魔法を操る上に、固有魔法の俊足で誰よりも速く移動できる。その上、二つの魔法の同時発動による属性の混合まで……強いわよ」
珠夜の頭をそっと叩きながら私は話した。
「そうだね、ゾメッチも全部の属性使えるっていう超チートだよ」
そこまでほめられるとなんだか不思議な気分になるわね。
「拠点を探す必要もなくなったもの、あとは強さで乗り越えましょう」
そう、さっきから辺りの景色がおかしい。あと、気温も少し上がっている気がする。
「蜃気楼かなぁ?」
闇空帆傘がそう言いながら傘を開き、雨を降らせる。
辺りの景色が変わった。
「そこね。中級魔法、水属性、水鉄砲」
敵の位置を見定めて、私は魔法を放った。
「コンっ!?」
やっぱりね、向こうから出てきてくれるなんて都合がいいこと。
「小狐丸鈴ですかぁ?」
闇空帆傘の雨は止まない。確か、蜃気楼による幻術とかだったから雨で冷やされると致命的よね。
それに、攻撃を仕掛けてきたなら、拠点が近い可能性が高い。逃げれば拠点の位置がばれるから、小狐丸鈴は逃げられない。ゆえに、確実にここで倒す。
「超級魔法、風属性、爆風神刀」
珠夜も魔法で追い詰めていく。
「……」
だけど、その魔法は跳ね返ってきた。
「日生蓮……」
珠夜がそう言って跳ね返ってきた魔法を躱す。
小狐丸銉一人なら何とかなったかもしれないけれど……
ちょっとまずいわね。日生蓮は強すぎるわよ。
「強いとか関係ない、倒さなきゃいけないんですからぁ」
闇空帆傘がそう言って、日生蓮の頭上にも雨を降らせていく。
その通りよね、諦めちゃいけないわ。
さて、戦いましょうか!




