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2話.『グアラルオ』

エルマは『グアラルオ』にいた。

傷は全身にあり、激痛があった。


「ん…っ」


ようやく目が覚めた、痛みよりも周りにいる

亜人や、獣人、魔人に意識を向ける。


「最悪の都市…『グアラルオ』、ね」


ぽつりとその名を呟き、愛おしいミリアムの顔を思い出す。

突如、上から、薔薇の棘のようなものが降ってくる。


「なっ…!」


後ろに飛び、着地する。


「何だ、これ」


地面に刺さった棘を見やり、上空を見つめる。


「まさか…そうか、最悪と呼ばれるだけあるわね」


そう言ったあと、後ろから声がかかる


「貴方、どこの者です?」


美声がエルマにかかる。

後ろを振り向くと、端麗な容姿をした、

黒髪の女性がいた。


「あぁ、ワタクシから名乗らなければ

 なりませんわね。都市『グアラルオ』の

 主です。かつては帝国一の都市でしたが、

 帝国はここの都市以外全て滅びてね。

 以来、ここは帝国ではなく、

 都市を名乗っているのです」


聞いていない情報まで流されて、エルマは困惑する。


「改めまして、新しい住民。

 歓迎しますわ。ワタクシの名は、

 アルミナ・ティアンセと申しますわ」


口角を上げて、美しく笑う。

黒髪の美女―アルミナ・ティアンセ。


「貴方のお名前は何でしょう?」


「そうね、あなたが名乗ったのなら、

 私の名前はエルマ・デルゾート。

 〝守護の六神〟の一角である、第二席の

 『デルゾート』の子孫よ」


そうエルマが名乗ると、周囲にいた亜人たちがエルマに視線を集中させる。

なぜそんなに視線を感じるのか、エルマは困惑する。


「貴方がそのような大物とは…

 ワタクシの使い魔もたまには役に立つのですね

 いいですわ、歓迎致します。 

 都市の中心部、貴族しか住めない、

 都市城『ティアンセ』でもてなします」


アルミナは唇に人差し指を乗せる。


「歓迎して頂かなくても結構。

 元の場所に返してくれればそれでいいわ」


エルマはそう言ってアルミナの前に立つ。


「そうですか…ありがたくこの恩情を

 受け取られない場合は…

 行きなさい、お前たち!!!」


アルミナが急に声を荒げる。


「何ッッッッ?!」


エルマに向かってくる、目が黒く染まった、

呪い人に目をやる。


「こんな人いっぱい居たのです。

 有り難く恩情を受け取らない愚人が。

 だから、その場合即始末するのが

 『グアラルオ』の掟」


エルマと呪い人が戦っている姿を見つめながら、

アルミナは口角をあげて言う。


「そう…」


その言葉にエルマは反応して、小さく返事をする。

ただでさえ、傷が痛むのに戦わされるのは苦痛でしかなかった。


「使うしかないわね」


エルマはそう呟いて、腰から短剣を取り出し、腕を切った。そこから流れる血が、弓矢に変形し、呪い人の首や頭を狙って、打つ。そして、呪い人達は地面に倒れていく。

血が止まり、今度は手のひらを斬り、

そこから溢れ出した血で縄のような物を作り出し、呪い人に巻きつけ、持っていた短剣で呪い人の頭、首、心臓、を刺していく。

そして、エルマは呪い人全てを殺したあと、

アルミナを見る。


「殺したけど、ダメだったかしら?

 これだけで私を倒そうと考えたら

 ダメですわ」


エルマは返り血を浴びた、顔や腕を服で拭って、

アルミナの前へ立つ。


「気に入りました」


アルミナはその言葉だけを告げる。


「だが、この地へ迷い込んだ以上、

 貴方を元の場所に返すことはできません。

 掟とかではなく、不可能なのです。

 この地は他の王国、帝国、都市とは

 孤立させてあるのです。何重にも結界を張り、

 転移魔法も発動できない。だから、

 この地から逃げ出すことは不可能。

 魔法陣の転移魔法をこの都市内での

 使用はできない。外部から、この都市に

 入ることは可能。ですが、この都市から、

 他の都市へ逃げ出すことは不可能。

 理解して頂けましたか?」


アルミナはそう言った。


「嘘…ではないわね」


エルマはそう言った。嘘の気配がアルミナからは流れなかった。エルマの権能に嘘はない。よってこれは嘘ではない。そう確信した。


「歓迎してもらおうじゃない」


エルマはそう言って笑った。

アルミナさえも知らないような、この地からの脱走の方法を探る。そして、ミリアムに絶対再会する。そう決意した。

 

2話目でした!

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