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2-7 気になるんですけど?!

 クロードが私を嫌っている……。

 

 庭師さんの言葉に乙女心?が傷つく私。


 そんな……それじゃ私はこの姿のままでは二度と、クロードの前に出ることが出来ないということなのだろうか……?


 一気に気分が滅入ってしまった。何だか失恋してっしまったような気分だ。

 食欲だって失せてしまう。

 

「あぁ……何てことなの?全くタイミングの悪いときにフクロウに変身してしまうなんて……」


 ホウホウと不気味な声でため息を付きつつ、野良作業している庭師さんの背中を見つめていた。


 その時――。


「うわぁあ!」


 庭師さんから悲鳴が上がった。え?何があったの?


 ホウホウと庭師さんに鳴いて尋ねる。


「ま、また現れたな……!この気色悪い害虫め!」


 そして庭師さんが私の方を振り向いた。


「そうだ!フクロウ!この害虫を食べてくれ!」


 この庭師さん……私に人の言葉が通じると思っているのだろうか?まぁ実際通じているからいいけどね」


「ホーウッ!」

(了解っ!)


 一声鳴くと、私はすっかり畑に巣食う不気味なミルワームを食して回った。……最も口に入れる瞬間は目を閉じていたのは言うまでもない………。


「ホウ……ホーウホーウホウーフ……」

(ふう……お腹いっぱい……)


 クロードに嫌われたショックで食欲なんか皆無だと思っていたけれども、結局私は庭師さんに命じられるまま、目に入ったミルワームを駆除して回った。



「いやぁ〜助かったよ、フクロウさん。お陰でこの畑の平和は守られた。野菜だからねぇ、下手に農薬を使うわけにはいかないし……いちいち害虫を手で取るには限界があったのだよ。しかもいつ見ても不気味だし」


 庭師さんはフクロウの私にペラペラと話をしている。


(ええ、そうでしょうとも。私だってまだあの見にくい姿に耐えられないのだから。でも庭師さん。あのミルワーム、見た目と違ってとーっても美味しいんですよ?今度騙されたと思って、食べてみて下さい)


 ホウホウ鳴きながら庭師さんにアドバイスした。


「よし、それじゃ今日はこの新鮮な青菜と人参に大根を収穫して帰ろう。クロード様には新鮮な野菜を食べて頂かないとな。何しろ、クロード様は……」


 え?クロードがどうかしたの?

 先を聞きたいのに、何故か庭師さんはそこで言葉を切ってしまう。


 麻袋に入れた野菜を担ぎ上げると、庭師さんは私を見下ろした。


「さてと、それじゃあね。フクロウさん、また害虫を見つけたら駆除しておいてくれよ」


 そして庭師さんは私にくるり背を向けると、スタスタと歩き去っていく。


 (嘘⁉行っちゃうの⁉肝心のクロードの話はどうなったのよ!)


 

 ホウホウと鳴いて訴えてみるも、庭師さんはどんどん歩いていく。


「ホーウッ!ホウホウホウホウホーゥッ‼」

(ちょっと!まだ話は終わってないのよーっ‼}



 話の続きが気になる私は必死で鳴いて訴えるも……結局庭師さんは多分城へ?帰ってしまった。



「ホーウッ‼」

(庭師さーん‼)


 

 いつの間にか、空には一番星が浮かんでいた――。


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