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2-6 嘘でしょう?

「ホーウッホウッ!ホウホウホウホウッ?」

(ねぇ、庭師さん!ここは本当にお城の庭なの?)


「何だ?このフクロウは……畑の中に生息するとは変わったフクロウだ……ん?!」


 突如、庭師さんは何かに気付いたかのように畑と私を交互に見る。


 はて……?一体どうしたというのだろう?


 すると……。


「な、何ということだ……!あれ程畑を食い散らかしていた害虫がいないぞ!」


 あ〜……害虫って、ひょっとしてミルワームのことだろうか?


 ええ、ええ。それは確かに沢山いましたよ?思い出すと気分が悪くなるくらいに……。それなのに、あの気色悪いアレを美味しく頂いてしまうなんて……フクロウになった自分の身体が恨めしい。


「お前が全て害虫駆除をしてくれたのかい?」


 庭師さんが驚いたように私を見る。


 そうです!お腹が一杯になるくらい駆除しましたよ!

 その通りだと言わんばかりに、私は首を上下に激しく振る。


「何だろう?このフクロウ……まるで人の言葉を理解しているようにも見えるが……しかも瞳の色は青い色をしている……ま、まさかっ!」


 おおっ?!つ、ついに気付いてくれたのだろうか?!私があの白蛙だったということに……!


「神の使いの白蛙さんを食べたことで……呪いを受けて、身体を乗っ取られたのだろうか?!」


 ガクッ!


 あまりの発想に拍子抜けしてしまう。確かにあの虫の好かない魔法使いから呪いを受けているのは確かだけど、白蛙の呪いって……。そこで私は無駄なのは知りつつ、訴えた……というよりも訴えずにはいられなかった。


(違うってば!それは確かにあの憎ったらしい魔法使いに呪いを掛けられたけど、蛙を食べた呪いじゃないってば!私はもともと白蛙なのっ!)


「成程……やはりそうだったのか……」


 え?!嘘?通じたの?!


「やはり白蛙さんを食べてしまったのか……」


 庭師さんは腕組みしながらウンウン頷く。


(だから違うってば!)


 しかし、私の気持ちは通じるはずもなく、庭師さんは続ける。


「いいか?白ふくろう。クロード様は白蛙さんがいなくなったことで、かなり落ち込んでおられるし、お前さんのことを恨んでおられる。本来であれば追い出しておきたいところだが……」


「ホウッ?!ホーウホウホウホウホーウ!」

(嘘っ?!私クロードに嫌われちゃったのっ?!)


 ガーンッ‼

 あまりにも驚きで身体が細くなってしまう


「けれど畑の害虫駆除に一役買ってくれているからな。仕方ないから置いてやろう。ただし、クロード様には見つからないようにするのだよ」


 庭師さんはそれから畑に入っていくと、人参やらじゃがいも等を収穫していく。


 その姿を私は呆然と見つめていた。


 クロードが私を嫌いに……?


 そ、そんな嘘だよね――?

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