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結局、死体が墓から掘り出された事件については、悪質ないたずらか、副葬品狙いの窃盗団のしわざってことで片づけられた。もちろん犯人は見つからずじまい。善男善女の集まる教会には監視カメラなんてついてないし、もし近所の家にカメラがあったとしても、あの雨じゃなにかが映っているとも考えられなかった。
「なんなんだ、あの警官は……」
数日後に再び訪ねてきたニックは、まだ陽がある時間帯に警察に呼び出されたせいで、かなりご機嫌斜めだった。
やつは持病があると言い張って、警察署内でもサングラスをかけたままで押し通したそうだ。「今度同じ用件で呼びつけるようなら、診断書を提出して訴えてやる」と息巻いていた。
「あんたの催眠術も大したことないってことだね」
例によって俺の軽口をやつは無視した。
「結果的にあなたを巻き込んでしまうことになりましたね、ノーランさん」
「クリスが申し訳なく思うことなんてないよ。こいつが押しかけてきたんだし、スミスの親父さんの指を折ったのもこいつ――」
「犯人の目星はついたのか?」
「いいえ」クリスは首を振った。
「あなたは?」
「ビフロンズかブネの配下じゃないか、墓から死体を動かしたとなると」
「誰。あんたの地獄のお友達?」
「私は地獄とのつきあいを慎重に避けてきたんだ。――神父、覚悟をしておいたほうがいいぞ、地獄ともう一度向き合うことになるのなら」




