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聖女の務め

 そして翌日。


 本当に私は王宮に呼び出された。


 そこに友愛やカイザー様がいるのも慣れた。


 ──友愛はともかく、カイザー様って暇なんだね。


 神殿からは神官長と数人の神官。


 今回はいつもの部屋と違い、会議室のような部屋に通される。


 長い丸テーブルに、それぞれ席が決まっているのか、すぐに席に着いた。


 うーん。なんだろこの感じ。何となく懐かしいような……。あ、あれだ。


 会社の会議。


 陛下が社長。カイザー様は七光りの息子。国の重鎮方は部長や課長クラス。


 そう思うと少しは気が楽になった。


 私のような新人社員が会議に参加出来ていたのは友愛のおかげだ。


 会議というものは白熱すると、態度が悪くなったり、酷いときには暴言を吐く者もいる。そうならないように友愛を出席させた。


 会社でも断トツ人気の友愛がいるだけで、皆は常に冷静でスムーズに会議が進む。


私は友愛が一人では心細いからと同席させてもらっていたけど、口を挟むことなく壁の隅でじっとしていた。


 友愛とカイザー様はしれっと陛下の近くに座っていた。


 王子だしね。どこに座ろうが咎める人はいない。


 さて、私はどこに座ろうかな。


 全員から離れたとこがいいけど……。


 察してくれたキースの引いてくれた椅子に座ると、そのまま移動することなく私の後ろに立つ。


 キースも座ればいいんだけど、護衛騎士として役割があるため安易に進められない。


 今回はラヴィはお留守番だ。細くて長い針を無言で用意してたから。


 裁縫道具にしては異常な長さ。あれでは何も縫えない。


 となると。使用方法は限られる。


 誰にどうやって使うかまでは聞けなかった。


 やっぱりあれって暗殺用の武器だったのかな。


 ──うん。忘れよう。


「神官長。友愛殿を襲ったとは誠か?」


 会議の議題ってそれ?


 私、いらなくない!?


「まさか。全くもって興味もない……いえ、興味を持ちたいとも思わない女性を襲うなんて時間の無駄です」


 出た。爽やかインチキ笑顔。


 神官長って友愛に対して酷いだけでなく、カイザー様に喧嘩を売ってるようにも見える。


 反省をしていない神官長の態度にカイザー様の怒りは一瞬にして頂点に上り、ダン!とテーブルを叩きながら立ち上がった。


 罵声を浴びせるつもりだったらしいけど、陛下の「座れ」という一言で大人しくなった。


 そうだよね。王子よりも陛下のほうが偉い。機嫌を損ねたらどうなることやら。


「つまりは虚偽であると?」

「証拠はありませんが」

「神官長を務めている君の言葉を信じないほど、私は愚かではない」

「父上!!」


 信用がないのはカイザー様ではなく友愛のほうか。


 陛下の言葉には僅かではあるけど温かみを感じるのに、友愛を見る目は冷たい。


 これまでにも幾つもの虚偽の発言をしてきたのだろう。


 簡単に処罰出来ないのは、カイザー様の婚約者であり、この世界に誤って召喚してしまった罪悪感。


 簡単に、というだけであって、全く処罰が出来ないわけでもない。


 塵も積もれば何とやら。


 友愛はそれに気付いてないから好き放題やってるわけね。


 人に言われなればわからないのは、二十三年間そういうこととは無縁な人生を送ってきたから。


 ま、聞かれないなら教えるつもりはないけど。


 仮に教えても、すっかり慣れきった今の生活を改めて慎ましくなるとは思えない。


 陛下が次の議題に移ろうとすると、またもカイザー様が声を上げる。


「友愛が襲われそうになったのですよ!?服を見たでしょう!?あんな力任せに引き裂くなんて、獣以下のケダモノです!!」


 見境なく女性に手を出てきた貴方はどうなんですか、と聞いたら怒られるかな。


 シンと静まり返る部屋の空気が重い。誰もカイザー様の味方をしようとはしない。


 孤立している。


 カイザー様も笑顔が引きつっていた。陛下はともかく、他の人は賛同してくれると信じきっていた様子。


 なるほど。だからカイザー様の派閥の人間が一人もいないのか。


 友愛に関する議題がこんな簡単に終わってしまったら、揉めるから。そんなことになれば陽が暮れるどころか連日連夜、部屋から出られなくなる。


「俺の婚約者が辱められたんだぞ!!親なら公平に裁きを下すべきじゃないのか!?」


 興奮しすぎて冷静さを失っている。


 貴方の婚約者が虚偽の発言ばかりするから信用されていないのだと、皆の心の声が聞こえてくる。


 プライベートな時間ならタメ口をきこうが、陛下を父上と呼ぼうが問題はない。でも、今は公務中。


 公私混同する人は、それだけでダメだ。


 甘やかされて育ったせいでもあるけど、王子という絶対的身分がカイザー様をここまで調子づかせてしまった。


 自分で自分の首を絞めていることにも気付いていないんだろうな。


 今から色んなことを頑張ったら人格者にはなれるかもしれないけど、無理だよね。


 カイザー様は努力を怠ったことさえ、誰かのせいにしてしまうような人。


 劇的でなくても、ほんの少しでも変わってくれるなんて、期待をするなんて無駄。


「友愛殿だけでなく、部屋の外にいた騎士と侍女にも話を聞いた。仮に神官長が友愛殿を襲うとしたとして」

「襲ったんだよ!そこのケダモノは!!」


 話を遮ってまでも主張することではない。


 服が破かれていたなんて、それだけで証拠になるわけもなく。その程度の細工は自分でも出来る。


 せめて決定的な瞬間、神官長が友愛を押し倒している現場を抑えたら信用性は増した。


「扉を開けたまま襲うとしたと言うのか?」


 カイザー様の言葉に耳を傾けることなく発した言葉にグッと息を飲んだ。


 私も友愛もこの世界ではまだ身分はなく、貴族でない。が、友愛はカイザー様の婚約者。


 密室で男女二人きりなんて許されるわけもなく、神官長は部屋の扉を開けていた。


 その事実があるため、神官長は疑いが晴れて無罪。


「では!そこの豚が友愛に嫌がらせをしている件はどうするつもりですか!?」


 矛先が私に向いた瞬間、陛下だけでなくキースと神官長の殺意の篭った視線が飛んだ。


 カイザー様は身に覚えのない罪を得意げに語る。


 きっとこれはカイザー様が友愛にカッコ良いとこを見せたくて先走ってるだけ。その証拠にほら、友愛は何も言わない。


 普段なら便乗して涙を流して悲劇のヒロインになるのに。


 俯いたまま顔を上げない。


 これはカイザー様の暴走。自分は巻き込まれているだけと印象付けたいだけ。


「コトネ様。愚息の言っていることは本当ですか」


 疑っている様子はない。形式上聞いているだけ。


 事前にアーサー様から友愛の嫌がらせの件は報告が上がっているため、私が王宮に出向きたくない理由もきちんと伝わっているはず。


「いいえ。カイザー様の勘違いかと。私は呼ばれたとき以外で王宮に足を踏み入れたことはございませんので」

「ハッ!白々しい嘘をつくな!!嫌がらせだけでは飽き足らずユアの物も盗んだんだろう!!!!」


 それは初耳だ。


 昔も今も友愛の持ち物を欲しがったりしないんだけど。


 そりゃ、可愛いとは思ったことはあるよ。でも、思うだけ。


 だって私には似合わないし。収集癖もない。


 私を陥れる作戦にしては雑だなぁ。


 盗んだ物が私の暮らす離れから見つかればいいけど、絶対見つかるわけないんだから。


「陛下。そのことでアーサー卿より話がしたいとのことです。この場にお呼びしても構いませんか」

「コトネ様の名誉を守るためだ。すぐに呼べ」


 これって以前、アーサー様が来たときに悪巧みしていた作戦?


 だとしたら下手に口出しするのはやめておく。


 ここからはキースが代わりに受け答えしてくれると信じよう。


 アーサー様は四十代ぐらいの女性と入室した。


「貴様が見たということを正直に申せ」

「一週間前のことです。そこの……女が」


 豚、と言いたかったけど、酸素を奪うような圧に「女」と言い直した。


 キース達だけでなく真横から、アーサー様からの圧を一番に受けているようで平常心を保てていない。


「ユア様の部屋からアクセサリーを持ち出すのを見ました」


 声は震えとても顔を上げられる状態ではない。


 剣に手をかけているということは嘘をつく彼女の首を斬りたくて仕方ないのだろう。


 感情に任せて剣を振るわないのは流石。日頃の鍛錬の賜物。


 大きく深呼吸をしたアーサー様はキースと目で会話をした後、もう一人の証人がいると入室の許可を求めた。

 礼儀正しく騎士がまたも四十代ぐらいの女性と入ってきた。


 服が同じだ。ということは同じ仕事をしているのか。


「私はそこの……女」


 ──うわぁ、全く同じだ。


 そんなに私、嫌われているのか。


 好かれたい相手じゃないからいいんだけどさ。ここまで敵視されると清々しいものがある。


「女の侍女が一週間前、ユア様の部屋から大量のアクセサリーを盗んでいる姿を目撃しました」


 その瞬間、アーサー様がものすごく悪い顔でニヤリと笑った。


「陛下。このように目撃者二人の証言は食い違っています。同じ日に同じ場所で同じものを目撃したはずなのに」

「どちらかが嘘をついている可能性は?」


 キースの疑問は最もだ。


 違っているのは一つだけで、ならば私を見たと言ったほうが怪しい。


「ち、違います!私達は三人で目撃したんです!!」


 苦し紛れの言い訳に陛下は呆れていた。


「エリーです!あの子を連れて来ればわかります!!」


 名前が上がった以上、無視は出来ない。


 すぐにエリーという女性を呼びに行く。


 ──……で、このお芝居。陛下も一枚噛んでるんだよね?


 私の敵を私の近くから排除するために正当な理由を作るために。


 エリーと呼ばれた女性は私とそんな歳が変わらなさそう。黒髪短髪だけでクールに見えているわけじゃない。


 明らかに一悶着ありそうなこの場で、動揺することなく背筋を伸ばして堂々としているからだ。


 内心ではパニックを起こしているかもしれないけど、それを表に出さないのがすごい。


 なぜ自分が呼ばれたのかわからないまま、彼女達の言葉に黙って耳を傾ける。


 慌てず空気を読む姿に感心を持たれていた。

 エリーは喋り終えた二人を横目で見て、そっと目を伏せた。


「何のことを言っているのかわかりません。私はコトネ様がアクセサリーを盗む姿を目撃しておりません」


 ──あ……この人、仲間だ。


 私の名前を呼んだ。私に対する嫌悪感もない。


 二人に盗みがあったと嘘をつき、私を陥れる悪質な虚偽の発言をさせた。


「何言ってるのよ!貴女が言ったのよ!その豚が盗人だと!!」

「は?聖女であるコトネ様がそのようなことをするわけないではありませんか。先輩方は何を仰っているのですか?」


 嵌められ騙されたと気付くことのない彼女達は、本当は目撃したのではなくエリーから聞いたのだと証言を覆す。


 本人は知らぬ存ぜぬを突き通すため、どちらが正しいのか判断しかねる。


 事の行く末がどうなるのか、私はワクワクしながら見守る観客。


「私はユア殿の宝石を誰かが盗む姿は見ておりません。ですが、盗んだ犯人は……知っています」

「誰だそれは」


 エリーは躊躇いながらも二人を指差した。


 突然のエリーの不明な行動に理解が追いつかず、喚き散らすだけの二人を強制的に黙らせた。


「盗んだ姿を見ていないのに、なぜ盗んだとわかる?」

「部屋に小さな木箱があります。先輩達は夜な夜な、木箱から指輪を取り出し眺めていました。私達のようなメイドの給料で買えるような代物ではありません。だからきっと……盗んだことがバレてコトネ様に罪を擦り付けようとしたのだと思われます」


 陛下の目配せで騎士が、彼女達の部屋を捜索するために退室。


 ただ待っているのもつまらないから、エリー達のことをコソッと聞いてみた。


「王宮に勤務するメイドです」


 メイドだったのか。この三人。


 侍女は一斉に掃除したけど、メイドはまだ新しい人材が見つかっていないから保留状態。


 へぇー、メイドにも役割あるんだ。


 選択と部屋の掃除。食事運ぶのも別のメイド!?


 人件費無駄遣いしすぎじゃないですか。


 王宮ともなると人が多く、洗濯物が山のように溜まるため人員が必要なんだろうけど。


 食事を運ぶ係とかいらなくない?


 ──お金持ちの考えること、よくわからん。


 エリー曰く、友愛の部屋の掃除係として配属されたけど、二人で充分だと洗濯係に飛ばされた。


 先輩相手に逆らえるわけもなく大人しく従ったと。


 戻ってきた騎士は丸い木箱を手に持っていた。


 鍵なんてなく、蓋を開ければ中からネックレスやピアス、立派な宝石の付いた指輪が出てくる。


 その中の一つ、薄い紫の宝石が付いた指輪を見

ては陛下の目が見開き激怒していた。


「その二人を地下牢に放り込め!!余罪を吐かせろ!!」


 連行されながらも無実を訴える二人の言葉は陛下に届いていない。


 感情的になる陛下を見るのは初めてなのか、カイザー様はポカンとしていた。


 温厚な陛下があそこまで声を荒らげるなんて。あの指輪は特別な思い入れでもあるのだろうか?


 そういえばあの色、王妃様の瞳の色と同じ。


 彼女達は部屋を掃除する係だった。友愛の前には誰の部屋を担当していたのか。


 これはただの憶測に過ぎない。


 だって、普通そんなこと……。王妃様の指輪を盗むなんて。


 陛下の怒りは演技ではなかった。


 つまりは、そういうことだよね。冗談ではなく、彼女達は本当に盗んだ。


 陛下からの特別な贈り物だとしたら王妃様は騒ぎにはせず、自分一人で探していた。


 指輪を盗んだ理由は至ってシンプル。ジュエリーボックスにずっとしまわれていて、王妃様も指輪のことは忘れていると思ったからだと聞いたのは、連日連夜キツい取り調べが行われた数日後のこと。


 ピリっとした空気を入れ替えるためにも窓を全て開けた。


 ウィンディーネとシルフが短い手を宙に「えいっ」とすると空気が浄化される。


 水と風の合体魔法だ。すごい。


 ──得意げに腕を組む二匹を後で褒めてあげなくちゃ。


 空気の変化に気付いたのは私だけではなかった。


 息苦しさなんて微塵もなく、誰もが安心したように息をつく。


「カイザー。これでもまだコトネ様が盗人だと言い張るのか?」


 冷静さを取り戻した陛下は有耶無耶になる前に話を戻す。


 私を犯人とする計画はカイザー様も乗っていた。


 罪人になってしまえば操りやすくなるとでも言われたのか。


 杜撰な計画は簡単に崩れ去ったけど。


「いえ……」

「そうか。では、コトネ様に謝罪しろ」

「は……?謝罪?なぜ……?」


 聞かなくてもわかっているはず。


 確固たる証拠もなく犯人扱いした。王族ではなく人として許されたことではないのだ。


 前までの私なら謝罪なんて断固として拒否していた。

 でも、今の私はそうじゃない。


 私のことが嫌いだろうが何だろうが、間違ったのならそれなりの誠意というものを見せてもらわなければ困る。


 カイザー様が謝罪をするまで議題が次に移ることはない。


 皆、静かに待つ。ただ、責める目でカイザー様を見ながら。


 中でもキースと神官長の視線が一番強い。


 ラヴィを連れて来なくて良かったと心底思う。ここにいたら針がカイザー様の首筋にでも刺さっているところだ。


 どれだけ鈍感(バカ)な人でもこの視線の意味には気付く。無視をするのは勝手だけど、ないに等しい評価がマイナスに変わるだけ。


「……くっ…う、疑って……悪かったな!!」


 反省してないだけでなく逆ギレされた。


 心からの謝罪なんて期待していなかったけど、そうくるか。ある意味、期待を裏切らない人。


 悪いのは私ではなく、杜撰な計画を企てた上に乗っ取られ利用されたカイザー様じゃん。


 謝り方に問題があるとはいえ一応は謝ってもらったことだし、良しとしよう。


 ──許してないのが若干二名いるけど。


「ここからが本題だが」


 え?ここから?


 友愛が襲われたことに関して興味はなかったけどカイザー様がうるさいから取り上げただけ?


 陛下の真剣な眼差しは私を見据える。


「コトネ様。どうか雨を……降り止ませて下さい」

「雨?」


 この国に来て初めて聖女の仕事、もとい、シェイドの力で干ばつを救ったときのこと。


 恵みの雨により領地は助かった。それはいい。


 その日から雨が降り続いていたのだ。おかげで今度は水害に襲われる始末。


 雨の量は多くないとはいえ川の水位は段々と高くなり、氾濫しているとか。雨が止まないのであればいずれ川の水は領地を飲み込む。


 それどころか、他の領地も平民が住む町も、この王都、つまりは国全体が水の底に沈んでしまう。


 陛下の真剣さに事の重大さが伝わってくる。


 雨を降らせた張本人であるシェイドを呼び出した。


 なんか食べてた。柏餅を葉っぱごと、むしゃむしゃと。


 ──え、いいな。後で私も食べよ。


 シェイドは基本、食べなくても餓死しない。それでも食べるのは私が好きな物を一緒に食べたいから。


 私に合わせてくれているんだ。


「シェイド。雨なんだけど」

「知らん」


 まだ言い終えてないのに。


 シェイドは足を組みながら私の隣に座った。


 冷たい目はチラリと友愛を捉える。


 友愛はようやく顔を上げた。あと少し早ければ、懐かしの和菓子とお目にかかれたのに。残念。


「祈り、雨を降らせたのは貴様だろう?ならば貴様がどうにかするのが筋だ。違うか?」


 誰に求められた同意か。


 素早く反応したのは神官長。


「そうですね。昨日、民衆の前で奇跡を起こしたユア殿が、どうにかすべきです。雨を降らせたのはユア殿だとカイザー様も証言しておりますし」


 やっぱり悪魔だなこの人。


 友愛に力がないとわかっているのに。恥をかかせる気満々。


「キース様はご覧になりませんでしたか?聖女のお披露目。失明していた男性をたちまち治して差し上げたのですよ」

「ほう……。それはそれは。それほどのお力がありながら、水害からは救ってくれないとは。とんだ聖女様ですね」

「口が過ぎるぞキース!!奇跡は」

「頻繁に起きないから奇跡なのですよね。ですがそれは、治癒の話では?」

「くっ……」

「祈るだけならいつでも出来るはずです」


 神官長の追撃が止まらない。これまでの鬱憤を晴らすかのように猛追。


 飛び火はないだろうけど、口を挟まないのが懸命。


「カイザー様。ユア殿を聖女だと言い張るのであれば、ユア殿に聖女としての務めを果たさせるべきではありませんか」

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