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2 似ているようで違うもの

 嗚呼、体も痛いし心も痛い。



 消化され、ぽっこりお腹が解消されてから家を出た。丸太を積み重ねて作られた家は、目が覚めて起きたら寝ていた一時の我が家。

 気を失ったシズムを持ち帰って、助けようとしてくれたのだろう。その矢先、意識のない(シズム)さんがこうパクリといったのだ。




 そう遠くない距離に街があった。新世界の住人は多種多様で、鎧武者からラフな格好まで、様々な衣服が揃っている。お腹の中のあの子同様、人間に近いが獣っぽい人たちもいる模様。



 さて、街行く人に声を掛ける方法について。顔も名前も知らない他人とフレンドリーに話せる自信はない。しかも新世界だ、知らない言葉もたくさん出る。文字は読めるけど『ポーション』だとか『マジックショップ』だとか、怪しげな店が多い。新世界なのだから、ゲームで知るアイテムのことじゃあないんだろう。

 そーんな都合良く世界が新しくなるかってんだ。



 話しかけるのに一番向いているのは。やはり同年齢らしき女の子。池の時に自分が女の子なのは確認したし、話しかけても不審者に思われないはず。



「ねね、ちょっと話いい?」

「どーしたの?」

「道迷っちゃったんだけど。なんか色々教えてくれるインフォメーションセンターみたいのない?」

「いんふぉめーんた? 物知りでたっくさんの人が集まる場所のこと?」


 それだ。


「ここを道沿いにまっすぐ進んで、冒険者ギルドの看板が見えるからそこだよ」



 冒険者、ギルド?

 冒険者ギルドイコールインフォメーションセンター?

 ま、まぁ新世界なんだしゲームの言葉が普通に出てもおかしくないか。



「看板、わかんないんだけど。案内してもらったりはーー」



 シズムと女の子の合間に、お母さんらしき人が割り込んで女の子の手を引いていった。「とんだ失礼を。どうかお許しください」恐れをなした様子で。




 ???

 女の子同士、普通に話していただけだと思うんだけど。

 獣臭も取れて、服装も周りよりちょっと豪勢なフリル制服ってだけなんだけど。

 まずは冒険者ギルドに行ってみるか。事情がわかるかもしれない。




 ササッ。

 サササッ。

 気のせいか、道を開けられている気がする。

 偉い人が通るというか、怖がられている。



 違うみたいだ。真正面から一人歩いてくる。

 その人は全体的に青い服で、婦警のようでもあった。



「あなたは何者ですか。何をしにこの街へ」



 何って。


「決まってるじゃないですか」


 唾を飲み込む音がした。


「お腹を満たすためですよ」



 街中の人々が突然と反転して走って行く。

 新しいお祭り?

 婦警もこちらをオドオドと凝視する。



「お腹を満たすって食べる気ですか! 街を食い尽くす気!?」

「どーしてそーなんの」



 見た目がこう、おっかない悪魔とかならまだわかる。

 小学生だぞう? 大きく見られても中学生だぞう? 可愛い言われても怖がられる言われはない。



 一歩前進。

 一歩後退される。

 一歩前進。一歩後退される。



 壁に追い詰めたかと思えば、プラスチック? の棒を向けられた。

 棒の先が赤い光りを帯び、振り上げるや叫んで炎の玉を飛ばしてきた。ふぁいあーなんちゃらって言ってた。


 カスッ。


 ガスコンロで火を見ても驚かないだろうそれと一緒だ。火の粉が服に掛かった程度、笑って誤魔化して済む話。



 一歩一歩詰めて行く。


「話そうか」


 ちゃんと笑顔で接して行く。

 お腹の中のあの子が洗ってくれたであろう衣服を焦がされたからといって、怒っているわけではない。

 満面の笑みで狩りに行く。




「そこまでだ!!」




 路地裏を塞ぐ三人の男。どれもおっさんだらけで芸がない。


「ギルドの方、下がっていてください。俺らが引き受けます!」


 下がっても壁ですが。

 この人たちがご案内してくれるのか。おっさん三人はむさ苦しい。


「別に殺されたいならどうぞ前へ」

 別にいいですよ。

「この女の方が美味そうだ。生ゴミどもは見逃してやろう」

 この女の人に教えてもらいますから。男三人は行ってください。


 ドドドドドドドドドドドド!

 ※シズムには聞こえておりません。


 物騒な刃物を引き抜いて、こっちに掛かってきた。


「ディナーの前に調理してやろう。ちょっと殺ってやらぁ」

 人を殺そうとはどういう了見だ。ちょっと大人しくしてもらおう。


 熊と戦ってきた私は逞しかった。剣っぽい凶器に屈することなく、威嚇するつもりで拳を出した。



 渦巻く風が壁を抉り、男三人を呑み込み空へと飛ばす。そのままお星様へとなりましたとさ。



 空手の正拳突きの真似をした。それ以下であってもそれ以上じゃない。

 婦警さんの顔は死体みたいだ。幽霊の時自分の顔を見たからよくわかる。



 早い足音がいくつも重なって、こちらに向かっている。さすがに何が起きたか不明だが、言い訳を考えないと修理代を払う羽目になる。誰かがやったことにしよう。


 大勢の武装集団に囲まれる中、丁寧に言った。



「さあ、ディナーショーの始まりだ」

 シズムじゃなくて通り魔がやりました。




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