ゾンビルートが生まれた日
ウィルが生まれた家は、どこにでもあるようなごく平凡な農村にあった。
敬虔なルード教信者である両親は、毎日の糧に感謝しながら、誰よりも早く、誰よりも遅くまで畑仕事に精を出す村でも評判な働き者だった。
だから一人息子のウィルが突然の病に倒れあっけなく死んだとき、最初は村人の誰もがこれは何かの間違いだと思った。
あれほど敬虔な信者だった2人の息子が何故?
純粋な疑問が、口さがない噂に変わるのに、そう時間はかからなかった。
曰く、彼の息子は妻の不貞の子である。
曰く、彼らは裏で盗みを働き私腹を肥やしていた。
敬虔な信者であり続けた両親は、より一層息子の死を受け入れることができず、ただひたすらウィルの復活を祈った。
ある日、そんな2人の姿を見かねて村の司祭はこっそりと、どうすればいいのかを教えてくれた。
2人は教わったやり方に従い、食事を摂ることも忘れ、ただひたすら墓標に向かってウィルの名を呼び続けたのである。
村人は両親の狂気をあざけり、遠ざかっていく。
それでも両親は呼び続けた。声は枯れ、血反吐を吐き、妻は倒れた。
それでも呼び続けた。
その結果、奇跡は起きたのだった。
土中から突然手が飛び出し、土を押しのけたかと思うと、死んだはずのウィルが這い出してきたのである。
両親は神に感謝した。息子の復活に。そして自らの潔白が証明されたことに。
そして両親は、ウィルの最初の犠牲者となった。




