表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2つの魔女  作者: saika
7/8

本物の魔女

 ゴロッ ゴロゴロッ…!


雷の音がどんどん大きくなり、鼓膜だけじゃなく体にもその振動が伝わってくる。


「まっ、これ以上あなたがどうしようがわたしには関係ない。もう二度と、わたしに関わってこない方が身の為よ」


「っ! 逃がさない…!」


恐ろしく低い声で呟いた後、彼女の口から呪いの言葉が紡がれる。


言葉は黒いモヤとなり、彼女の体を包み込んでいく。


その様子を、わたしは冷ややかな眼差しで見つめる。


「―警告はしたわよ」


「黙れっ!」


彼女が叫ぶと同時に、黒いモヤは大蛇となり、わたしに襲いかかってきた。


だが……。


 ゴロゴロッ ドカーーーンッ!


「…かはっ」


落雷が、彼女の体に落ちた。


それと同時に大蛇は消滅し、黒焦げとなった体は地面に崩れ落ちる。


その上に、ポツポツ…と雨が降り注ぎはじめた。


「傘、持ってきて良かった」


わたしはカバンから折りたたみ傘を取り出し、さした。


雨は勢いを増し、周囲の光景すら見えなくしていく。


「そのロザリオ、逆凪を防いでくれる物じゃなくて、術を使う者の力を強くする物なの。そしてあなたがそういう眼に合ったのは、わたしが本物の『魔女』だからよ」


本物だからこそ、低級なモノは寄って来れない。


ゆえに交霊術も心霊スポットも、わたしは無意味にしてしまうのだ。


わたしの意思に関係なく、身を守る為の術は発動してしまう。


そしてその対価は…不老。


発動する度に、わたしの成長は止まってしまう。


もうすでに百年以上、この姿でわたしは生きていた。


「自分でかけた術じゃないだけに、忌まわしいことこの上ないわね」


そう言いながら、彼女の元へ歩く。


そして砕け散ったロザリオを見た。


「この十字架は……やはり」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ