『魔女』の正体
ゴロゴロゴロッ…
雷の音が薄暗い街中に響きわたる。
空には重く黒い色の雲が広がり、時折金色の稲光を走らせる。
雷の力というものは凄まじく、あえて雷を落として何かの力に利用するという話を思い出しながら、わたしは歩いていた。
あの日から数日が経過した。
しかしわたしは特に何も変わってなく、そのことをクラスメート達は不思議に思っていた。
そしてとある説を言い出す。
―『魔女』に逆らっても、大丈夫なんじゃないか?
無事である証人が、わたし自身なのだから何とも言えない。
だけど段々とその話は広まっていき、前ほど彼女の周りには人が集まらなくなった。
そして陰口を言う者も徐々に増えてきた。
「栄枯盛衰ってね。一度は栄えても、枯れるのが世の理り。誰も何もソレには逆らえないからこそ、平等な世の中とも言える。―そう思わない?」
人気のない広い公園に入ったところで、わたしは歩みを止めて声をかけた。
学校からずっとつけられていることに気付いていた。
だからここまで連れて来たのだ。
「ど…して? 何でアンタは無事なの?」
声も表情も荒らげたのは、『魔女』こと鈴だった。
「アンタが不幸になるよう、いろんな術をかけた! なのに何一つ成功していない。今までこんなこと、なかったのに!」
真っ白い顔色で、黒い眼をむくとヒッドイ顔になるなぁ。
しかし今の言葉を聞くと、やっぱり彼女、自分を否定する者には呪いをかけていたのか。
「はぁ…。最近、何かうっとおしいのが来ていることは気付いていたけどね。バカ正直に受けてあげる義理もないし、返り討ちにしてたまでよ」
「返り討ち…? アンタもあたしと同じ、『魔女』なの?」
「人を呪うという意味なら、否定するわ。それにわたし、泥棒じゃないし」
「なっ!」
彼女の目が見開かれる。
あっ、顔色が白から青へと変わった。
―やっぱりそうだったか。
わたしは深く息を吐き、彼女と正面から向き合った。
「探し物を占いで見つけるって言うの、アレは詐欺でしょう? だってあなたが盗んで、それをさも占いで見つけたように言うんだもの」
「どっどこにその証拠があるのよ!」
「ないわ。でもそんなことを続けていれば、いずれは誰かに見つかって自滅するわよ」




