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2つの魔女  作者: saika
3/8

3

申し訳なさそうな顔をしている1年生達に礼を言って、わたしは科学室を出た。


そこで思いがけぬ人がわたしを待っていた。


「鈴さん、どうしたの?」


「あのね、美夜さんの探し物ってコレでしょう?」


彼女はウキウキした様子で、一本のペンをわたしに差し出す。


それは愛用している例のボールペンだった。


「教室で見つけたの?」


「と言うことは、なくした物はこれで間違いないのよね?」


疑問を疑問で返さないでほしいんだけどな~。


けれど確かにそうなので、頷いて見せる。


「ええ、確かにコレよ。―で、どこで見つけたの?」


「占いで見つけたのよ」


「具体的には、どこで?」


しかしこの問いには答えず、ただ笑みを浮かべるだけ。


―つまり、言えないんだな。


わたしは深いため息を吐いた。


「とりあえず見つけてくれてありがとう。じゃ」


淡々と礼を言って、わたしは教室に戻ろうと歩きだす。


階段を登ろうとした時、一部始終をそこから見ていたらしいクラスメート達が、黙って手招きしてくる。


「どうしたの?」


「なくした物、見つかった?」


「やっぱり『魔女』が見つけたんでしょう?」


「まあ、ね」


確かにわたしの手元にペンは戻ってきた。


その事実は否定しない。


「ほらぁ。最初っから『魔女』を頼れば良かったじゃない」


「下手に機嫌を損ねると、後で大変な眼に合わせられるよ?」


このクラスメート達が本当にわたしのことを心配してくれているのは分かる。


「だけど、どうにも好きにはなれないのよねぇ」


わたしは階段を登りながら、渋い表情になった。


「別に彼女自身のことは嫌いではないんだけど…。注目のされ方は嫌いね。『魔女』と呼ばれて嬉しがるなんて、どうかしている」


「でもさあ、『魔女』になる前の彼女なんて、エアーも同然だったじゃん」


「そうそう。いっつも怪しい本ばっか読んでてさ。でもまさかそれが特技だったなんてね」


…占いはともかく、人を呪うのも特技のウチに入るのか。


最近の女子高校生の考え方は、本当に面白い。


「美夜はあんまり噂とか信じない方だろうけど、本当に気を付けた方が良いよ」


「うんうん。何かあってからじゃ遅いんだから、『魔女』のご機嫌取りはしといた方が安全だよ」


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