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「あのね、美夜が何かなくしちゃったらしいの」
「鈴ちゃん、探してあげてくれない?」
簡単にしゃべりやがって…!
当事者であるわたしの意見を聞かんかい!
「まあ、そうだったの。良いわ、占ってあげる」
また彼女も上から目線で話を進める。
だからわたしは少し声を荒らげて、はっきりと言った。
「それはいいわ。自分で探すから」
「えっ?」
途端に教室中の空気が凍り付く。
『魔女』の申し出を断るなんて…と雰囲気が語っているが、わたしは真っ直ぐに彼女の眼を見つめる。
「あなたの手を煩わせるほどのことじゃないわ。だからほっといて」
「そっ…そう。分かったわ…」
言葉ではそう言ったものの、その表情は醜く歪んでいる。
まさか自分が差し出した手を、振り払われるとは思わなかったんだろう。
屈辱と怒りの感情が、そのまま顔に出ていた。
「ちょっと、美夜! 何で断ったのよ!」
「『魔女』に逆らうと、後でヒドイ眼に合うのよ?」
クラスメート達は心配そうな表情を浮かべながら、小声で怒鳴る。
「たかがペン1本だし。それに他に困っている人なんていくらでもいるんだから、そっちを優先させた方が良いと思ったまでよ」
わたしは平然と答えた。
その声は彼女にも届いていたのか、肩が震えて見える。
「もう…!」
「知らないからね!」
「はいはい」
肩を竦めたわたしは、とりあえず今日の行動を振り返ることにした。
朝、学校行く時に確認した時には確かにあった。
その後の授業でもたびたび使った。
最後に使ったのは科学の授業中、実験をしながらノートに書き込んでいた時だ。
「だとすれば落としたかな?」
実験中はバタバタしていたし、教室で見つからないならそこだ。
科学の次は体育だったから、ペンは使わなかったし。
放課後の掃除の時間まで待って、わたしは一階の科学室へ向かった。
科学担当の先生に落し物について聞いたけれど、無いという返事をもらった。
なら掃除中なら見つかるかもしれない。
掃除は1年生が担当をしていたので、ペンのことを説明して、掃除がてら探してもらった。
だけど見つからなかった。
「…チッ。仕方ないから新しいのを買うか」
先週買ったばかりの新品だったけど、気に入りだからアレ以外は使いたくないし。




