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第七章 網谷 八雲

挿絵(By みてみん)


「……なんだこれ?」


 僕がこの箱を開けると年代物のフロッピーディスクとビデオテープが入っていた。

 昨日はチェリーパイが入っていたから食べ物を期待してたのにこんなものが来るとは。


 箱からそれらを取り出して蓋を閉じもう一度開けてもぎゅうぎゅうとそれらが詰まっている。


 僕は試しにそれらの中身を見てみることにした。


 フロッピーディスクに関してはウイルス感染が怖いから箱に直したけど、ビデオテープなら大丈夫でしょ。

 タイトル欄に数字しか書いてないけどこんなに送ってくるんだから呪いのカセットとかじゃないでしょ、たぶん。


 ビデオを見てみるとそれはR18指定のどぎついやつだとわかった。

 僕はこうゆうの店で買う勇気も借りる勇気もないからいつもはネットで見るんだけど中々年代ものでジェネレーションギャップを感じるな……。




 僕はここから電車で一時間する港町にある工業大学の三年生で今は独り暮しだ。

 僕はロボットが好きで自分の代わりに働いてくれるロボットを開発するために日夜研究している。

 機械類が好きで色んな中古家電も集めてる。

 だからうちにはビデオデッキがあった。

 特に僕のゼミではロボットスーツの開発の研究を行ってて、いつの日かこれを着て歩く時代が来ることを夢見ている。


 僕がロボットを作るのは僕が極度の面倒くさがりだからだ。

 僕自身が動かなくてもいいように働いてくれるロボットが作りたい。


 僕のかわりに動いてくれるロボットがいればアパートの下見をせず契約してしまい毎日一時間電車に揺られることにならずにすんだし早く僕の理想のロボットを作り上げたいんだ!




 ピンポーン!




 僕が例のビデオを見ているとチャイムがなった、誰だろう?




「網谷さん?いるんでしょ?」




 あ、大家の大矢さんだ。


「は、はーい。」


 僕はテレビを消して玄関に駆け出す。

 大矢さんは少し小太りで少々見た目が怖い人だ。


「網谷さん今月の家賃また未払いでしたよね?」


「……あ、えーと、すみません。」


「……すみませんで済んだら私はいきていけないんですけどね。」


「……すみません、お金なら出すんで。」


 そういって僕は財布から家賃をとりだす。

 二万八千円と割安だ。


「お金があるんならちゃんと振り込んどいてもらえます!もう四回目ですよ!」


 今日の大矢さんもかなり機嫌が悪そうだ。


「……すみません、……振り込むの面倒くさくて。」




「あなたの口座から引き落としの筈なのにですか!?」




 今日は本当に機嫌が悪いようだ、いつも顔が怖いからわからないのに。


「……親の仕送り先と口座が別なんですよね。」




「それなら口座を変更すればいいじゃない!!」




「……あー、……えーと、……銀行に行くの……面倒くさくて……。」


「……はぁ。」


 大矢さんは呆れたようにため息をつく。


「……あんたって人は、お金は払ってくれるからいいものを。」


「……すみません。」


「……あと網谷さん。」


 まだ何かあるのだろうか?




「あなたまた変な機械捨ててませんか?」




 ……あ、ヤバイ。


「……いゃー、なんのことですかー?」




「あなたぐらいしかあんなもの捨てないでしょう!!」




 ……やっぱりバレてしまっていた。


 僕はよく中古の家電製品を使って色んな装置の開発を試みているんだけど失敗作の処理に頭を悩ませている。

 昨日は他のゴミと一緒に出したからバレないと思っていたがどうにも甘かったらしい。


「ゴミ捨てに関してはこれで十回目ですよ!!ふざけるのも大概にしてください!!」


 ……実はその倍は捨てているのだが言わぬが仏だろう、たぶん。


「……すみません。」




「わかったら回収してくださいね!今度見つけたら出てってもらいますからね!!」




 いつもの決まり文句を言い終わると大矢さんは去っていく。





「……はぁ。」




 僕は溜め息をつきながらゴミ箱に向かう。

 確かにそこには僕の作った小型電動シュレッダーがあった。

 持ち運び可能にしたのはいいけどつかいどころがなくて廃棄にいたったのだ。


「回収しろって言われてもな……。」


 自己評価ではあるが僕の部屋はゴミ屋敷だ。

 色んながらくたが落ちている。

 勿論好きで集めているわけだが機械類が多く処分にはいつも困らされる。

 僕は部屋に戻り再びテレビをつける。


 僕と大矢さんの会話の間もビデオは流れていたらしくさっきまで見ていたシーンとは違うシーンだ。

 

 相変わらずどぎつい内容だ。

 僕の趣味とは合わないけど、今時こんなのないんじゃないか?




 ……それよりゴミを簡単に処分できたらな。


 ビデオを見ながらそう考えた時僕はあの箱のことを思い出した。



 

……あの黒い箱なら知らない誰かにこのゴミを押し付ける事が出来る。




 ちょっと悪い気がしたけど折角もらったものだし使ってみなくちゃなという好奇心が僕を後押しした。


 早速箱をあけて小型電動シュレッダーをいれる。

 蓋をしてもう一度あけるとそこには小型電動シュレッダーの姿がない。

 ちょっとした罪悪感は生まれたがどうせみんなもゴミみたいなものをいれてたんだ、そう思うことにした。






 そのあと僕は二ヶ月ぶりに部屋の掃除をした。



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