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第三十四章 守田 美沙 その七

挿絵(By みてみん)


「ねぇねぇニュースみた?あの幼女誘拐事件の犯人が見つかったんだって!」


「あーあたしもみた。あの家で焼身自殺したとかいうおばさんでしょ」


「マジヤバよねー、焼けた内から死体が出てきたんでしょー。しかもバラバラで!」


「クーラーボックスに入れてあったらしいけどどうするつもりだったんだろうな。」


「食べる気だったりして」


「違うだろ、なんでも元々嫌われ者だったらしいから復讐かなんかってニュースで言ってたぜ」


「でもかわいそうだよね、残されたお子さんとお父さんが」


「本当ーマジヤバ!」






「みんな盛り上がってるね守田ちゃん」


「……うん、そうだね黒崎ちゃん」


 お昼休みの束の間、クラスは昨日発表された事件で盛り上がっていた。

 私は親友の黒崎ちゃんと一緒にそれを聞いていたの。

 日中に起きた火災事件から一転、少女誘拐事件の犯人による焼身自殺。


 勿論真相は違う。

 私と筑波先輩で殺したの。


 この事件を解決するために私たちは彼女の自殺に見せかけた殺人を決行した。


 あの家にあった私たちの痕跡、盗聴器とか足跡とかは筑波先輩が消したりしてくれた。


 目撃者が出ないように大歳さんが自作の無線機を使って筑波先輩に逃走経路の指示をだしてくれた。


 火の出元も光本さんが自分で用意するように網谷さんが誘導した。


 網谷さんが協力してくれたのは船頭さんのおかげだ。

 苦手な人だけど後でお礼を言わなきゃかな。


 一週間かけてこの作戦は実行され見事ほぼ完ぺきに成功した。

 それは先輩たちが異様に手馴れていて無駄なく計画を実行できたからなの。


 一日たったけど私の中には後悔がある。


 光本さんのこともそうだし、幸太君のこともそうだ。

 本当に良かったのかなって悩んじゃう。


「……どうしたの守田ちゃん?」


「……うんん、なんでもない」




 それともう一つ、私達が光本さんの家から離れた時、私達の前に箱をくれたピエロさんが突然現れたの。




***




「おめでとう!よく全部の箱を集められたね!」




「とりあえず死ね!!」




 筑波先輩は恐ろしい殺気を放ちながら彼に銃を構えた。




 バン!バン!バン!




 彼は何発か発砲したけどその弾丸は空中で動きを止めたの。


「折角クリア記念のプレゼントを持ってきたのに危ないな!」


「な、なんなのピエロさん?」


「うん、君の持つ箱を開けてごらん!」




 私は光本さんの家で手に入れた八つ目の箱を開けたの。


 そこには真っ白なカードが入っていた。


「……こ、これは」


 筑波先輩はこれがなんだか知ってるみたいだった。


「それは僕からの次のステージへの招待状さ!君は前回のショーで一番そのカードを欲しがっていたからね!」


「ふざけやがって!なにがショーだ!!」


 筑波先輩はまた発砲するけど再び空中でそれは動きを止める。


「新しいおもちゃが集まったら君たちも招待するよ!世界を揺るがすマジックショーに!!」


 それだけ言うとピエロさんは私達の前から煙のように消えた。

 あのピエロさんはまるで今回の事件を楽しんでいるようだったの。


 あの箱も私達を争わせるために配ったみたいだった。


 筑波先輩があの人を許せない理由もなんとなくわかる。

 私もあのピエロさんをこのままにしておくわけにはいかない、そう思うの。




***




 色んなことを考えている内にその日の授業はすぐに終わった。


「守田ちゃんまた残るの?」

「……うん、ちょっとね」

「もしかして……、彼氏出来ちゃった?」


「ち、違うよ!」


「ふふ、隠したってバレバレよ守田ちゃん」

「……もー違うのに!」

「ふふ、彼氏さんによろしくね!」


 黒崎ちゃんはそう言って先に帰ってしまった。


 むー、あんな言われ方すると恥ずかしいよ。


 でも私は当初の目的通りあの人が来るのを校門の前で待ったの。




「何してんだ守田?」




「あ、筑波先輩!!待ってたんですよ!」


「……何で待ってんだよ?箱の件は昨日終わったろ」


「一緒に帰りましょ!!先輩!!」


「糞が、なんで食人女と一緒に帰らねえといけねぇんだよ。」


「もー先輩ったら照れちゃって」


「……糞が、好きにしろ」


「はーい!」




「先輩?」

「なんだよ守田」

「先輩はやっぱりあのピエロさんを殺すんですか?」

「当然だ」

「なら今度こそ私に食べさせてくださいよ!ピエロさん!!光本さんは結局丸焦げになっちゃって食べられなかったですし」


「……っけ、カードがある以上お前も用済みなんだよ。消されたくなけりゃおとなしくしてろ」


「いいじゃないですか先輩!私全力でお手伝いしますよ!!」


「……なら何が出来るんだよ?」


「美味しいご飯が作れます!!」


「お前の飯なんか気味悪くてくぇねぇよ」


「でも先輩一人暮らしでしょ?」


「……なんで知ってやがる?」

「大歳さんが教えてくれました!!」

「あの野郎……」


「一人のご飯は寂しいでしょ!!私沢山ご飯作るんで一緒に食べしょ!!」


「これ以上余計な真似をするならお前も殺すぞ。もうカードがある分処理には困らねぇ」

「駄目ですよ先輩。先輩は私を殺せないはずです」

「……なんでだよ」


「先輩は正義のヒーローですから!!」


「……訳がわからねぇ。」




 筑波先輩は悪い人だ。


 その気になったらどんな手段を使ってでもその人を殺す。


 でも私は知ってるの。


 それはこの先輩が誰かの為に怒れるから。


 みんなにとって危険な何かに立ち向かえるからなの。


 まだ出会って一週間ちょっとだけど、この人は他の人と比べられない程の信念があるの。


 だからこの人は寂しそうな顔をしながらも前を向いていれるの。


 そんな先輩のことを私はもっと知りたくなった。


 これからどうしていくのか、どんな味がするのか……。


 この人の進む道はきっととっても危険だ。


 これからもあのピエロさんを追う以上、あんな事件に巻き込まれるかもしれない。


 いつかこの人が倒れた時、私はそれを受け止めたい。






 その時は私がこの人を食べてあげるの!







 そんなことを夢見ながら私は筑波先輩について行くのでした!



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