第二十四章 守田 美紗 その四
「……いくぞ守田。」
私は筑波先輩と二人きりで中村さんの家を目指し移動しているの。
筑波先輩は鞄を片手で持ってぶっきらぼうに私に言ったの。
「先輩、私が荷物持ちますよ!」
「……このくらい自分でもつ。いいからついてこい守田。」
なんだかんだで筑波先輩と二人きりになるのは初めてだな。
この人はとっても怖い人なの、昨日も私を殺そうとしてきた。
でも私は殺されなかった。
この人はきっと、本当に人が殺せるはずなのに私を殺さなかったの。
「先輩?」
「なんだよ守田?」
「……先輩はどうして人が殺せるんですか?」
「……いきなりそんなこと聞くやつがいるか、食人鬼め。」
「……むぅ、私はなんでも食べるだけです!」
「その辺の土でもか?」
「はい!!結果として未だに美味しい土には巡り会えてないですけど。」
「……。」
「あ、でも雑草は美味しいのが多いですよ!タンポポって揚げるとおいしんですよ!」
「……知らねぇよそんなもん。」
「それより教えてくださいよ先輩!」
「なんでそんなに知りたがる?」
「……だって私には出来ないことですし。先輩が本当は殺せないとかだったら先輩と一緒にいる意味がないですし。」
「お前よくそんな口がきけるな。」
「えへへ。」
「褒めちゃいねーよ。」
「それでどうなんですか?今まで何人殺したんですか?」
私がそれを聞くと筑波先輩は黙ってしまった。
……やっぱりいきなり図々しかったかな。
これから一緒にあけみちゃんを殺した犯人を殺すんだから話してくれるかなって思ったんだけど、突然こんなこと聞いたら困るよね、普通。
でも私はこの先輩のことを知らずにはいられなかったの。
だって一緒にこれから悪いことをするわけだし、本当はどんな先輩なのか知りたかったの。
「……俺はあいつは殺し損ねたが、それ以前に二人殺してる。」
私の質問にしばらく間を開けてから先輩は答えてくれた。
「……どんな人だったんですか?」
私は訊ねた。
「……俺の両親だ。」
先輩はそれから先のことを話してはくれなかった。
でも私の前を歩く先輩は、何も言わなくたって、まっすぐ前を見ながら進んでいた。
それだけで私は彼を信頼できたの。
人を殺せるっていう、必ず殺すっていう……、この人の信念、みたいなものに。
そんなことを思いながら私は思うの。
先輩はおいしそうな目をしてるって!




