第十七章 網谷 八雲 その二
どうしてこんなことになっちゃったんだ!
探偵がでてくるし、明日も集まることになってしまったしもう逃げられない。
どうにか最後にビデオを送ってきた人に話は移せたけど、けどきっと誤魔化しきれない。
僕が箱にあんなもの入れたからなのか?
……僕は、僕はなんにも悪くない。
箱に入れてしまえば、それはもうあいつらのものなんだ!
僕は悪くないんだ。
あの時の事故だって、僕は何一つ悪くない。
僕には関係ないんだ。
なのに、箱にいれておしまいだったはずなのに、あの女子高生と探偵が余計なことをいうから、あの探偵が僕らのことを調べるって手紙に書いておくってきたから僕は逃げられなかった。
あぁもう面倒くさい、どうしたらいいんだ。
どうにか今回のことをうやむやにして、なかったことに出来ないのか?
あぁ神様!どうか僕を助けてください。
いつもは神様なんて信じてないけど、助けてくれたら信じるから、毎日お祈りするから!
だからどうか!
僕はそんなことを考えながら喫茶店から帰っていた。
多分震えながら歩いていたんだと思う。
今の僕は周りから見れば不審者なのかもしれない。
でもとにかく、僕はこの場から逃げ出したかった。
あの箱も投げ捨てて逃げ出したかった。
でも僕にはそれをする勇気はなかったんだ。
箱に入れるだけならとっても簡単なんだ。
箱に入れて蓋を閉じるだけですんだんだ。
なのに、なのに……!!
「網谷君……ですよね?」
僕の後ろからさっき聞いた声がする。
「え、えぇとあなたは……。」
「光本です。」
「……あ、あぁ光本さんですか!」
さっきの集まりに来ていた光本さんは喫茶店で別の道にいったはずなのに僕の後ろから現れた。
おかしい、この人も探偵とグルなのかな?
だとしたらまずい。あんまり話したくない。
「ど、どうしたんですか?」
僕は他人行儀で話し、早く帰りたいと言う意思を示す。
「網谷君はあの探偵さんのことどう思いますか?」
え、なんでそんな質問をしてくるんだ?なんなんだ?
「べ、別に……探偵ってすごいなぁって。」
「そうは思ってないでしょ?」
光本さんは断言する。
「……へ?」
「網谷君はあの探偵さんをよく思ってないでしょ。私にはわかるの。よく人間観察してるから。」
「……は、はぁ。」
「今回の事件もうやむやにしたい、だから最後にビデオの話をして場を乱した、そうでしょ。」
「……へ。」
なんなんだこの人は、僕に何が言いたいんだ。面倒だ……。
「私もあんまりよく思ってないの、あの人。とってもうさんくさいし。」
「……は、はぁ。」
「それにね網谷君、私は今回の犯人捜し、本当はうやむやになってほしいの。」
何を言ってるんだこの人は。
「私の息子は被害者のこと同じ幼稚園に通ってるの。だからまず間違いなく私が疑われるの。」
「……。」
「それに私、他の子の親とも仲が悪いから一層疑われてしまうの。」
「……。」
「私は犯人じゃないけどそれは困るの、こんな集まりをしてることが他の親にばれたら一層距離を置かれるわ。そうなったら幸太は、幸太が困るの。」
「そ、そうなんですか……。」
「だから網谷君、私と一緒にこの集まりなかったことにしてくれないかしら?」
光本さんは僕の手を取って僕に近づいてくる。
とても顔を近づけてきて手と手が密着する。
正直手だけじゃないところもくっついている。
僕はこういう経験がないからどうしたらいいかわからない。
けどこれはチャンスだ。
僕と同じでこの会をなかったことにしたい人がいたんだ!
神様は僕を見放していなかった!
お祈りは面倒だからしないけどありがとう神様!
「続きはあなたのおうちでゆっくりしましょう。」
光本さんは改めてみると美人だ。子供がいるとは思えない。
「は、はい!」
僕はこのチャンスを喜ぶと同時に逃げられなかった。
だって逃げるのも面倒だから。
だからこの人に全て任せてしまえばいいんだ。




