プロローグ
朱武高校二年生、筑波善財はやるときめたらやる男。
不良に喧嘩を売られれば違法な手段で手にいれたM1911ガバメント型改造エアガン、つまり準空気銃で眼球を狙い、金属バットで骨まで砕く。
欲しいものがあれば当然のように盗み、可愛い女がいれば彼氏がいようと手籠めにする。
(……最も彼の好みの女はこの学校にはいないようだ。)
自転車で走行中、後ろから走ってきたバイクに煽られれば自転車のままで追跡し追い抜く。
素行だけ挙げるなら可愛い不良と言うべき彼はその器量と狡猾さで一般的高校生として学校生活を謳歌し続けている。
その悪い人相から彼に友達は多くない。
彼に好き好んで声をかけるのはクラスメイトの小岩井とバレー部の宇多田くらいだ。
そんな彼にも消せない前科がある。
正確にはバレてないから犯罪ではないのだが、彼はかつて殺人未遂をおかしている。
更に言うなら不法侵入、危険物取扱、窃盗などなど……、数え切れない罪を重ねて隠し持っているが今回取り上げるのは殺人未遂についてだ!
彼は一度ある事件に巻き込まれ殺人鬼を殺すことを決意した。
彼と殺人鬼との戦いは熾烈を極めたが殺人鬼には逃げられてしまう。
ただ逃げられたのではない。
彼の活躍によって追い詰めはした。
しかしこの世ならざるものの力によって殺人鬼は姿を眩まし安否不明となっているのだ。
勿論これに納得している彼ではない!
殺ると決めたからにはどんな手を使っても殺り抜くのが彼のスタンスだ!
彼はそうしなければならない。
そうしなければ、彼の中の静かな憤怒は彼自身を焼き尽くしてしまう。
そんな彼のことを知ってか知らずか、その殺人鬼と同じ姿の白い道化師が彼の前に現れる。
この物語はそこから始まる。
罪を隠したもの達は奇妙な箱によって引かれあい、隠しきれないその罪を箱の中に積めるだろう。
あなたの罪はその箱に収まりますか?