第1章 変わらないはずのセカイ 4
「はあッ!」
永久の威勢のいい声が聞こえる。
今、アンドロイドが音もなく倒れた。
「じーさん、そろそろまほーのカバンにも入らなくなってきたぞ。」
「なに!そんなに戦ったか!?嘘だろ!?」
元々、鬼は好戦的な正確であり襲ってくる対象に対しては容赦はない。がたかがはずれ、極東の地では〘魔物〙として討伐隊が組まれることも少なくは無い。元々個体数の少ない種族のゆえ、その人数は世界でも200といない。
「大丈夫です!私、沢山マジックバック持ってきてますから!」
あ、こいつ本気で奥まで行こうとしてんのか・・・
と二人が呆れていると、
「それにここからは調査隊も来たことのない本当の未開発部のはずです!」
キラキラと目を輝かせているレイジーがいた。
そもそも古代都市は旧人類がまだ世界に60億人以上いた時代に世界と別の世界が平行してある事を学者が発見。宇宙を開拓するよりも平行して存在する世界の方がほぼほぼ環境が同じであること・別世界がある事は確認されたがそこに行くまでの方法がまだ誰にも発見されていないことが利点となり、世界の各国が研究・争いを繰り返した。そのせいで人類は半分以上死ぬ形となり、人類を保護するため集められ〘コロニー〙ができた。
だが、ひとときの幸せもつかの間。その時代では薄れ、消えつつあった魔術が別世界を開けるきっかけとなり、途切れていた神の世界と悪魔の世界がこの世界を奪い合うためにまた戦争が始まり、またもや人が大量に、戦争に駆られ・天使と悪魔への対策研究として死に今に至る・・・
「・・・という事がこの世界になったきっかけの大体のあらすじのようなものですね!」
ふふん!と自慢げにするレイジーを横目にいきなり未開発部に来た途端自慢げに話す獣人族のせいでどっと疲れ、肩を落とす鬼が二人いた。
すると・・・
ドン ドン ドン ドン! ドン!!
と近づく大きな足音に3人は警戒した。
「本当にここは不気味だな。何も当たっていないようで当たっていて、踏んでないようで踏んでるんだから。」
永久が厳しい顔つきで愚痴をこぼす。
「まっ、まさかですよね、まさかですよね!?」
レイジーはかなり驚いているようだ。
「そのまさかだよ、やらかした。警戒を怠った。来るぞレイジーさん!隠れて!!」
「全く、どうせそこのバカが偵察用小型アンドロイドにでも見つかって倒し損ねたんだろう。はぁ、」
「あぁん?ジジィこそやらかしんたんじゃねーのか??」
喧嘩をしていると思ったレイジーは永久と勝義をなだめようとするが、心配はいらなかった。
そう。二人とも出てきた獲物を前に笑っていたのだ。
ギュォォオオィンン!!
体格は3メートル以上あるかと思われるまさに機械を纏った異形。
「心配かけさせんじゃねーぞ。永久。」
「じーさんこそ歳なんだから、派手にやらかしすぎんなよ!」
「ハッ!」
その声とともに勝義が大きく飛ぶ。
ギイィィン!!
「おい、こりゃ骨が折れるぜ。」
硬い装甲に勝義が驚く。
だがしかし、顔には不敵な笑みを浮かべていた。