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瞳の花火〈アイズガーデン〉  作者: 清菜海 のり
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第4章 旅立つために

「これにて今日の授業は終わりじゃ!」


「「ありがとうございます!」」


ドゥリンの声に4人の大きな声が聴こえる。

そう4人だけ・・・

シャルは目から生気が抜け、永久はドゥリンの声と共に横へ倒れたのだ。


「え、えっ?休憩とかないのこれ・・・」


「まっタク、根性ないナ。」


永久はかすれた声でついに上げていた手がパタリと地面についてしまった。


「しかたないね。旅立つための最低限の授業だ。期間も限られてるからね・・・」


ガルデはハニカミながら、永久に手を伸ばす。


「シャルちゃんしっかりして!授業終わったよ!ご飯だよ!ご飯!!」


マリアはシャルの肩をゆすっている。


「・・・はっ!」


シャルは突然目を覚ました!


「やっと終わったのね・・・危ないところだったわ・・・」


「いえ、

アウトでしたよ。」


「あぅ!」


フルーレティの鋭いツッコミがシャルにささる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「えっ!?そんな・・・私気を失ってたの!?」


「モーいいかげン認めタほうガいいゾ。」


食事をとっていた6人。歳が近いからなのか話が盛り上がるようだ。

するとエルダが扉を開け入ってきた。


「よし、皆食事をとるだけの余力は残っていたようだな・・・」


エルダはどこか懐かしそうに遠くを見ている。

どうやらドゥリン先生は以前からそうらしい・・・


「午前の訓練ご苦労!1時間の休憩の後、個々戦闘訓練に励んでもらう!」


「やっと!戦えるんだな!」


やる気満々の永久。


「血の気の多いやつだな!いいぞ!!が、残念なことにお前は少し違う訓練を用意している。」


「なっ・・・」


「種族の授業をしたから分かるだろ?それにな・・・」


「それって・・・」


マリアは授業を思い出す・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「えーとじゃな、次は永久くん。君、鬼について教えるとしようかの。」


種族に関しては前人類が全てを書き記した書物をブリテンに残していた。


「ぐぁ。」


ドゥリンの言葉に寝言で返す永久。

するとドゥリンは腕を振りかぶりチョークを投げる。

ーまるで鶴のようなフォームであったー

と後にマリアは語る。


「ぐぁぁぁ!」


なんと額でチョークが弾けたのだ。


「ふぉっふぉ。だてに投げてはおらんよ。」


そのままドゥリンは鬼への説明にうつる。


〘鬼〙は〘和の国〙で生み出された種族である。

戦闘のためだけに。

額に角が生え、結束力が高く。ヒュニオ(人間)とは比べ物にならない筋力を持っている。寿命は

ヒュニオとほぼ同等ではあるが、近年親近婚が多いため寿命の短い個体が存在しつつある。

そして、研究所での遺伝子研究の途中に、突然変異。一人一人に特殊な能力が備わる体になった。

が、大きな欠陥が存在する種族でもある。

それは本能の暴走。まるで〘精霊〙のように。

本能の暴走と言うが、精神はいたって冷静。

ドゥリンは


「1度見たことがあるのじゃが、あれは自分と戦い以外に何も興味が無くなっているような感じじゃったな・・・」


と語っている。

暴走がリミッターが外れ、上位ランクの〘精霊〙であれども短期でねじ伏せる力をもつ個体も存在する。

暴走の頻度に関しては極めて多い。精神の高ぶり・弱りにより、全員が感情が乏しい鬼になる訳ではなく、性格が180°変わるもの、そのまま動かなくなるものもいる。

では、なぜ?そんな欠落があるのか?

答えはそう。「戦闘のため」である。

〘鬼〙を生み出した研究者はただ戦いの駒として〘鬼〙を生み出したのだ。

最初から感情の欠如を前提に生み出すはずだったのだが、突然変異という奇跡により特殊能力を得たに至ったが、そのせいで感情の欠如が上手くいかなかったようだ。

そのため初期の鬼の種族は隔離された中で生活をし、様々な拷問によりほぼ全て戦闘要員として天使・悪魔に対抗すべく戦場へ駆り出されたのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おいおい、まさかああならないように拷問の訓練とか、幻惑魔術なんて使うわけないよな・・・」


永久顔色が悪くなる。さっきの話を聞いていた感じ永久も他の鬼の暴走を見たことがあるらしい。


「そんなことするわけなかろう。精神をコントロールする訓練だ。どちらかというと精神と言うよりは魔術コントロールに近いがな。よし!」


どことなくくらい雰囲気になっていた部屋を変えるべく手を叩いたエルダ。


「マリア・フルーレティ・シャルは身体強化魔術の取得。フルーレティに関してはもう少し高度なものを覚えてもらう。君は戦闘の軸になるだろうからな。」


「「はい!」」


「はい。」


元気な返答で気持ちを入れ替えるマリアとシャル。

フルーレティはいつものように冷静だ。


「ガルデとキメラは私の元で戦ってもらう。弱点を見つけ、改善。と言ったところか。」


「はい!」


「わかったヨ。」


気合いの入っているガルデと対照的にキメラは欠伸をしている。


「後、ガルデ。アイギスは時期に帰ってくるそうだ。」


「そうですか!よかった。」


安心したようなガルデ。


「アイギスって誰?」


「そうだな、永久達にはアイギスの事を紹介していなかったな。僕の1番の相棒だってのに・・・」


かなり親しい関係のようだ。


「アイギスは僕らシュッツァー家に代々仕えてくれている〘精霊〙だよ。僕はアイギスの力を借りて戦っているのさ。」


「どんな奴なんだ?」


「ははっ、それは帰ってきてからのお楽しみさ。」


ガルデはいつも以上の笑顔を皆に向けるのであった。






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