第3章 それは決意3
「あっ、ごめん・・・いや、あの・・・大丈夫?」
永久は気まずそうにマリアに話しかける。
「大丈夫だよ!ただ少し・・・ね!見て見て!!」
涙を袖で拭きながらも、笑顔を作るマリア。そして、永久に城の下を見るよう指を指す。
そこには暖かいオレンジの色の光、そして人々の笑い声が微かに聞こえる。
「これって・・・」
永久とマリアは、2人笑みを浮かべる。
そして、マリアは話始める。
「あのね・・・私、住んでた教会でお祈りしたり、親のいない子ども達に勉強を教えたり、歌を一緒に歌って・・・そうやってお世話なったシスターに恩返しをしながらずっと幸せに暮らせると思ってたの。」
マリアは不意に空を見上げる。永久もつられて空を見上げるとそこには大きな星の運河そして光り輝く三日月が2人を見つめていた。
「だけど、ぴーちゃんとエルダさん達が来てまさか私がこんな大切な旅の巫女になるなんてまだ信じられてないの。頑張らなきゃって分かってるんだけど。」
マリアは両手を握り、その手を見つめる。
「私に出来るのかな・・・そんなすごいこと・・・」
「あぁぁ!」
永久が叫ぶ。
「うぇっ!?」
永久が両手でマリアの顔を挟み永久の方へ向かせる。よく見るとマリアの目の周りはすこし赤くなっている。
「まだ、始まってもねぇんだからわからねぇだろ!それに!俺達がいる!!」
急なことにマリアは混乱しているようだ。
「わぁっ!ごめん!」
永久がとっさにしてしまったことに気づきすぐ手を離した。
「ううん、大丈夫。ありがとう!まだ・・・色々わかんないし、出来ないけど・・・元気でたよ!!わたしゅ、」
大事なとこでまた舌を噛むマリア。
ふぅ、と気を取り直してすこし恥ずかしそうに永久を見る。
「私・・・私!!絶対やり遂げるから!!」
そこにあったのは今日の夜空よりも綺麗な笑顔だった。
「ひゅーひゅー」
「ヒゅーひュー」
すぐ隣から聞いたことのある声が冷やかしている。
そこにはキメラとロキがいた。
「はぁ~まったく永久くんはいつもそんな事ばっかり・・・」
何故かロキは頭をかかえている。
「そんな事ってどんな事だよ!!」
永久はロキにストレートを繰り出すが、ひらりとかわされる。
「まったク、そんなヒとだっタとはネ・・・」
キメラは横でクスクス笑っていた。
「あははっ!」
ロキがお腹を抱えて笑っていると、後ろから永久の蹴りが頬にダイレクトヒット。
「うぁ!」
情けない声を出し、倒れるロキ。その上では殺意むき出しの永久が腕を鳴らしている。
「ごめん。ごめん。あはは・・・」
ロキは笑いながら、両手を顔近くで上げ降参のポーズ。
「もうやめてあげなよ・・・」
「ちっ!」
マリアになだめられ、ロキの上を離れる永久。
「そんナこトしにきタんじゃなイでショ?」
「いや、いや、そうなんだけどね・・・まいったなぁ~こんなに動きが鋭くなってるなんて。」
パンパンと服を叩きながら、まだにこにこしているロキ。
「なんダ、前かラ知り合イなのネ。」
「色々手ほどきをね・・・」
「変な言い方するな!!」
フゥー!フゥー!と威嚇している永久。
「大丈夫か!」
すると会場から、ガルデとシャルが心配をして来たようだ。
「大丈夫だよ。丁度いいしここでいいか♪」
ロキが話をし始める。
「明日から早いから今日はもうお開き!」
パン!と手を叩くロキ。
その後、永久にボコボコにされたのは言うまでもない・・・
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チュン チュン
小鳥さえずる気持ちのいい朝。
永久が気持ちよく眠っていると・・・
急に腹にかかとが降ってきた。
「おぐっ!」
ベッドから落ち転げ回る永久。
「何しているんだ!!もう起きる時間だろう!!」
腹を抱えながら上を見上げるとそこにはビシッと軍服をキメたエルダが立っていたのだ。




