第1章 変わらないはずのセカイ
いつもと変わらない眩しい太陽に目を細める少年。
「じーちゃん、今日長くね??」
何が長いかというと、
この少年は交易で栄える国〘アクリシオ〙から物資を運ぶために外へ出る商人達を護衛をして生計を立てているいわゆる用心棒や護衛人の様なものだ。
だが、今日はいつも違うことがあった。
それは護衛先が長いということ。
だだそれだけである。
「もんくたれてんじゃねーよ!!」
少年の頭を長方形の形をした包丁をそのまま大きくしたような大型の剣のようなものの峰でぶっ叩く長く白いヒゲを蓄えたオヤジは彼の祖父である。
「そんなバカでかいアホみたいな鉄の塊でたたくことねーだろ!クソジジィ!!!」
少年が頭を押さえ地面に転がりながら言う。
「てめぇがふざけたこと言ってるからだろうがァ!!」
「あぁん!?」
ふたりがこぜり合いをおこしていると、
「そこまでにしてくださいよ!ほんとに!!」
眼鏡をかけた女性が一喝する。
「!? あぁ、すまんなレイジーさん。」
孫をボコボコにしばき倒していた手が止まる。
「もう!せっかく、私、久々に調査にいけるんですよ!!」
レイジーと呼ばれた女性はアクリシオではかなり有名な薬学者である。が、薬学者と共に考古学者でもあり、忙しい中遺跡の研究をしている女性だ。
アクリシオの近くには巨大な古代都市がある。この世界で栄華の限りを尽くしていた旧人類の遺産。天使と悪魔がこの土地に降り立ち、この世界に手を出せぬ神と魔神の代わりにこの土地を求めて戦争を始めたのがきっかけとなり、旧人類は大半が絶滅。しかし、目まぐるしい発展を遂げ、世界の半分を死守した。その残骸。今やその錆びれた都市を扱える者はいない。
そう、ここは地球
この世界は〘ハーフガイア〙その昔、〘禊の巫女〙によって作られた結界に守られし人類〘ヒュニオ〙、そしてレイジーのような旧人類の発展とともに生まれた〘獣人族〙。
黒い髪に額の2つの角。
白髪の長髪に長く蓄えた白い髭。
少年とその祖父。
少年の名を〘鳴海 永久〙。(なるみ とわ)
祖父の名を〘鳴海 勝義〙。(なるみ かつよし)
正真正銘。旧人類に、生み出された東方の少数種族。
〘鬼〙である。