第1章 変わらないはずのセカイ 10
「・・・ということなんです。今、私はメモリー凍結によるバグ・製造者権限により、一部分の記憶が制限されてきます。」
「はぁ、」
永久はフルーレティから今まで置かれていた情報を伝えられていた。
フルーレティは
・支援型の妖精で冷気を操ること。
・製造者の研究により1度暴走、凍結されメモリーが一部損傷していること。この為にマスター設定が上手くいかず、永久がマスターになったこと。
・製造者により記憶に制限がかかり、覚えていることにところどころモヤがかかっていること。(これは全精霊にかかっている制限らしい。)
などだ。
「すごく綺麗な肌をしていますね(キラキラ)私、心核崩壊がメモリーの操作で解消できるなんて知りませんでした(キラキラ)もしかして発見なのではないでしょうか(わくわく)」
「あの・・・すみません。あまりそういうのは慣れていないので・・・」
レイジーがじりじりとフルーレティに迫り、フルーレティが困っている。
すると、永久がレイジーをフルーレティから引き離しながら
「心核崩壊って、あれだろ?精霊が森を燃やしたり、町ひとつ乗っ取ったりした暴走したヤツ。」
「そうだ。」
勝義が話し始める。
「心核崩壊つーのは、人間で言う鬱だったり・怒りみたいなもので〘精霊石〙が大気中のマナや生きている者のゴイを際限なく吸収しながらその場で放出させるたかが外れた状態だな。まぁ、ゴイを吸収できるようなのは精神系の精霊ぐらいだから数は少ないが、基本的にランクがその精霊の値よりも2つぐらい上昇した状態になる。」
「1回見たけど、あれは酷かったな。変な研究者が拷問してそのせいで町ひとつ焼けたんだから・・・」
永久は暗い顔をする。
「まぁ、今までは倒すか・拘束して凍結させるしかなかったがそうじゃない道が見つかっただけ今回は命かけたかいがあったんじゃないか?あいつらもワシらと一緒だからな。」
「?」
勝義がフルーレティの頭を撫でた。
「どうするフルーレティさん。あんたらはもう兵器でも道具でもない。自分で考えて行動して、発言して好きに生活をしていいんだ。」
「どういうことですか?」
「そこは私から!」
レイジーがフルーレティに話し始める。
「簡単に言ってしまえば精霊さん達も私たちと同じ人間だから、見つけたらその精霊さんがどこで何をしようとおっけーですよってことです。」
(いや、肝心なとこ説明雑じゃね?)
と永久・勝義は思うが大事なお話中なのでここはぐっと我慢。
「ですが、そんなことを言われましても・・・どうすればいいのか・・・」
「大丈夫です!まずはアクリシオで一時的に保護という名目で生活を体験していただきます!それからゆっくり考えればいいんですよ。私の家で(ニヤニヤ)」
「いや!まて!なんか怪しいぞ!フルーレティやめろ!」
永久がすかさずツッコむ。
「マスターがそうゆうのであれば。」
「ずるい!ずるいです!永久さん!本当は私がマスターになって色々しようとしていたのに!!」
「少しは本心隠して!」
などと言っていると。
「ふふっ」
「フルーレティさんが笑いましたよ!見ました!すごいです!」
「はいはい、」
「もーなんなんですか!」
レイジーがぷんぷんやっていると。
ドォン!
大きな
とても大きな
壁を破壊する音が聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!?
オレンジ色の小鳥が顔を上げる。
ぴゅ!
「・・・どうしました?ぴーちゃん?」
ぴーちゃんと呼ばれた小鳥は飼い主だよ思われる女性の膝から飛びたつ。
「・・・待ってください!ぴーちゃん!」
ぴゅゅん!
その小鳥は風に乗り少しずつだが着実に普通の人間では追いつけないスピードになってきている。
「全班!急いで準備しろ!!フェニクスのあの挙動は候補が危険な状態の時の飛び方だ!」
鎧を纏った大柄の男性が大きな声で指示をする。
「隊長どういたしますか?」
「ガルデを呼んで来い!お前もついてこいよ!!できるだけ軽装にして私についてこい!!今はスピードが命だ!私は先に行く!!」
「はっ!」
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大きな破壊音。
それは永久のいるプラントの強固な壁が破壊された音だった。
しかも、
人差し指で。
「あれぇ?ここまだアクリシオ来てないと思ってたんだけどぉ?そうでもなかったね〜」
「生命反応が4、精霊1・その他3だ、行くぞ。」
「はぁ、楽な仕事だと思ってたんになぁ〜勝手に目ぇ覚めたのかと思いきやかぁ〜軍の人達って〘巫女〙さんが見つかったからいないんじゃないの?まぁ、お国の人達は知らないんだろうけど。」
二人の人影。
1人は気だるそうにしている男性。
もう1人はとてもしっかりとしていそうな真面目な女性。
「ぐたぐた言うな。行くぞ。」
「へいへい。アァ、ちょっとは面白い人達だといいなァ。」
気だるそうにしていた男性の顔には歪んだ笑顔がうかんでいた。




