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プロローグ 〜未だ知らぬ世界〜
「君の瞳はいつ見てもキレイだね。」
水のせせらぐ音。
青白い薔薇と純白の百合の花が咲き誇るまるで、そこがとある場所の部屋ではないような空間。
その中心に飾るように置いてある青白く光る棺桶の隣り、
1人の男がたたずんでいた。
その棺桶に入っていたのは1人の髪の長い黒髪の美しい女性。
その瞳には満開の花火が映っていた。
「またこんなところにいたんですね!」
「またこんなところにいたんですね・・・」
ふたつのそれでいてひとつのような声が重なりながら聞こえる。
「またこの時期になりましたよ」
「またこの時期になりましたよ」
その声は悲しいようなしかし妙にそういう風には聞こえないよう
な声で棺桶の横にたたずんでいた男に話を続けた。
「もうそんな時期になるのか・・・」
男は棺桶の中の女性を見ながら返答した。
「それじゃ準備をしよう。」
男は立ち上がり部屋を後にした。
その部屋にある青白く光る棺桶はけしてひとつでは無かった。