魔法について 小ネタ
内容が他の話と被りすぎたり、話が膨らまないなどの理由で、とてもではないけど2000文字も書けないものをまとめて書いていきます。
--魔法という言葉について--
よく、魔法、魔術、魔道、魔導などの言葉を使い分けている小説を目にします。
それなりの設定があって、そういう結果になっているのでしょう。
一方でこういった考察もので定義しようとするのは、無意味であるといえます。
魔法という概念自体が輸入されたものである以上、対訳語として生み出された歴史があるのです。確かに法、術、道、導という漢字の意味合いは違うわけで、そこから定義しようと思えば可能でしょう。
しかしどうあがいたところで、設定によって左右されるし、そもそも語呂も大事です。例えば魔法の力を利用して砲弾を発射する大砲があったとすれば、それを魔法砲とでも名づけるべきなのでしょうか。魔導砲の方が語呂が良いし、そこにさらに設定を追加すべきかどうかは、書き手によって判断されることでしょう。
--降臨魔法について--
ファンタジー世界では、異なる次元に存在する物を現世に顕現させる、という技術がよく存在します。
なろうでも人気である異世界から召喚するのもそうですし、精霊や幻獣などを召喚するのもあてはまります。時には神を降臨させる、もしくは降臨することもあり、モンスターの話でも書きましたが、思想や支配体制に大きく影響しそうです。
なぜなら宗教団体は神についての専門家であり、その証明ができるならば絶大な力を手に入れることができるからです。
勇者を王様が召喚することもありますが、これも同等です。軍事力を独占的に手に入れることができる技術は、随分とその地位を確かにすることでしょう。
神がいて、精霊もいて、高度な思考能力が人間の特徴とは言えなくなった時、近代思想がどのように変化していくのか、ということは想像ができません。
思想史的には停滞期にあたる中世ですが、いくつかの思想はうまれています。それはやはりキリスト教に準じたものであるので、それをますます発展させたものが主流になるのかもしれません。
--精神魔法--
精神に影響を与える魔法は様々に存在しますが、それらは社会でどのような扱いを受けるのでしょうか。
幻覚を見せたり、眠らせたり、という効果を専門的に受け持つのは、現実世界では医療(薬学)の分野です。
医療薬品には痛覚をやわらげたり、睡眠をサポートするものがあります。逆に錯乱状態に陥らせたり、幻覚を見せるなどという薬物は、法律で禁止されています。
以前も書きましたが、精神に影響を与える魔法は、国家できちんと管理されることとなるでしょう。
アヘン戦争のように、敵国に精神魔法を蔓延させる、もしくはそれと戦う主人公一派というストーリーも説得力を十分に持っています。
集中力や士気の上下、という効果をもつ魔法が存在するとするならば、大規模な会戦や攻城戦の際には、この魔法の攻防から戦いは始まることでしょう。
また、似た魔法で、毒や麻痺などのいわゆる状態異常系の魔法がありますが、これも環境によっては猛威を振るうでしょう。
魔法による毒とはなにか、というのはよくわからないので、一つの案として、生物学的な毒状態と分けておくことが考えられます。
当然、解毒魔法と解毒薬の二つが共存できるわけで、それぞれ対応策を練ることが可能になります。魔法学的毒状態という状況を考えると、それはむしろ呪いだろうという気もします。
解呪や解毒といった効果に加え、催眠や鎮痛といった事を魔法ができるとするのなら、魔法は医療に大きく貢献することでしょう。宗教的な問題を無視すれば、外科手術も進歩しそうです。
--杖について--
魔法使いが杖や指輪、魔術書をもっている姿は、とてもポピュラーです。
しかし、魔法という技術が国家の命運を左右するほどである場合、杖を作る技術団体やその材料を算出できる領地が力を持つ可能性も考えなければなりません。
これはさほど難しい話ではなく、マスケット銃や大砲の制作技術や関係資源を持っている団体がどれほど有利であったか、という例を見れば済む話です。
また、これらの道具は所有するためには、相応の資格が必要となるでしょう。国家試験という意味ではなく、例えば衛兵は武器を持っていても咎められないだろうし、肉屋が大きな包丁を持っていても恐れられることはありません。
社会的な立ち位置と、それに準じた道徳観念を魔法使いに対して教育する必要がある、という話です。
--封印や結界について--
城壁や火の魔法のところで書いたように、脅威となる魔法が存在していた時に、それに対して全く策を練らない社会というのはどう考えても不自然です。
法の実効力をあげる封印や、建造物や国境の存在意義を高める結界は、攻撃魔法が研究されるのと同等以上の進歩スピードを持っていなければなりません。そうでなければ、支配者は国や自分の身を守ることができないからです。
--魔法が登場して発展する変化について--
今までも魔法が存在することで様々な学問が変化すると書いてきましたが、考えられる範囲で簡単にまとめてみます。考えられる範囲、と付け足したのはつまり、魔法が持つ振れ幅に影響されるという意味です。
まず、先述のとおり、哲学、医療、法律が変化すると考えれます。
建築や工学などといった面でも、魔法技術の恩恵を受けたり、魔法技術を取り入れることで違った学問になっていくでしょう。たとえば動く階段などは比較的目にすることがあるものですが、エレベーターの登場も相当早いのではないかと考えられます。
魔法の使用方法の頁で書きましたが、文字に関する研究、紙に関係する研究が進むことでしょう。緻密な計算式も必要になってくるかもしれません。
魔法薬をつくるのであれば、錬金術で発達した分野が同様に軒並み発達することも考えれます。
そう考えていくと、現実世界での生活形態の変化の過程は、ファンタジー世界でも採用できそうです。
ただ、鉄鋼技術に関しては未知数です。
ファンタジー世界の住人が金属や石炭にどれだけの価値を見出すことができるのか、という話です。石炭を魔石に置き換えることも考えれますが、ダンジョンに生息する生物から魔石を得ることも多いわけです。燃料の確保としての側面が失われれば、採掘活動は落ち込むことでしょう。よって、ミスリルやオリハルコンなどの魔法金属がどれほど用いられているのか、もしくはその生産技術にどれほど鉱山開発技術が必要なのか、という点にかかってきます。
銀を水に入れて月の光にさらす、などという生産方法を取るのであれば、鉄鋼技術はあまり変化しないかもしれません。炉の温度ではなく特殊な種火がオリハルコンを溶かすのであれば、炉の建設技術は停滞すると考えれます。
このように考えると、陶器やガラス関連にも影響が出てきそうです。顔料の開発にも影響が出そうだし、金属フレームが用いられたピアノは登場しなくなります。文化に大きく影響が出ることでしょう。話が大きくなりすぎるので、この話はここまでにしておきます。
--おふだについて--
おふだや呪符、カードなど言われる、紙に呪術的紋様を書いたものは現実世界でも存在します。
これらが登場するファンタジー世界は決して少なくないでしょう。
使用方法は魔力を込めるだけで、書いてある効果が発動するというものです。これは非常に先進的な考え方でしょう。要するに、電気の供給さえあれば、ボタンやつまみによって様々な効果を発揮する電化製品と同じというわけです。
誰でも簡単に魔法を扱えるのです。民間の為の簡易医療品としてもいいし、マッチやライターのような器具も作れます。
また、使い手に影響されないということは戦争でも重要です。銃の代わりに呪符の束を持ち歩くことになるかもしれません。もしくは電子戦のような戦術が台頭するかもしれません。精神魔法を書きこんだ大量の呪符を敵陣にばらまけば、足並みは簡単に崩れることでしょう。
--魔法の国、機械の国--
国家の特色を出すために、魔法大国と機械大国を出現させることがあります。二つの国は隣り合っている場合も多く、意見の相違からよく争っています。
しかし、技術は他国との交流によって進歩するという特性があるため、このような国が出来上がる可能性は非常に低いと思われます。
一つの物事(技術や資源)に対して、一つの国の中では考え方や事情が限られてくるため、発達や需要が生まれにくいと考えられます。他の地域に流れることで、多様な考察、需要を生み、それが次の段階に進化するのです。
また、強力な技術を目にしたとき、隣国はその背中を追いかけようとします。多くの技術は存在していない段階では可能かどうかわかりません。存在するかもどうか分からないものに時間とお金をかけるわけにはいきません。
もし隣国で実現したのならば、それは実現可能な技術であり、お金と時間をかければその技術を取得できるという事になります。そうなった以上、取得しないわけにはいきません。何としてでも実現しなければ、その敵国が持つ技術によって、対応する分野で被害を受けるからです。
そういうわけで近い位置にある国家が、まったく毛色のちがう技術や文化を持っているということはないわけです。
そのような状態にある国家は、もしかしたら次元の狭間に国ごと飲み込まれ、異世界転移してきたという歴史を持つのかもしれません。
これにて完結です。少し終盤早足になってしまってすみません。まとめを書こうかとも思ったのですが、なんだかしつこくなりそうなのでやめました。
今後も加筆修正や、万が一追加でなにか思いついたら書くかもしれないので、たまに覗いてみてください。