風の魔法について 属性の話
風の魔法の代表と言ったら、竜巻をおこすことと、真空の刃を飛ばすことでしょうか。他にも圧縮した空気で高速移動したり、雷属性という派生も持っています。素早いというイメージからか、描写的にはいろいろと優遇されているような気がします。
本来、属性的には大気や空に分類されるようですが、あまりに漠然としているので、風という方がしっくりくるでしょう。
魔法の設定を考察するにあたって、重要かもしれないことが一つあります。それは属性間の相性です。
風という属性の立ち位置はどこなのでしょうか。
様々な冒険小説やバトル小説で魔法が出てくる場合、必ず相克の関係が出てきます。
三すくみなら単純でわかりやすいのですが、四大属性の相性関係は小説によって違ってきています。
火の弱点は分かりやすく水です。では水の弱点はなにか、というのが問題です。
風か土だという説と、いや反対属性だからやっぱり火だ、という説があります。
エンペドクレスの哲学に発祥を持つ四元素という考え方ですが、錬金術や西洋医学はここから芽をだしているようです。
西洋人は反対属性という考え方をしたいようで、相反するものは対角線上に置かれるようです。結果、火と水の間には土と風が入るのです。
東洋的な思考では五行のようにぐるぐると回っていたいという思想があるのか、尻尾を噛みあうように配置されています。
我々の身近にあるゲームやファンタジー小説はやはり東洋的な思想に基づいているわけで、やはり渦のような図を多く見ることができます。「四大属性、相性」と検索をかけてみると、そのようなイラストが沢山出てきました。
忠実に火と水を対極に置くという小説は少数派であり、確かに描写をしていく中でも弱点属性と耐性属性は別である方がやりやすいのでしょう。
こうして火←水という順番は決まるわけですが、では次に来るのは風なのか土なのか、という点でもばらつきます。
水が風と土どちらに弱いのか、という話はあまり見ることができません。
火が水に消される、という例に習えれば良かったのですが、例えば土は水をどんどん吸収してしまいますが、川は土を削っていきます。
逆に、火が土と風どちらに強いかという事を考えても、同じように答えは出ません。
風と土が戦ったらどちらが勝つかという話は、風食という例があるので順番がでます。
こうして考えていけば四大元素の東洋的相性はでるのですが、このように弱点属性はばらつきが出る要素の一つです。
細かい問題に見えるかもしれませんが、この属性間の相性をどうとらえるのかというのは、案外設定のいろいろなところに関わってくるようにも思えます。
例えば、鍛冶屋の炉に風の魔法を送り込むとどうなるか、という事です。ふいごやたたらなどの道具があるのだから、ますます火の勢いを強めるのではないか、とイメージすることができます。
しかし本当にそうでしょうか。水に火の魔法を打ち込んでもどうしようもないのだから、火に風の魔法を送り込んでもどうにもならないだろう、と考える方が論理的には正しいでしょう。
おそらく火←水←土←風←火、というのはゲーム的な設定です。敵モンスターに魔法を打ち込む際には、これくらいわかりやすい方がいいでしょう。
一方で小説の中で技術発展を考える際には、このような属性関係が邪魔になってしまうかもしれません。
真空や高圧という概念にファンタジー世界の人間が気が付くまでには時間がかかりそうです。風は直接的には技術発展に貢献することがあまりなさそうであり、他の属性と絡めた技術になるのではないでしょうか。
そうした時に、こういった属性相性を定めていると、もしかしたら気が付かないうちに矛盾を生み出してしまうかもしれません。
諸説あります、ということでひとつ。