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幻想歴史読本 ~ファンタジーを考える~  作者: 走るツクネ
モンスターにまつわる話
41/84

モンスターについて

 新章を始めます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は前書きや概論に当たるものです。


モンスターについて

 ファンタジーには多くのモンスターが登場します。

 多くの小説で広く認識された姿をしたものや、様々な要素を付け加えたりした独創的なものまで、多様な姿を見せています。近頃では身近にあるすべてのものが魔物となっているような気がします。

 どの神話、伝説、伝承でも、やはり身近にある物品や物質、領域は題材になるようです。それは時代地域関係なく行われているものです。人々は日常の中に不思議を求め、娯楽としてきたようです。人間の自然な営みと言ってよいでしょう。

 


 本小説でも人類の発展に重要な影響を与えるものとして、モンスターという要素を登場させています。

 しかし、オリジナル要素が強いものという認識があったので、詳しく語ることは避けてきました。世界毎にどのようなモンスターがいるかは差があるので触れてこなかったのです。

 せいぜいが社会発展の原因となったモンスターを考えた程度でした。


 とはいえ、多岐にわたるモンスターは考察の題材としてはとても魅力的に思えます。

 バリエーション豊かなモンスターはそれぞれが独特な成り立ちを持っているようにも考えられ、人間社会に刺激を与える可能性を持っているように思えます。


 何しろそこそこ文明が拓けてきているファンタジー世界の中世においても、一大要素として人間社会を脅かしているのです。

 彼等には彼等の歴史や社会があるのだろうということが期待できます。


 この章ではモンスター達と人間社会のかかわりを、モンスターを基準にして考えていきたいと思います。



【モンスターの姿】


 こうした考察の際に、本小説では壁になることが一つあります。

 考察の対象となるモンスターがどのような存在か、ということを決めなければならないということです。


 多くのモンスター達は、何かしらの伝承をもとにしています。

 その伝承を参考にするというのも手なのですが、ファンタジー小説のモンスターと伝承の中の怪物は違う見方をしていることが非常に多いように思えます。


 これは当たり前のことで、伝承は実際に存在してなくてもいいので詳しいことは語られませんし、その怪物がどういう思考をするのか、などということも多くの場合は無視されます。

 しかし、ファンタジー小説は隣で我々の分身となる主人公や、それに準ずる登場人物が活動しなければなりません。時間の流れはモンスター主体で書かれるのではなく、人間主体で流れています。そうすると伝承では描写がされていない部分が大量に出てくるのです。


 例えばオーソドックスなモンスターであるドラゴン(恐竜に翼をはやして真っ赤な鱗で全身を覆ったようなモンスター)は、詳しく考えたら飛べないし、歩けないし、火を噴けないでしょう。

 伝承の中ではそれでも別に良かったのですが、やたら理論を展開しなければならなくなった昨今のファンタジー小説では、辻褄を合わせるために何かしらの魔法を纏わなければならなくなりました。飛行補助魔法や反重力魔法を半自動的に操っていたり、その世界の物理法則などの概念と切り離された存在だったりします。


 このようにゲーム的設定と同じようにたくさん空いている隙間を、書き手がどうにか(物語の進行を邪魔しないように)埋めなければならないのです。

 それこそがその世界の独創性が試される時でもある、という見方がされている部分も確かにあるようで、様々なパターンがあります。


 よって伝承ばかりに頼るわけにはいかないのです。

 さらに伝承などからモンスターの生態を探る、という試みは人文や民俗などといった性質を持っており、本小説の性質とはどうも合わなさそうです。


 伝承を主軸に置かないとなると、農業や社会体制等と違って、モンスターには確かな歴史やモデルというものがありません。

 考察の際にはある程度曖昧に、幅を持たせて考えていく必要があると思います。



【出自と社会性】


 モンスターを考えるうえで重要なことがいくつかあります。


 まずは出自です。

 ここでいう出自はどこの神話、伝承出典か、ということではありません。

 進化の過程や行動範囲の拡大などといった、どういう経緯でそのように存在しているのかということです。ファンタジー世界では神や魔王が生物を送り込むこともあるので、どのようにしてその世界に身を置くことになったのか、ということは一つの大きな要素かもしれません。

 これについてはモンスター単体で見ても世界によって差がありますが、大きく分けて4つあると思います。ここではひとまず置いておいて、本頁の最後に載せておきます。


 もう一つは意思の有無です。言い換えるなら、目の前に起こっている現象をどれだけの精度で把握できるか、ということです。社会性ともいえるかもしれません。

 この先の見通しをそのモンスターの群れがどの程度持っているかということは、隣人、つまり人間社会にとって大事なことです。


 攻撃の意思を示せば人間に駆逐される運命をたどるでしょうが、一方で人間が勢力圏を広げるうえでかちあうことも考えられます。

 植物系モンスターは人間が森を切り開いていく時、存亡をかけた戦いが始まるでしょう。逆に亡霊や精霊といったモンスターであれば、むしろ人間の勢力圏に乗じて勢力を伸ばすでしょうし、悪魔系のモンスターであれば明確な侵略の意思を持って人間社会を削りにかかります。

 人間社会とどのようなかかわりを持っているのか、ということは一つのポイントです。これも、最後に載せておきます。


 またこれに強く関連するのですが、縄張りについてどの程度意識が向いているのか、ということを探ることも群れを考える上では重要だと思います。

 これは生物社会学の範囲に入ってしまう(もしかしたら本章ではこの要素が一番強くなるかもしれません)のですが、縄張りをどれだけ守ろうとするのか、という項目は役に立つと思われます。


 縄張りは、その集団にとって価値がある資源、例えば餌や繁殖するのに都合のよい地形などを独占し防衛しようとすることによって生まれます。人間であれば農地や温暖な土地、塩や鉱物などが挙げられるでしょう。

 生物はなにかを消費することで生存することができます。そして世の中の全てものが有限である以上、無限に増えていく生命体の全てが資源を消費し、数を一定のペースで増やしていくことはできないでしょう。そこで争いが起きるのです。

 ファンタジー世界は大半が戦いの物語であり、こういった角度から見ているのも面白いだろうと思います。



【最後に】


 本章で何を重要視して考察を進めていくかということは、今の段階ではまだわかりませんが、おそらく出自と社会性の2つを考える事は考察の大きな助けになるでしょう。

 こうしていろいろと考えていくことができれば、モンスタ―の特性や人間社会への影響がある程度わかるかもしれません。ひいては、現実世界で存在する動物、例えば馬や犬などが存在しうるのかどうか、結果的に、はっきりとするのではないかと期待しています(まだ書き始めなのでわかりません。はっきりとしないかもしれません)。


 追記:小説によってモンスターの設定は様々です。この章のすべての話題がそうなのですが、"もしその小説のモンスターがこのような形態をとるならば"という条件のもとに"こうかもしれない"という話を進めています。

 このモンスターは"こうでなければならない"という考えは少しも持っていませんので、もしそういうニュアンスの文が出てきたらご注意ください。


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発生形態

1、その世界に適合しようと進化していってその姿になる(進化)

 進化型:魔力等の影響を受けて現実と違う進化をたどった生物


2、悪魔や神々などの何かしらの勢力によって生み出される(異物)

 召喚型:上位種的な存在が、その世界に影響を与えようとして送り込んだ生物

 勢力型:勢力としてその世界に侵攻し、生息範囲を確立している生物


3、その世界の物理法則によってもとあるものから変質する(自然)

 変異型:稀に強力な個体が生まれるなど、一般的ではないが先天的に力を得た生物

 変質型:強力なモンスターの死体を食べたり長生ちょうせいなど、何かしらの要因によって変質した生物

 発生型:瘴気や濃い魔力が集まる場所に発生する、意思を持った無生物

 交配型:もとは違う種族だったが、なんらかの原因で交配した結果生まれた生物 


4、人間の手によって作り出された(人工)

 人工型:なんらかの目的のために人の手によって作り出された生物



 人間社会との関わり

1、敵対している

2、共存している

3、寄生している

4、無関係な立ち位置にいる

5、資源として利用されている


 

 長い間更新停止していて申し訳ありませんでした。どれほど書けるかわかりませんが、モンスターについて書き始めようと思います。今のところ6話程を予定しております。今までよりは1話辺りの文字数を少なくできそうです。

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