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幻想歴史読本 ~ファンタジーを考える~  作者: 走るツクネ
おまけ 主にファンタジーに関わる話
37/84

宗教について 亜人弾圧について

 なんだか色々情報を書くばかりで、投げっぱなしジャーマンな感じだと思ったので、実際に取り込むなら、という案も出してみようと思います。


 キーワード:平時の弾圧と戦時の弾圧、民族の栄光

--弾圧のメリットとデメリット--

 

 獣人やエルフなどの亜人を弾圧するような宗教をよく見ますが、これはキリスト教の影響でしょうか。人権を認めず対立を煽るような教義も多くあります。

 我々の持つ宗教のイメージなのか、封建制や民族主義の価値観に起因しているのかよくわかりませんが、こういった世界は珍しくありません。


 ファンタジー世界の宗教が亜人を弾圧する意図はどこにあるのでしょうか。


 以前も書きましたが、宗教とは統治するためのツールの一つなのです。よって宗教で無意味に弾圧したり、抑圧したりすることはありません。


 戦争中に異教徒を弾圧するのは、兵士の罪悪感や恐怖感を拭って軍隊の攻撃力を上げる、という目的があります。他にも感情に訴えて兵数を上げる事も出来るでしょう。

 また一神教だと、当然他の神の存在を認めるわけにはいきませんので攻撃対象になります。

 民族主義は国民をまとめ上げ、戦争の大義を手に入れるために使用されます。


 逆にいくつかの民族を社会に内包している場合、特に帝国などはそれが条件ですが、ある程度の信仰の自由を許可した方が統治しやすいし、そうでないなら社会から締め出した方がいいのです。人種的な問題であれば、改宗させれば問題ありません。

 長い間抑圧して搾取する関係のまま放っておくと不満がたまり、反乱を引き起こし崩壊を招きます。


 弾圧は統治者にとってメリットがあるために行っているに過ぎません。

 とはいえ、すべての指導者が最善の方法で統治を行うわけではないので、物語に置いては様々な例があることでしょう。

 しかしそれが人々に及ぼす影響、という面については感情的なところからも深く考えなければなりません。



--戦時の弾圧と民族の栄光--


 魔族やモンスターと戦っている場合も不自然であります。実際に人間社会という"種"の外敵として異教徒である魔族がいるのですから、宗教の在り方は実際とは大きく変わるでしょう。


 例えば魔王信仰を持つ住人が国内にいたとしたら、それは弾圧がどうのとかいう話ではありません。即刻退治しなければ、魔族侵攻の手引きをするかもしれません。


 戦時にあっては敵か味方か、という事こそが重要視されると考えることは不自然なことでしょうか。


 エルフや獣人が異教徒、つまり魔王信仰を持つ者たちであるならば、モンスターのようにとっとと滅ぼさなければならないのです。そうではなくある程度人格を認めつつも、それを否定するという妙な構図になっています。


 仮に自分たちより下の階級を作って不満を発散させるという場合でも、旗頭や文化などの自己証明を強く持つ"種族丸ごと"を対象にするというのは、デメリットが大きい政策だといわざるを得ません。

 封建制でみられる、"ある職種に従事する人々"程度の規模を対象にするのが得策でしょう。



 戦争で敗北した種族を奴隷として扱う場合はその限りではありません。

 しかし注意しなければならないのは、奴隷を純粋な労働力(荷運びや農業)としてみるというのは、中世の価値観というより、古代ギリシアなどに当てはまります(奴隷が家庭教師を務める場合もあったので、例外はいろいろあるでしょう)。

 マルクスによれば、奴隷制は原始的な社会(原始共産制)から封建制への過渡期にあるとされるのです。


 もしくは農村社会が築かれている中、民衆のぼんやりとした総意で異種族の居場所がなかった、とも考えられます。

 その場合であるならば人間社会にはしばらく異種族が組み込まれることはないでしょう。



--弾圧の行方--


 宗教の持つ力は価値序列や意思決定に重大な影響を及ぼします。人種差別では済まないレベルまで、感情が強く動くことになるのです。


 そして戦争は、弱い立場にある人間が強い立場になりあがる起死回生、一発逆転の可能性も秘めています。アメリカや中東では度々そのようなことが起こっています。

 爪はじきにされている亜人も戦争で活躍したり、反乱を起こすことによって、地位を手に入れるかもしれません。

 また弾圧されている民族は別の民族を弾圧し始めます。これは史実でよく見られる現象であり、集団が持つ特性なのでしょう。ユダヤ人とて他地域に流れて他の民族を弾圧しているのです。

 とある学者が弾圧されたのにしなかったアイヌ民族は稀な例ではないか、という事を話していたのを講義の中で聞いたことがあります。



 現代日本に生きる我々にとって、民族的な意味で弾圧されている者の心情は理解しがたいものがあります。しかし史実での現象をみると、彼らがどういう考えや感情を持ち行動を起こすのか、わかるかもしれません。


 亜人達が理由もなく弾圧を受けている場合、その社会はまもなくなんらかの争いが起こることになるでしょう。

 弾圧の行方は大抵決まっています。

 これを利用して物語の一つの要素とすれば、イベントの布石として容易に利用できることでしょう。また民族のアイデンティティ、ナショナリズムというところまで設定できれば、多くの人物の内面や国家の情勢を描くことができるかもしれません。


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