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幻想歴史読本 ~ファンタジーを考える~  作者: 走るツクネ
おまけ 主にファンタジーに関わる話
36/84

宗教について 対抗手段としての宗教

--武器としての宗教--


 近接武器についての頁で、どうやら主な敵対モンスターは不死系のモンスターだったのだろうと書きました。


 土葬という文化が一般的ですし、ゴーレムという自律人形があるので、死体に何らかの魔法的な力が流入すれば、モンスターとなってもおかしくはありません。


 そういった敵に対して宗教的な攻撃方法をとる描写をよく見かけます。


 光の槍みたいなもので貫いたり、聖水をばしゃばしゃかけたり、お札を投げつけたりと手段は様々ですが、どれも劇的な効果を発揮しています。


 これはどういうことでしょうか。

 なにに対して効力を発揮しているのでしょうか。


 今では少なくなりましたがテレビ番組で夏の心霊特集は一時期大流行していました。それをみて育った筆者はなんとなく幽霊を信じているたちなので、ありがたいお経や真言によってお化けや幽霊が退散する、というのがイメージにあります。


 幽霊に対して宗教的なものが効果を発揮するには、同じ土俵に立っている必要があります。

 成仏できない幽霊に成仏してもらうように言葉を投げかける、というプロセスのはずです。双方、成仏、という概念がある世界で形成されたものであるために、正しく効果が発揮されるのです。


 悪魔に対してキリスト教徒が神の威光を示し追い払う、というのがありますが、それもキリスト教という土俵に立っているから可能な事です。悪魔が神を恐れるから効果があるのです。

 闇の勢力に対して宗教が力を発揮する、というのはここからきていると思われます。



 しかし、ファンタジー世界における不死系モンスターは概念ではなく、現象として存在しています。

 現実世界にて死体や悪魔が直接暴力をふるって害をなす、そして、それに対して宗教的な攻撃が有効、という話は聞いたことがありません。


 でもファンタジーでは実際に襲ってきます。


 文明黎明期に置いて、人々は襲い掛かってくる不死系モンスターに対しての対抗武器を早々に手に入れる必要があったことでしょう。土葬が一般的で、数は多く、よって剣が開発されたのではないか、と以前考えました。


 しかし不死系モンスターは殴っても死なない場合も多いのです。


 その手段として開発されたのが、いわゆる光属性、聖属性の攻撃なのかもしれません。


 つまり、ここに起源がある宗教は現実世界より実践的なもの、現実的なものであるということになります。


 本当にその世界に神と悪魔がいて、宗教的行動が神の力を具現化し敵対勢力である悪魔に対してダメージを負わせるのかもしれません。

 もしくは、闇の魔力が肉体に集積した結果モンスター化するので、光の魔力で追い払おう、という(その世界での)科学的根拠に基づいた行動かも知れません。


 どちらにせよ、その事実は強く宗教と結び付けられることになります。死後や暗闇と宗教を結びつけるのは、自然な流れです。


 神の威光、というものをこんなに身近に感じることはないでしょう。

 死んだら不死系モンスターに身を落とすかもしれないという危機感、闇の軍勢に襲われるという危機感は、どの時代、どの地域、どの文明でも宗教的行事を促進させることになります。


 史実では、死後の世界への恐怖、暗闇に対しての対抗策として、宗教という概念が生み出されていきました。他にも、人の悪行を防止させるために善なる心を育てよう、という効果も狙っている面があります。


 死んだらモンスターになるかもしれない、人同士で争っている場合ではない、というファンタジー世界では、より強く宗教の研究や教育が進められるかもしれません。


 ファンタジーの宗教については、もう一話投稿したいと思います。

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