散逸構造の理論 主人公とは味噌汁のようなもの
今回から、本編で書くつもりだったのに、いつの間にか弾かれていたネタを書いていきたいと思います。前後のつながりは、今まで以上に薄いものになりそうです。
話の要素によって3つの章に分けようと思います。この章では全体に関わることを書いていきます。
なんの役に立つかはわかりませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
散逸構造という理論がノーベル賞を受賞し、近年、各分野においてもその考え方が用いられるようになったようです。
熱力学の用語らしいですが、様々な事柄を説明することができるようで、意外なところでその文字を見かけることがあります。
難しいことは全く分かりませんが、身近な例だと味噌汁が冷えていく時に味噌がくるくると渦巻く、ああいったパターンを指すようです。
がっちりと固まってないで、外からの刺激やエネルギーのやり取りがあるときにだけ見せる、一定の構造、ということでしょうか。
本編にて、外敵がいた方が発達するだとか、モンスターがいるために史実より早いタイミングで変化が起こる、などと書いてきましたが、これも散逸構造の理論といえるでしょう。
この理論に則れば、ギリシャで哲学が発達した理由や、近世ヨーロッパが爆発的な成長を遂げたのには、安定した状態でありながらも不安定な要素がある社会だったから、という理由づけができるようです。敵対勢力がいたり国民感情が不安になりながらも生産能力や基盤が十分だった、ということでしょう。
逆に、鎖国をしながら安定した世の中を作り上げた江戸時代は、文化や学問こそ発展しましたが、国の勢力としての発達は緩やかだったといえます。
ぎりぎり負ける敵に対して、集団がなんらかの努力をして勝利する力を得る、という状態が短い期間で繰り返し行われると、その地域は大きく発展するようです。
これはだんだんと強い敵と戦う、ゲームの主人公のようなものです。
いきなりラスボスや中ボスと戦わされるような状況にはならず、絶えず少し上の敵と戦うという環境に身を置くことで、主人公はその世界ではありえない強さを手に入れることができるのです。
いきなり強敵と戦わざるを得ない状況になってしまった不運な国家はすぐ滅ぼされてしまいます。
自国の数倍の勢力を持った敵国、という描写が良く見られますが、軍事的に解決することは不可能でしょう。味噌汁を冷凍庫に放り込むようなものです。数倍の勢力を持った敵国がいるなら、素直に恭順するか、敵国の敵国と同盟を結ぶなどといった、外交的勝利を目指すほかありません。
現代はあらゆる面でのグローバル化によって、一応の平和は保たれていますが、エントロピー増大の法則、というものもあります。味噌汁の器が世界規模になったことにより、容易に崩壊することはありませんが、永遠ではないでしょう。
散逸構造の理論、という話は未来を予期させる話でもあるのです。
つまり、なんでもいいから人と交流しなさい、という話。うるせー。