表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/401

裏切り者の願い

「アビスが作り上げた装備はアリアのには性能面では劣るけど対人戦や癖さえ掴めばアリアのを越えるわね」

「はい。あいつの創る物は全てそんな感じです」


腰の《霧雨》を鞘ごと外し、カウンターに乗せる。そのまま鞘から引き抜き、刀身を見せる。


「何これ……ギザギザ?」

「斬ったらダメージ多そうだね」

「はい。切る系の装備にはほとんどこうなっていると思ってください」

「はぁ……ったく、殺し合いになるわね」


レヴィの言葉に俯く。弟がごめんなさい、と言いたい。だけど言えない。きっと軽蔑されたくないんだろう。なんて弱々しい心なんだ。


「傘下の全員にメッセ送っとくね。レヴィも一括だから送るよ」

「はいはい」

「アビスの装備は大槌。これは2人はよく知っていると思います」

「そうね。特殊効果は?」

「キルする度に威力上昇です。連続して五分以内に殺さないと」


私の言葉に2人は呆れたような笑みを浮かべている。諦めたの?


「シンは?」

「え、あ、シンの剣《黄昏と夜明けの剣》は《剣舞師ブレイドダンサー》と似ていて連続で攻撃する度にダメージ増加です」

「また?」

「あいつも飽きないわね」


2人はどこかでもシンと戦ったのだろう。だからこそ


「シンの対処法を教えてください」

「「うーん」」

「え⁉︎」


まさか悩まれるとは思わなかった。すると


「近接が遠距離にそれを聞いても何にもならなくない?」

「そうね。下手に知識を増やして失敗されると目も当てられないもの」

「双剣師が刀と併用しているのもおかしいんだけどね」

「リーチが狂うものね」


確かにそれもそうだ。


「マリアとアジアンは何もしない事、良いね?」

「どうしてですか?」

「危険だからよ」

「……でもゲームでしょ?」

「そうね、ゲームよ。だからって危険が無いわけじゃないわ」


マリアのお気楽な言葉にレヴィがメニューを操作しながら言う。そして


「さっきのってどの辺りだっけ?」

「二周下辺りの森を抜けた先の端っこの洞窟よ」

「そうですね」


《始まりの街》があるフィールドは真っ平らで、丸い円盤のようだ。そしてその端から上に続く道と下に続く道がある。今は上下共に三周までフィールドがある。《始まりの街》があるフィールドを0階と呼ぶ。一周が1階とカウントされる。

このお店があるのは3階。シンたちのギルドホームがあったのは1階だ。


「それじゃこれから傘下のメンバーで話し合いがあるから行ってくるわね」

「ホームだっけ?」

「そうよ」


レヴィが立ち上がり、カーマインブラックスミスから出て行こうとする。その背中に駆け寄り


「私も行く」

「……何よ、実は良いキャラだったとかそんな感じなの?」

「……そのつもり」

「……ふ、裏切ったら怒るわよ?」


その程度で済ませてくれるなんて優しい、そう思ったら


「レヴィは優しいからそんなことできないでしょ?」

「脅しの意味が無くなったじゃない!」


頬っぺたをむぃーっと引っ張られるマモン。いつも通りのようだ。


*****


「エミリアは《認識妨害》スキル持ちの装備ある?」

「このフードを被れば」


顔を隠すついでに《感知》《探知》を失敗させる装備だ。すると


「出ておいで、カゲオ」


地面から生えるようにしてマモンの影から真っ黒なドラゴンが現れた。しかしのっぺりとして影のようだ。


「ギルドホームに、お願い」

『……』

「レヴィ、エミリア。乗って」


言われたとおりに乗るとゆっくりと地面から浮かび上がった。これがマモンのテイムモンスター……私も何かテイムしたいな。


「レヴィは警戒しててね」

「私が?」

「私は前しか見れないしー」


マモンの言葉に一応私も警戒する。もっとも双剣と刀で何が出来るか分からないけど。

そもそも私は《魔王の傘下》のギルドホームに行って何をしようというのだろう。スパイと疑われるだけじゃないの? そう思うと行く気が失せてきた。すると


「エミリア、緊張しているの?」

「……はい」

「馬鹿ね。みんな良い奴ばかりよ」


レヴィの言葉に安堵する。すると純日本風の城が見えてきた。あれが確か《魔王の傘下》のギルドホームだ。


「……マモン、何かいない?」

「そうね……モブみたい」

「……違う、テイムモンスターね」


レヴィはゆっくりとスナイパーライフルを構えた。スナイパーライフルは遠くの敵を狙えるぞ!


「……敵対プレイヤーじゃないみたいね。魔王と友好に話しているわ」

「そう」


とりあえず安心してカゲオが下降を始める。そして地面に降りる。そのままのんびり歩いてギルドホームの前に。


「ん、そいつは確かカーマインブラックスミスのバイトの?」

「あ、はい。エアリミです」

「「!?」」


魔王とスカイが距離を取った。何故スカイがここにいるの?


「今は私たちの仲間よ」

「……心をPKから足を洗わせるまでは」

「さっきはずっ友だよ、とか言ってなかった?」

「言ってない!」


マモンの言葉に突っ込んでいると


「……スカイ、協力するのは構わないがエアリミをこっちの陣営に加えさせてもらう」

「良いけど……良いのか?」

「良いも何もレヴィとマモンがそう言うんだ。何か確証があってのことだろう」

「……シンは私の弟です」

「「は?」」


二人が固まった。


「シンがああなった理由も私が知っています。だからこそ止めさせたいんです」

「……あいつを狩れるのか?」

「私が殺します」

「……何か考えでもあるのか?」

「とりあえずぶつかってみようかと」


魔王は呆れたようにため息を吐く。そして


「《白銀の斬姫》、アリアとシェリルの穴を埋めるような働きを期待するぜ?」

「一つだけお願いがあります」

「なんだ?」

「アリアには絶対に伝えないでください」


*****


「って事で新入りのエアリミことエミリアだ」

「「「「「はぁ!?」」」」」

「「誰?」」


セプトとシエル以外が席を立ったりして驚いている。とりあえず何が疑問なんだ?


「何だ、驚くようなことか?」

「そんな事をするのは魔王じゃねぇだろ」

「アリアの役目だね」

「そんな事か……」


異論反論かと思って身構えたが必要なかったな。


「シンの姉でシンを止めたいそうだ。それまでは仲間だ。止めた後は知らん」

「シンを止めるったってどうやるんだよ、倒すだけじゃ何にもなんねぇぞ」

「説得してからだな、何度も狩る必要があるだろう」


モブとして、エネミーとしてシンを考える。


「ジャック、俺、エミリアで前に出る。サタンとルシファー、ブブとアスモは後続だ」

「俺たちは?」

「セプトとシエルは遠距離部隊の援護を頼む。マモン、レヴィ、ベルは遠慮なくぶっ放せ」

「りょーかいだよ」

「スカイとエレナ、ヴィクトリアたちと合同で《シリアルキラーズ》を討とうと思っていたがスカイ以外に色好い返事はもらえなかった」


先ほどの会談の結果を伝えるとだろうな、みたいな雰囲気になった。


「エミリア、お前らのスパイが他のギルドに参加し、そこから俺たちを襲撃。そしてギルド間の構想を起こそうとしたって予想は当たっているか?」

「……正解ね。誰がそこまで予想したのよ」

「アリアだ。九割馬鹿なのにたまに頭良いんだよな……」


みんなが同意するように頷いていた。

予告通り次回はキャラ紹介と用語を軽く解説

リア友に用語を聞かれ、説明もしたら、との事なのでします


エミリアのイメージは大学の疲れた学生が違う自分になりきる感じ


そう言えばリア友にマモンがチートキャラ認定されてた不思議

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ