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3人のPK

弓矢を構えてベランダから見下ろす。


「レヴィ、指揮は任せるね」

「はぁ? 言って従うの?」

「時たまに」

「でしょうね。自分で考えて行動しなさい」


はーい、と応えて眼下を見る。《シリアルキラーズ》だ。


「圏内じゃダメージは無いのにね」

「そこよね……逃げるにも店内に入っちゃってるし」

「トレインするにも狙いは私たちかアリア、ほんっと最悪ね」


店内から何かを壊すような音が聞こえた。だけどそれはありえない。バイトの権能でもなければ店内の物は壊せないからだ。


「レヴィ、ここは任せるね」

「はいはい」


店内に入り、焦燥感が強くなる。嫌な予感がする。


「っ!? アビス!」

「あぁん? 《魔弓》かよ!」


振り下ろされるハンマーを避ける。そのままカウンターを飛び越えて蹴り飛ばす。室内だと長柄武器は使い辛いはず。


「ちぃっ! 相変わらずお転婆じゃねぇか!」

「黙れクソ野郎」


続けざまに蹴りつけるも防がれた。


「何しに来た」

「ダンチョーの意向でな、テメエら全員に喧嘩を売りに来たのさ!」

「奇遇ね、こっちも喧嘩を大安売りしているよ!」


ハンマーをかい潜り、カウンターに飛び乗る。そのまま天井へ跳躍して天井を蹴る。そして踵落とし。


「帰れ!」

「誰も殺さずに帰れるかよ!」

殺人狂(キリングジャンキー)は相変わらずか!」


……おかしい。最初にいたときよりも人数が少ない。


「仲間を殺したの?」

「副団長権限でな。それと一つ間違っているぜ?」


ニヤニヤとムカつく笑みを浮かべ


「仲間なんかじゃねぇよ!」

「死んでしまえ!」

「はっ!」


至近距離で打ち合う。お互いにダメージは無いにせよ衝撃はある。だからそのまま店外に押し出す!


「《正拳》!」

「《グランドプレッシャー》ァ!」


振り下ろされるハンマーに正面から拳を叩きつける。押し負ける。軸足を基点に回転して


「《正拳》!」


ぶん殴った。上手い感じにお腹に直撃し、そのままお店の入り口の扉に激突する。飛び蹴り、押し出した。そのままバイト権能から営業時間を過ぎたから閉店にする。


「シンとアビス……エアミリもいるのかな」


そこはかとない不安感に呟いた。


*****


「明日からお婆ちゃんちに行くからしばらくは入れません。って事で明日も早いので僕はそろそろ寝るね」

「……早い」

「ま、中一上がりたてだしね。それにしても早いけど」


アリアの趣味で壁に掛けられている壁時計が8時3分を示している。


「それじゃ昨日僕たちがログアウトした後に何があったのか聞いても良いですか?」

「マリア、これは私たちの問題だから」


レヴィはそう言うけど


「僕たちのお店の問題なら僕も関係があるはずです」

「……忘れてた、マリアって正義漢だった」


レヴィはため息を吐く。すると若干困ったような表情のマモンが


「アビスが来たのよ」

「……」


エミリアが反応した? 知っている名前なのかな。


「シンとアビス、それにエアミリ。あの凶悪な三人がSSO(こっち)に来たのよ」

「それもおそらくベータテスターとしてね」

「その三人ってどんなプレイヤーなんですか?」


僕の言葉にマモンは躊躇った。レヴィがそれに気付いてか


「《夜色の殺戮者》シン、《血塗れの鍛冶師》アビス、《白銀の斬姫(ザンキ)》エアミリ」

「……物騒な二つ名ですね」

「全部実際にあった事よ」

「え」

「200を越えるPK、シン。作った武器の試しと称してのPK、アビス。暇だからPK、エアミリ。どれも正気じゃないわ」


身震いがした。二人の体から隠せないほどの怒気が漏れていたから。


「その三人を見つけたらどうするの?」


エミリアの問いに二人は同時に


「「殺す」」


そう答えた。


*****


「で、大規模アップデートだっけ?」

「うん。テイムモンスターのゲームバランスの調整がされるんだって」

「え、そうなの?」


アリアのひよちゃんたちが弱くなっちゃうのかぁ……一回お願いして手合わせしてもらったらちゅう吉君にすら勝てなかった。その後マリアに慰めてもらったから良いけど。


「これの影響はアリアにデカいわね」

「そうなんですか?」

「アリアはひよちゃんたちに《錬金術》を使わせてポーション系を量産している。ステータスを下げるだけなら問題無いんだけどね」

「あ、新職業が出来るんだってさ」


マモンの言葉に皆で反応する。すると


「《アイドル》と《賢者》と《剣舞師(ブレイドダンサー)》だってさ」

「《剣舞師》ね……嫌ーな名前ね」

「まったくだね」

「でも賢者ってベルに似合うと思うの」

「そうだねー」


リアルでベルって人が好きなレヴィの言葉にマモンは適当に頷く。すると


「《剣舞師》ってどんな感じなのかな」

「私たちが知っているのだと剣装備時に速度上昇」

「それと連続攻撃する時にダメージが増えていく」

「二刀流に必須じゃないですか」

「アリアの場合だけね」


マリアと一緒に首を傾げる。すると


「アリアの二刀流は本来の二刀流じゃないから」

「二刀流は本来防御後のカウンター系、勢いで突っ込んで切り刻むアリアは邪道よ邪道」


本人がいなくて良かった。何か言いそうになるから。


「それよりも三人にも言っておきたいことがあるの」

「「え」」

「何ですか?」


エミリアがアクセサリーの製作の手を止めて顔を上げる。今は彫刻を施していたようだ。それも性能の向上する作業らしい。


「シンたちはまたここに来ると思う」

「だから気をつけて。PKの恐ろしさを実感しないで」


*****


「……PKの恐ろしさを実感しないで、か」


ちょっと笑いそうになる。誰に向かって言っているんだろう、と。

《星が見える丘》を出て、ログアウトしようとしてか街に戻ってくるパーティを探す。ログアウトするには街の中じゃないと出来ない。アイテムを使用すれば話は変わるけど。


「見つけた」


《霧雨》を抜刀し、そのパーティに向かって駆け出す。相手の反応速度が速い。さすがは最前線だ。

炎の槍が飛んできた。それを《霧雨》で切り裂く。《ミスリル銀》はアストラル系へのダメージと魔法系へのダメージを増加させる。余り知られていないけど魔法にも耐久力はある。


「ふふふ」


驚いている顔に向け《霧雨》を閃かせる。白銀の斬閃。


「ふふふ」


剣を振りかぶった腕を切り落とし、がら空きの心臓を貫く。


「ふふふ」


魔法を詠唱しようと距離を置いた魔法使いへ《霧雨》を投げつける。


「ふふふ」


刺さった《霧雨》を薙いで抜き、勢いのままに胴を払う。


「ふふ……アレ、四人パーティ?」


最前線でフルパじゃないのも珍しい。そう思った瞬間、《探知》と《感知》の範囲にプレイヤーが入った。咄嗟に振り向くと


「嫌な予想ってのはいつも当たるものね」

「……ふふ」

「簡単な偽名よね。まさか並び替えただけだなんて。私たちが引っかかるとでも思った?」

「……ふふ、アリアなら引っ掛かったと思うわよ」

「あの子は普段は馬鹿だから良いの」


銃口は確実に心臓を狙っている。


「エアリミ、カーマインブラックスミスで働いている理由を聞かせてもらうわよ」

「え」

「あの子を騙し、マリアたちも騙している理由は何?」


そして


「どうしてエミリアという名前なの?」

100話になったらキャラ紹介とします

キリが良くないとこういうのはしたくないのです


エアリミとエミリア、似ていますねー(棒)


次回予告(AB風)

「偶々ですよ偶々、偶然とも言います」

「おばーちゃーん、どこー?」

「うっ、餅が⁉︎」

「二丁目の竹田さんが⁉︎」

「アリアもあなたたちも殺したいですよ」


感想欲しい(率直)

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