襲撃
「あの、アリア?」
「何? エミリア」
「作者ってさ、大晦日も元旦もずっと血の繋がった人としかいなかったんだよね?」
「そうだね」
「それって所謂ぼっt「それ以上良くない」
「アジアン、どうしたの?」
「やっぱりこの鳥ってAIなのよね?」
「うん」
「やっぱり進んでるなぁ」
アジアンは嬉しそうにひよちゃんと戯れる。
「それにしても遠いね」
「うん。僕の場合は手伝ってもらった感じだから」
「このひよちゃんに乗って行くって選択肢は?」
『ちぃ?』
「あるけど……良いの?」
アジアンはあはは、と笑って
「レベル上げはね、マリアと一緒にしたから楽しかったの。だから良いの」
よく分からないけど良いらしい。だから
「ひよちゃん、お願い」
『ちぃ!』
しゃがんで乗りやすくしてくれた。なので背中に飛び乗ってアジアンに手を伸ばす。掴んだ手を離さないようにしっかりと引っ張って乗せる。
「えへ」
「……しっかり掴まってよ」
ぎゅっと背中に抱きついているアジアンに呼びかけてひよちゃんの背中をポンポン、と軽く叩く。翼を広げ、駆け出すひよちゃん。そして勢いをつけて飛翔した。
*****
「今日も水晶が綺麗だなぁ」
ベランダで育てている野菜を収穫。これはスキルが無くても出来る。種を土に植えるだけだから。もっともステータスには差がある。
《栽培》スキルがあれば植えた物の収穫量とステータスが高くなる。もちろん取っている。
「ねぇ、そう思わない?」
「思うけどアリア、鍛冶屋としての仕事があるから」
エミリアに引き摺られて室内に。そのまま猫のように掴まれて階段を降りて
「あ、来た」
「んー? スカイ?」
「よぉ。ちょっと話があるんだが」
「鍛冶屋としての仕事は?」
「俺の依頼だ。その間に話を済ますつもりだ」
ちょっと困ったような表情のスカイに疑問を抱いたまま奥の鍛治部屋に。そのままドアを閉めて
「仕事はあるの?」
「耐久の回復」
「はいはい」
この白い剣の素材は《レアミスリル》を基調にしている。だから耐久を回復させる際にインゴットでは無く、単体を使用する。
「俺たちのギルド、《勇者達》のメンバーが襲われた」
「……へぇ」
「お前たちの方は?」
「僕らは襲われるのはしょっちゅうだし」
「最強ギルドの上に全プレイヤーの中で最強だからな」
えへへ。
「なんだそのにやけ顔」
「え?」
「……まぁ、良い。で、だ。その襲われた奴の言う事には……シリアルキラーズと名乗ったらしい」
「⁉︎ シリアルキラーズの残党ってわけ?」
「いや……そもそもシリアルキラーズが崩壊したのか分からないな」
あ、ジャックの事は知らないんだった。
《幻影面》と《死神》は別人だ。そう一般認識されている。
「……なるほどね。レグルス戦の後に来たのもそれっぽいし」
「ああ、お前たちは大丈夫だと思うが新入りの……何てったっけ?」
「シェリ姉たち?」
「そうだ。あいつらは少し不安が残るな」
「心配ありがと。だけど僕たちを正面から襲うなんて無いと思うよ」
スカイは笑って白い剣を受け取った。
「一応《聖堂騎士団》と《THE・メイド》に伝えに行く。伝言あるか?」
「ううん」
「それじゃ」
スカイはおせっかい焼きと呼ばれるタイプの人間なんだろうなぁ。そう思っていたら
「あ、お帰り。ベランダに着地したの?」
「はい」
「アジアンって彼女も?」
「はい。アジアン」
静々と鍛治部屋に入って来た黒髪薄青目で全身真っ黒な女。
「僕以上シェリ姉未満……」
「それってほとんどが当てはまるわね」
「レヴィ⁉︎」
「ド貧乳と巨乳を比べるのはおかしいよ?」
「マモン……喧嘩を売ってるのなら買うけど?」
「新春セールよ」
「まだ夏だよ?」
「作者たちのリアルの方よ」
マモンが何を言っているのか分からないからスルーして
「アジアン、君はどうするの?」
「え?」
「マリアと一緒にここでバイトするも良しだよ」
「バイト……良いのですか?」
「うん。どこかの誰かさんはこの店の商品が安いって文句を言ってきたのに今はバイトしているしね」
マリアが顔を逸らす。あはは。
「そんな傍迷惑なプレイヤーもいるんですね」
「あは♪」
僕の指差したプレイヤーを見てアジアンは目を細くした。
「マリア?」
「……うん」
「まったくもう……」
いちゃつき始めた。まったくこれだからリア充は……
「とりあえず仕事に戻るよ。マリアも」
「はい」
「アジアンもバイトするなら教えるけど」
「ありがとうございます」
*****
「一応この店ではみんな、生産系か加工系のスキルを習得しているんだ」
「そうなんですか」
「とは言ってもレヴィもマリアもスキル熟練度とレベルが低いからね、そこまでは忙しくないんだ」
アジアンはほうほう、と頷く。
「マリアのスキルは何ですか?」
「《錬金術》だね」
「アイテムを作るんですか?」
「うん」
アジアンがふむふむ、と頷いて
「アリアさんは?」
「んー? 《錬金術》と《料理》と《鍛冶屋》」
驚きのポーズ……うわ、私の年収低過ぎのポーズをとるアジアン。可愛い。マリアは良い彼女を得たなぁ。
「アリア! 鍛冶屋としての仕事!」
「あ、はーい。アジアンは……そうだね、接客してもらっても良い?」
「……頑張ります」
*****
「……誰だ」
つけて来る気配に振り向き、《グリムサイズ》を抜く。いつでも切り刻める。
「……」
「だんまりか……ならこっちから行くぞ」
とんとんっ、と地面を蹴り、高速で洞窟を駆ける。瞬間、白刃が煌めく。咄嗟に鎌の石突きを盾にし、防御。衝撃のままに飛び、洞窟の壁に着地。蹴って仕掛ける。
「へっ」
「……誰だ」
「忘れちまったのかよ?」
「誰だと言っている!」
振り抜き、距離を置く。
「《幻影面》さんよぉ?」
「っ⁉︎ シリアルキラーズか!」
「ご名答ぉ!」
*****
「知り合いか? サタン」
「さぁな……気を抜くなよ、ルシファー」
囲いに向かって剣士と槍使いが駆け
*****
「俺に襲われる理由が無いと思うんだけどな……」
双槍使いがぼやいて突っ込む。
*****
「俺たちに何か用かよ!」
魔法剣士は笑い
*****
「誰なのか知らないが俺たちに喧嘩を売ったという事だな!」
魔王は猛り
*****
「いらっしゃいませー」
銃士は接客をし
*****
「《イチゴパフェ》出来たよー」
弓師は完成品に頷き
*****
「よっし、完成っと」
最強は製品の出来栄えに顔を綻ばせ
*****
「どるぁっ!」
双大剣は二本を振るい
*****
「ん」
完璧防御は盾で全てを防ぎ
*****
「んっ、まずったかも」
森の中に逃げ込んだら魔法の範囲に障害物が増えちゃう。襲いかかってきたプレイヤーたちを潰すにはちょっと難しいかも。
「ん、見つかったかな?」
木の上に立って眺めていたら示し合わせたように私の木に寄って来る。んー、焼き払う?
「CO2の心配はしなくて良いからっと」
使う魔法は《炎・中級》の範囲魔法、《フレアフィールド》か《フレアトルネード》……どっちが良いかな?
「《フレアフィールド》! 《フレアトルネード》!」
欲張っちゃった。うふふ。《魔法連発》のスキルって凄い。
そう言えばどうして襲われたんだっけ? 一応ギルド全員に『襲われてる』って送ったけど……
正月だろうとマイペース
その上展開は急にする
これが私のジャスティス
次回予告(エンジェルビーツ風)
「助けてー」
「邪魔をするなぁっ!」
「俺たちへの、《魔王の傘下》全員への戦線布告だ」
「悪いけど誰一人として生かして返す気は無いよ」




