二回戦だよー
「残り7人で再びじゃんけんをしていますね」
「シュールねぇ」
「残りメンバーはアリア、ジャック、マモン、ディアボロス、ベルフェゴール、ベルゼブブ。そしてシードのシェリルですね」
「全員一回戦は魅せてくれましたね」
「そうねぇ……あらぁ? セスタスはぁ?」
「急用が出来たのでここからは司会を僕、マリアと」
「私、エミリアと」
「レヴィアタンでお送りするわぁ」
*****
「ぬぁーっ⁉︎」
じゃんけんで勝ったのはベルだ。嫌そうな声を出している。
『それでは二回戦1試合のメンバーは』
『ほいっ、《天弓》マモンと!』
『《魔人》ベルフェゴール……限りある中で最悪の組み合わせねぇ』
『あれ? シードがベルフェゴールじゃないの?』
『『『……』』』
実況席しっかりしてよ。ため息が出た。
マモンと正面から戦える可能性があるのは僕とお兄ちゃん、ベルくらいだ。だから今のが良かったんだけどね。
『《死神》ジャック!』
『これはどんな感じなんでしょうか?』
『マモンの超思考にぃ、どれだけジャックが計算外の行動を起こせるかよねぇ』
マモンに勝つにはマモンの高速思考を越えないといけない。だから
「どっちが勝ってもおかしくは無いんだよね」
*****
「うーん、やっぱり難しそうだなぁ」
ジャックの落ち着き払った様子にため息が出る。動揺を誘って計算を間違えさせないと。
「調子良さそうだな」
「うふふ、珍しくアリアちゃんと戦えそうだし、ね」
「相変わらずお前との戦闘は忌避しているのか」
ジャックの戦法は速度を高めて接近、そこからの高めた攻撃力による削りだ。アリアちゃんと似ている。
それもそのはず、アリアちゃんのプレイスタイルの元はジャックなのだから。
『試合開始っ!』
「《パラライズアロー》」
「《ソーン》!」
麻痺の矢は切り落とされたけど同時に放った二本の矢は直撃。うーん。
ちょっと出費が嵩むし勝っても何も無い。だけど
「負けたくないね」
「まったくだ」
矢を連射する。避けられるけどもこの矢は《糸矢》、その名の通り、繋がっている。
「っ⁉︎ 見えない糸か!」
「あらら、あっさりばれちった」
矢はどんどん続く。次第に被弾も増えてきた。もはや身動きの出来ないジャック。そう思ったら
「《ギルティソーン》!」
「《トリプルアロー》!」
一つの矢を3本にするスキルを放つ。曲射。
「当たるかよ!」
「ううん、当てるの」
意識が上から迫る矢に向いた瞬間
「《パラライズアロー》! 《ポイズンアロー》! 《ブラインドアロー》!」
「それは酷いだろ⁉︎」
「勝てば官軍」
「やべえな⁉︎」
ジャックは慌てて糸を切る。体を動かして受けるダメージを割り切ったみたいね。でも、それは愚策。
「え⁉︎ 体が動かない⁉︎」
「だってその糸、麻痺属性付けてるからね」
「はぁぁ⁉︎」
『えー、勝者、マモン』
『相変わらずハメ技ねぇ』
『回避のしようがありませんよ……』
『そうねぇ、遠距離なら撃ち合う、近距離なら動き続けることくらいねぇ』
「その程度じゃ無いけどねー」
*****
「次の試合は誰かなー」
マモンとベルとは当たりたくなかった。そしてその心配はもう無いしお兄ちゃんも負けちゃった。
魔王かブブかシェリ姉……うーむ。誰なら勝てるかって思うと誰にも勝てると思うんだよなー。
『続けての試合は《魔王》ディアボロスと!』
『《双槍》ベルゼブブ!』
『異質な組み合わせねぇ』
『どういう意味ですか?』
『長柄二本の相手にナイフで挑むのは愚かとしか思えないわぁ』
*****
「愚かって……もうちょい言いようがあるだろうに」
「ははは」
「セブンスドラゴニックライオネルソードの次はお前か」
観客席から何かが聞こえたけど気にせずに《真スカーレット》を構える。
ブブの二本の槍、《貫》と《刺》、どちらも金属製だ。《セブンスドラゴニックライオネルソード》は純粋に金属を使わなかった剣だから切れなかった。
「ナイフで槍に挑むのは愚かとしか思えないらしいぞ?」
「銃士にナイフの事が分かるとも思えん」
その上、槍使いとの戦闘法はしっかりと確立してある。
「行くぞ」
「ああ」
『試合開始です!』
確かエミリアの宣言と同時に地面を蹴る。お互いに同じ行動をしていたようだ。
突き出される槍を正面から《真スカーレット》で斬りつける。耐久を削る感覚がある。だが
「危ないな!」
「ははは」
「《エンプレススラスト》!」
「っと」
突きを回避して懐に飛び込み、高速の連続切りを放つ。しかしブブは俺の体を蹴って距離をとろうとした。ダメージは軽微だ。だから
「《スローイング》!」
「ふっ」
投擲したナイフは槍の柄に止められた。当たらない。どちらかの槍を先に壊すか……そこが問題だ。
もっとも俺がやられる可能性もあるが。
「あー、そうだったな……あのナイフ、金属壊しやすいんだろ?」
「ああ」
「壊されるのも面白くないしな……」
『ギブアップするぅ?』
「そうしよう」
『勝者、ディアボロスよぉ』
*****
「やっぱりブブはそう言うよね」
勝ち負けよりも損得を考えるブブ。何故商人的なことをしないのかが分からない。するしないは個人の自由だけどさ。
それにしても僕の対戦相手は誰だろうなぁ。アスモ、レヴィ、セプト、シエル、セブンスドラゴニックライオネルソード、セブンスドラゴニックライオネルソードの弟は一回戦で負けた。ブブとジャックは二回戦で負けたから……!?
「嘘でしょ!?」
『続きまして二回戦最終試合、《最強》アリアと《氷結姉》シェリルですね』
「やっぱりぃ!?」
*****
あれ? アリアちゃんがとぼとぼと歩いている?
「どうしたの、アリアちゃん?」
「シェリ姉とやりたくないよぅ」
「良いのよ、姉だなんて今は気にしなくて良いからね」
「ボコボコにしたくないよぉ」
「そこなの!?」
アリアちゃんは嫌々、と言うように首をぶんぶんと振って2本の強そうな剣を背中の鞘から抜いた。毎回思うけど背中の鞘より腰の鞘のほうが抜きやすいと思うんだ。
「そう思わない?」
「何の話!?」
『試合開始よぉ』
「《アイステンペスト》」
「いきなり!?」
「そうよ、アリアちゃんの全力を私に見せて見なさい」
アリアちゃんは私の顔を見て笑った。失言したかな?
「遠慮なく行くよ!」
「あ」
アリアちゃんの姿が霞んだ。見失った?
「どこを見ているのさ! 《アークスラッシュ》!」
「っもう!」
背後からの斬撃に驚きながらも地面を蹴って距離を取った。そのはずだったのに
「捕まーえた!」
「え!? アリアちゃん!?」
「えへへ~」
アリアちゃんの手が私の体をぺたぺたと触る。そしてある一点に触れた瞬間、動きが止まった。
「なん……だと」
「えっと……どうしたの?」
「どうして姉妹なのにここまで差があるのさ!?」
「え?」
「こんのおっぱいお化け!」
酷い侮辱を受けた。もうお嫁にいけない。
*****
おっぱいなんて無い方が身軽なんだから良いんだもん! そうさ、無くて良いのさ!
『えー、何故かアリアが号泣していますが二回戦最終試合、勝者はアリアです!』
またしてもセブンスドラゴニックライオネルソードが!
サタンはこれからセブンスドラゴニックライオネルソードと呼ばれるようになります(真顔)
感想で……作者に……笑顔を……
サンタクロースに感想を頼んだらガン無視されました
この前の友人のサンタのコスプレが原因だと思います(八つ当たり)




